新横浜・菊名・大倉山・新羽など港北区南部の地域情報サイト

3シーズン目を迎えた横浜グリッツ(GRITS)。国内最高峰のリーグで観客を沸かせる戦いを見せられるまでに成長しつつも、企業に勤める社会人としても結果を求められる「デュアルキャリア」のチームとして、進化の過程で超えなければならない壁に挑んでいます。

12月10日の試合で指示を出す浅沼監督

今月12月10日・11日に本拠地のKOSE新横浜スケートセンターで行われた年内(2022年)最後となる「レッドイーグルス北海道」とのホーム連戦は、初戦で2対3と接戦に持ち込みましたが、翌日は1対7の大差で敗れ連敗。

これでグリッツは11月26日から「H.C.栃木日光アイスバックス」とレッドイーグルスの上位2チーム相手に6連敗となり、通算5勝19敗で「東北フリーブレイズ」と勝敗数で並び、得失点差によって今シーズン初の最下位になりました。

「言い訳はできない」環境のプロチーム

開幕戦で連勝して華々しいスタートを切った今季のグリッツでしたが、シーズンが進むにつれて勝ち星が遠ざかっており、苦しい試合が続きます。

グリッツはほとんどの選手が会社に勤めるなどデュアルキャリアでプロ選手を続ける

同チームの誰もが「言い訳にはできない」と口を揃えるものの、企業勤めと並行しながらのプロ選手生活は、厳しい自己管理と工夫が求められているのが現状です。

メンバーが揃っての氷上練習は、毎週火曜日から木曜日まで朝の1時間と、試合日前日となる金曜日の1時間超に限られており、大半の時間は各選手が勤める企業での業務があり、仕事後にジムへ通うなどして各自のメニューに沿ったトレーニングを行う日々。

試合のない週末は地域のイベントなどに参加することも多い(11月12日、新横浜パフォーマンス会場で)

また、関東圏の栃木県日光市を除き、シーズンの半分近くは北海道や青森県、韓国など遠方での試合となり、選手らは移動中の空港や飛行機内でもパソコン持参で業務をこなし、試合終了後は月曜朝の出社に間に合わせるため、夜の乗り継ぎ便を駆使して首都圏へ戻るケースもあるといいます。

1日24時間をどう有意義に使うか、彼らはそれを一番わかっている。リンク上だけでなく、頭の中やコミュニケーションのなかでも(練習として)できる部分はある」と浅沼芳征監督

キャプテンの岩本選手は10月に手首を骨折したため実戦復帰は年明けになりそうだが、チームを鼓舞するため12月10日から選手登録してベンチに入った

選手の自主性や自己管理力がチームの浮沈を握るなか、キャプテンの岩本和真選手は「はっきり言ってしまうと(試合前の)準備不足という面もあると思う。練習の質をさらに上げなければ足りない時間を補えない」と課題を挙げます。

岩本選手は、2013(平成25)年に低迷していた時代のアイスバックスに入団しキャリアを重ねてきた経験から、「チームが一つの方向へ向き、徹底できるまでには時間がかかるのを見てきた。今のグリッツはそこを通っている段階」だといい、「良くなっているスピードはアイスバックスの時より早いと感じており、強くなる自信はある」と話しました。

前年の全日本選手権も1回戦は社会人チームと戦っている(2021年12月、長野)

グリッツは今週12月15日(木)から長野県で行われるトーナメント方式の「第90回全日本アイスホッケー選手権大会」に出場。

1回戦では社会人トップクラスの実力を持つといわれる「非常に手ごわいチーム」(浅沼監督)の「DYNAX(ダイナックス)」と当たります。

リーグ戦の連敗で立ち止まっている時間的な余裕はなく、選手らは即座に「気持ちを一旦リセットしよう」と話し合ったといい、厳しいスケジュールのなか開かれるトーナメントで、1つでも多くの勝ち抜きを目指します。

横浜グリッツ試合結果(12月10日・11日)

少ないチャンスを生かし接戦に持ち込む

12月10日(土):横浜GRITS 2 - 3 レッドイーグルス北海道(新横浜)

初戦では、リーグ屈指の実力を持つレッドイーグルスに3点を先制されながらも、「選手たちは守りを中心としたハードワークのなかで、少ないチャンスを生かしてくれた」(浅沼監督)。

0対3という展開のなか、24分に松渕選手(#84)が1点を返して反撃を開始

中盤以降はFW(フォワード)・松渕雄太選手(#84)の“技あり”といえるシュートと、新人DF(ディフェンス)・三浦大輝選手(#74)のプロ初ゴールで2点を返し、もう一歩のところまで追い詰めました。

プロ初ゴールを決め喜ぶ新人DFの三浦選手(#74、写真左)

両ゴールをアシストしたのは、守備面からの起用が多かったFWの梅野宏愛(ひろよし)選手(#72)。

しぶといプレーで2得点をアシストした梅野選手(#72)

「ハードに動いてしつこいプレーが持ち味なので、それを続けることでパックが回ってきた」といいます。0対3という苦しい状況になってもチーム内は「ポジティブに考えられるようになった」と振り返っていました。


)左側の数字はゴール時間、選手名の前に記載の数字や文中の#は背番号、カッコ内はアシスト、(+1)(+2)は相手より人数の多いパワープレー中の得点

【1P】横浜0-2北海道

(シュート数:横浜10-16北海道)

  • 10:12 北海道19.中島彰吾(88.佐々木一正)
  • 13:06 北海道14.大澤勇斗(8.高橋聖二/34.橋本僚)(+1)

【2P】横浜1-1北海道

(シュート数:横浜13-10北海道)

【3P】横浜1-0北海道

(シュート数:横浜12-8北海道)

<GK=ゴールキーパー>

  • 横浜38.小野航平(セーブ31/失点3)
  • 北海道39.成澤優太(セーブ33/失点2)

※アジアリーグの記録ページはこちら


ミス多く大量失点、角舘の1得点にとどまる

12月11日(日):横浜GRITS 1 - 7 レッドイーグルス北海道(新横浜)

2試合目は序盤から立て続けに失点する厳しい展開となった

2戦目は前日の対策を講じて速攻をかけてきたレッドイーグルスに対し、グリッツはパックをコントロールできない場面が多く、ターンオーバー(攻守逆転)も目立って7失点。「昨日よりもミスが多く、今日は内容が落ちていた」(岩本選手)。

得点をあげた角舘選手(#11、右2人目)

プロとしてのキャリアを「王子イーグルス」(現レッドイーグルス北海道)でスタートさせた経験を持つFW・角舘信恒選手(#11)が中盤にあげた1点にとどまりました。

25本のシュートを浴びせたが1得点にとどまった

【1P】横浜0-3北海道

(シュート数:横浜7-18北海道)

  • 09:01 北海道15.入倉大雅(7.百目木政人/21.久慈修平)
  • 13:09 北海道29.ハリデー慈英(19.中島彰吾/7.百目木政人)
  • 19:40 北海道14.大澤勇斗(34.橋本僚/19.中島彰吾)(+1)

【2P】横浜1-2北海道

(シュート数:横浜11-15北海道)

【3P】横浜0-2北海道

(シュート数:横浜7-10北海道)

  • 44:11 北海道19.中島彰吾(7.百目木政人)
  • 57:08 北海道98.相木隼斗(14.大澤勇斗/34.橋本僚)

<GK=ゴールキーパー>

  • 横浜45.黒岩義博(セーブ15/失点3)20:00※交代
  • 横浜38.小野航平(セーブ21/失点4)40:00
  • 北海道39.成澤優太(セーブ24/失点1)

※アジアリーグの記録ページはこちら

【前週の結果】12月3日・4日(日光)

中盤までに大量失点も、2得点で意地見せる

12月3日(土):H.C.栃木日光アイスバックス 6 - 2 横浜GRITS(日光)

【1P】栃木日光2-0横浜

(シュート数:栃木日光12-11横浜)

  • 02:27 栃木日光81.鈴木健斗(5.石川貴大/22.大椋舞人)
  • 11:35 栃木日光38.鈴木雄大(81.鈴木健斗/88.寺尾勇利)(+2)

【2P】栃木日光4-1横浜

(シュート数:栃木日光18-5横浜)

  • 22:06 栃木日光38.鈴木雄大(5.石川貴大/81.鈴木健斗)(+1)
  • 26:59 栃木日光88.寺尾勇利(48.清水怜/20.早田聖也)
  • 30:30 栃木日光22.大椋舞人(48.清水怜/81.鈴木健斗)
  • 36:50 栃木日光88.寺尾勇利(29.伊藤俊之/18.古橋真来)
  • 39:23 横浜77.ティモシー・シュープ9.アレックス・ラウター61.鈴木ロイ)(+2)

【3P】栃木日光0-1横浜

(シュート数:栃木日光6-10横浜)

<GK=ゴールキーパー>

  • 栃木日光44.福藤豊(セーブ1/失点0)00:30※交代(負傷)
  • 栃木日光39.ベンガート朗孟(セーブ23/失点2)59:30
  • 横浜45.黒岩義博(セーブ20/失点5)30:30※交代
  • 横浜32.石田龍之進(セーブ10/失点1)29:30

※アジアリーグの記録ページはこちら


GK・石田が初先発、茂木が久しぶりの得点

12月4日(日):H.C.栃木日光アイスバックス 5 - 1 横浜GRITS(日光)

【1P】栃木日光1-1横浜

(シュート数:栃木日光9-8横浜)

  • 05:55 栃木日光48.清水怜(81.鈴木健斗/38.鈴木雄大)
  • 11:09 横浜87.茂木慎之介

【2P】栃木日光3-0横浜

(シュート数:栃木日光14-5横浜)

  • 23:40 栃木日光9.佐藤大翔(18.古橋真来)
  • 32:19 栃木日光81.鈴木健斗(22.大椋舞人/38.鈴木雄大)(+1)
  • 37:52 栃木日光81.鈴木健斗

【3P】栃木日光1-0横浜

(シュート数:栃木日光13-10横浜)

  • 51:27 栃木日光88.寺尾勇利(29.伊藤俊之/8.相馬秀斗)

<GK=ゴールキーパー>

  • 栃木日光39.ベンガート朗孟(セーブ22/失点1)
  • 横浜32.石田龍之進(セーブ31/失点5)

※アジアリーグの記録ページはこちら


【関連記事】

<横浜グリッツ>年内ホーム最終戦は12月10日(土)・11日(日)、観客が増加中(2022年11月28日、前々週までの結果)

・【前年記事】<横浜グリッツ>12/25(土)・26(日)に新横浜で連戦、ホーム初勝利に期待(2021年12月20日、前回の全日本選手権結果についても)

【参考リンク】

横浜GRITSの公式サイト(ニュースなど)

「第90回全日本アイスホッケー選手権大会」の中継予定と結果のページ(2022年12月15日~18日、日本アイスホッケー連盟)

横浜GRITSの試合結果と情報(アジアリーグ)