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2ケタ勝利と最下位脱出、完封勝ちにチケット完売と“初”づくしの2022-23年シーズンを連勝で締めくくりました。

プロアイスホッケー「アジアリーグ」の横浜グリッツ(GRITS)は今月(2023年)3月4日・5日に本拠地のKOSE新横浜スケートセンターで「ひがし北海道クレインズ」に連勝し、通算11勝29敗で最下位とゲーム差を1つ付けて5位を確保し、今シーズンを終えました。

)3月7日15:00追記:今シーズンの横浜グリッツの全成績を本ページ下部に追記しました

PSSでの勝利が決まり、GK・石田選手の周りに集まって喜びを爆発させるグリッツの選手(3月4日)

3月4日の初戦は第3P(ピリオド)が終わっても3対3で決着がつかず、3人対3人で戦う5分間の延長戦に突入。それでも得点は入らず、ペナルティショット戦(PSS=ペナルティショットシュートアウト)にまでもつれます。

FW・鈴木選手(#61)のPSが決まり喜ぶベンチ、浅沼監督も思わずガッツポーズ(3月4日)

横浜グリッツに今年加入したばかりのルーキーGK(ゴールキーパー)・石田龍之進(たつのしん)選手(#32、関西大卒)がゴールを守り抜き、好調のFW(フォワード)・鈴木ロイ選手(#61)とFW・アレックス・ラウター選手(#9)がPS(ペナルティショット)を立て続けに決め、グリッツとして初のPSSによる勝利をつかみました。

先制点となるシュートが決まり雄叫びを上げるFW・泉選手(#5)(3月5日)

翌日5日の試合も前日に続き開始7分で先制点を奪うと、ベテランGKの小野航平選手(#38)が好守を連発。中盤の31分と34分に加点すると、相手に流れを渡さず、そのまま3対0でグリッツ初の完封勝利となりました。

この連戦では引退する2選手に感謝を表すゼッケンを練習時に付けた(3月4日)

2020年のチーム創設時からチームを支えてきたDF(ディフェンス)・菊池秀治選手(#8)とFW・氏橋(うじはし)祐太選手(#91)の引退試合となった2連戦は、「2人に花を持たせたい気持ちが強かった」(浅沼芳征監督)と選手が結束。

菊池選手本人も1得点1アシスト、氏橋選手も1アシストの活躍を見せ、前シーズンの最終節では2連戦で計15点を奪われて連敗しているクレインズを相手に今季は連勝という形でシーズン最終節を飾りました。

これまで3シーズン、ほとんどの試合に出場していたDF・菊池選手(#8、右)とFW・氏橋選手(#91、左)が今季限りでの引退を決断(3月5日)

この2戦では1試合目に1049人、2試合目は過去最多となる1386人の観客を集め、節目となる連戦に挑むチームを後押し。

特に最終戦は初めて座席チケットが売り切れるほどの熱気で、FWの岩本和真キャプテン(#13)は、「これまでたくさんの試合をしてきたが、今日の新横浜は最高だった」といい、浅沼監督は「ファンの方々の声援に鼓舞された。3シーズンで初めてシャットアウトで勝てたのは成長の証(あかし)」と手ごたえを語ります。

アジアリーグ参入以来、新型コロナ禍での制限が続き、3シーズン目にして本拠地の観客が初めて1300人を超えた(3月5日)

この2試合で現役引退となる菊池選手は「僕らのために、というのがすごく伝わってきて、勝たせてくれた。後ろから見ていてチームメイトが頼もしく思え、自分が引退してもグリッツは強くなれるだろうなと思った」と話します。

また、氏橋選手は「ファンの存在こそがグリッツだと思っていて、負けることのほうが多いチームを応援してくれるのは並大抵なことではない」と感謝の言葉を述べていました。

3月5日の試合後には2選手の引退セレモニーが開かれ、スタンドでは両選手にメッセージを掲げる人たちが目立った

浅沼監督は「5位はまだまだ通過点で、王者のHLアニャンレッドイーグルス北海道にはまだ勝てていない。次のシーズンは各チームから勝ちを取った先に、プレーオフ進出が見えてくる」と来季への思いを語りました。

昨年9月から始まったアジアリーグ「2022-23年シーズン」の最終順位表、4位までがプレーオフに出場できる。グリッツは通算11勝29敗で5位に終わったが初めて最下位を脱出(アジアリーグ公式サイトの画像を一部加工)

横浜グリッツ試合結果(3月4日・5日)

菊池・氏橋の両選手が導いた2連勝

グリッツの今シーズン最終節は、今週(2023年)3月9日(木)から敵地韓国で首位・HLアニャンとのプレーオフを見据える4位の「ひがし北海道クレインズ」と対戦。

グリッツの最終戦は前シーズンと同じ「ひがし北海道クレインズ」が相手、前季は敵地で1対11で大敗している(3月5日)

リーグ戦よりも勝ち抜きがかかるプレーオフに目が向いているとはいえ、試合前の時点でグリッツが2勝4敗と負け越し、トーナメント戦の全日本選手権でも惜敗した相手です。

初戦は7分にDF・蓑島圭悟選手(#65)のゴールで先制するも11分、12分に相次いで失点し、20分には3点目を奪われ、2点のビハインド。

菊池選手が敵陣左手から放ったシュートは、味方選手のブラインド(目隠し)もあってキーパーが取れずゴールに吸い込まれた。菊池選手にとってグリッツでは通算2ゴール目を最終節で決めた(3月4日)

1対3となった1分後、引退を決めているDF・菊池選手に長いパスが通り、ゴール左手から放ったミドルシュートがポストに突き刺さって1点差。スティックをグルグル回すパフォーマンスに会場が大きく盛り上がります

ゴールが決まり、スティックをくるくる回すパフォーマンスも披露した菊池選手(3月4日)

しかしその5分後、菊池選手が相手選手に強いチェックに行き、クレインズFW・松野佑太選手(#9)が氷上に倒れて負傷するアクシデントが発生。

5分間の退場となるメジャーペナルティと判定され、1人少ないPK(ペナルティキリング)が5分続くという大ピンチに。それでも、すぐさま相手のミスから敵陣内でパックを奪った鈴木選手(#61)が同点ゴール

序盤は不安を抱えていたというGK・石田選手だが、菊池選手のメジャーペナルティでピンチを迎えて奮起し、以降は完全に抑えた(3月4日)

「試合序盤は不安もあったが、頑張らなければならない状況が精神的な部分を強くしてくれた」とGK・石田選手(#32)が奮起し、一時は3人対5人のPKとなっても好守で得点を与えず、PSSに持ち込んで2時間半超にわたる試合で貴重な逆転勝ちをつかみました。

PSを最初に成功させたのは鈴木選手(#61)だった(3月4日)

翌3月5日の最終戦はグリッツ創設以来初となる1400人近い観衆に後押しされるかのように、久しぶりの先発となったFW・土屋光翼選手(#92)の守備面での貢献や、チーム最年長で今年38歳を迎えるFW・濱島尚人選手のゴールなどで試合を優位に展開。

5日の試合で活躍した選手として浅沼監督は土屋選手(#92)をあげていた(3月5日)

シュートを放つ濱島選手(#51)(写真は3月4日)

この日、ケガで離脱しているFW・角舘信恒選手(#11)と前節のHLアニャン戦で負傷した松渕雄太選手(#84)、前日先発GKの石田選手を除いた22人がベンチ入り

浅沼監督によると、今年1月に加入したばかりの新人FW・運上雄基(うんじょうゆうき)選手(#12)と慶應義塾大学の先輩でもある氏橋選手のセットも構想していたといいます。

試合前練習を行う(右から)氏橋、菊池、運上の3選手(3月5日)

ただ、グリッツにとって初の完封勝ちを狙える試合展開もあって試合開始当初のセットは崩さず、運上選手と氏橋選手の“慶應セット”は実現しませんでした。


3月4日(土):横浜GRITS 4 - 3 ひがし北海道クレインズ(新横浜)

)左側の数字はゴール時間、選手名の前に記載の数字や文中の#は背番号、カッコ内はアシスト、(+1)は相手より人数の多いパワープレー中の得点、(-1)は相手より1人少ないペナルティキリング中の得点

【1P】横浜1-2ひがし北海道

(シュート数:横浜8-15ひがし北海道)

【2P】横浜2-1ひがし北海道

(シュート数:横浜10-13ひがし北海道)

【3P】横浜0-0ひがし北海道

(シュート数:横浜10-13ひがし北海道)

【延長】横浜0-0ひがし北海道

(シュート数:横浜3-1ひがし北海道)

【PSS】横浜1-0ひがし北海道

<PSS詳細>

  • 横浜77.ティモシー・シュープ(DF)×-×ひがし北海道52.松金健太(DF)
  • 横浜21.杉本華唯(FW)×-×ひがし北海道9.松野佑太(FW)
  • 横浜61.鈴木ロイ(FW)-×ひがし北海道92.池田一騎(FW)
  • 横浜9.アレックス・ラウター(FW)-×ひがし北海道5.葛西純昌(DF)

<GK=ゴールキーパー>

  • 横浜32.石田龍之進(セーブ39/失点3)65:00
  • ひがし北海道1.脇本侑也(セーブ11/失点3)27:07※交代
  • ひがし北海道29.磯部裕次郎(セーブ17/失点0)37:53

アジアリーグの記録ページはこちら


3月5日(日):横浜GRITS 3 - 0 ひがし北海道クレインズ(新横浜)

【1P】横浜1-0ひがし北海道

(シュート数:横浜10-3ひがし北海道)

【2P】横浜2-0ひがし北海道

(シュート数:横浜5-13ひがし北海道)

【3P】横浜0-0ひがし北海道

(シュート数:横浜10-7ひがし北海道)

<GK=ゴールキーパー>

  • 横浜38.小野航平(セーブ23/失点0)
  • ひがし北海道1.脇本侑也(セーブ22/失点3)

※アジアリーグの記録ページはこちら

横浜グリッツ(GRITS)2022~23年の全成績

)〇=勝利、□=延長勝利、△=ペナルティ・ショット・シュートアウト(PSS)での勝利、●=敗戦、■=延長敗戦。開催地右の数字は観客数

<2022年>

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<2023年>

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【通算:40試合11勝29敗(5位)】

<チーム別の対戦成績>

)カッコ内は今シーズンの最終順位

  • HLアニャンアイスホッケークラブ(1位):0勝8敗
  • レッドイーグルス北海道(2位):0勝8敗(うち延長負け:1)
  • H.C.栃木日光アイスバックス(3位):1勝7敗(うち延長勝ち:1、延長負け:1)
  • ひがし北海道クレインズ(4位):4勝4敗(うちPSS勝ち:1)
  • 東北フリーブレイズ(6位):6勝2敗(うち延長勝ち:1)

第90回全日本アイスホッケー選手権大会の成績(1勝1敗=2回戦敗退)

  • 12月15日(木):○11-4 DYNAX(ダイナックス=社会人)(長野)(詳細映像
  • 12月16日(金):●3-4 ひがし北海道クレインズ(長野)(詳細映像

チーム内の主な成績(アジアリーグ)

<ポイント数>ゴール+アシスト

  • 9.アレックス・ラウター(FW):40
  • 61.鈴木ロイ(FW):31
  • 21.杉本華唯(FW):28
  • 97.池田涼希(FW):25
  • 77.ティモシー・シュープ(DF):18
  • 65.蓑島圭悟(DF):15
  • 5.泉翔馬(FW):14
  • 13.岩本和真(FW):14
  • 54.熊谷豪士(DF):11
  • 74.三浦大輝(FW):10

<ゴール数>

  • 61.鈴木ロイ(FW):15
  • 9.アレックス・ラウター(FW):13
  • 21.杉本華唯(FW):12
  • 77.ティモシー・シュープ(DF):8
  • 97.池田涼希(FW):8

<アシスト数>

  • 9.アレックス・ラウター(FW):27(リーグ6位)
  • 97.池田涼希(FW):17
  • 21.杉本華唯(FW):16
  • 61.鈴木ロイ(FW):16
  • 65.蓑島圭悟(DF):12

<ゴールキーパー成績>

  • 38.小野航平:試合数20(時間17:53:33)/セーブ率88.41%/防御率(GAA)4.02
  • 45.黒岩義博:試合数20(時間17:35:38)/セーブ率86.52%/防御率(GAA)5.17
  • 32.石田龍之進:試合数5(時間04:34:30)/セーブ率88.17%/防御率(GAA)4.37

【関連記事】

<横浜グリッツの引退2選手>仕事とプロ生活、チームを先導し続けた3シーズン(2023年3月10日、引退した菊池選手と氏橋選手の試合後会見)リンク追記

・【前回記事】<横浜グリッツ>3月4・5日に新横浜で最終戦、菊池・氏橋の2選手が引退へ(2023年3月1日)

・【前年の記事】横浜グリッツが初の「ファン感謝デー」、選手が企画や準備に奔走(2022年3月29日、今年は3月11日に実施)

【参考リンク】

横浜GRITSの試合結果(アジアリーグ)

3月11日(土)「横浜GRITSファン感謝祭開催のお知らせ」(新横浜で開催)