グリッツがここまで強くなっていたとは――。2年かけても実現できなかった新横浜でのホーム初勝利に加え、開幕シリーズで初の2連勝を飾っています。
プロアイスホッケー「アジアリーグ」の横浜グリッツ(GRITS)は今月(2022年)9月10日(土)と11日(日)、本拠地の「KOSE新横浜スケートセンター」で2022-23年シーズンの開幕2連戦を戦い、初戦を4対2、次戦は6対3で東北フリーブレイズを破りました。
アジアリーグ参入から2年で2勝しかできていない横浜グリッツでしたが、今シーズンは外国籍2選手とアジアリーグの他チームから2選手、大学リーグで活躍した新人3選手を新たに加える大型補強を断行。
ゴールキーパーが3人、ディフェンス(DF)は6人、フォワード(FW)が15人という24選手体制で新シーズンに臨み、この2連戦では20選手がベンチに入りました。
一方、新たに就任したジェフ・フラナガンHC(ヘッドコーチ)は、まだ日本の在留資格が下りないため、ビデオ通話などで指導を行っている状態だといい、2連戦は浅沼芳征監督と、今季から就任した渋谷一樹アシスタントコーチの2人で指揮をとっています。
グリッツが連勝した開幕2連戦の結果は次の通りでした。
第1戦:横浜GRITS 4 - 2 東北フリーブレイズ(9月10日・新横浜)
※左側の数字はゴール時間、選手名の前に記載の数字は背番号、カッコ内はアシスト
【1P】横浜4-1東北
- 00:15 横浜21.杉本華唯(74.三浦大輝/9.アレックス・ラウター)
- 01:57 東北22.田中遼(47.篠原亨太)
- 02:59 横浜97.池田涼希
- 05:47 横浜54.熊谷豪士(9.アレックス・ラウター)
- 07:26 横浜61.鈴木ロイ(10.川村一希/5.泉翔馬)
【2P】横浜0-0東北
【3P】横浜0-1東北
- 51:05 東北16.武部虎太朗(27.中舘庸太朗/4.佐々木祐希)
※アジアリーグの記録ページはこちら
ホームの新横浜で開幕を迎えたグリッツの相手は、昨年10月末にチーム創設25試合目で初の勝利を挙げている東北フリーブレイズ(青森県八戸市)。
試合開始からわずか15秒で先制点を挙げたのは、早稲田大学から入団したルーキーの杉本華唯(かい)選手(FW)。これをサポートしたのもルーキーの三浦大輝選手(DF、明治大学)と今年から加わったアレックス・ラウター選手(FW、米国出身、前デンマーク1部リーグ)で、いきなり新戦力が活躍します。
その後1分半ほどで同点に追い付かれたものの、すぐさま今度はグリッツ創設時に明治大からルーキーとして入団した3年目の池田涼希選手(FW)がゴール左手から2点目のシュートを決め、再びリード。
さらに、DFの熊谷豪士選手、続いて副キャプテンの鈴木ロイ選手(FW)が立て続けにゴールを決め、開始わずか7分半ほどで4点を奪う猛攻に会場のグリッツファンからは「どうなっているんだ」「こんなに強くなっていたとは」といった驚きの声も。
その後は得点できないまま、第3ピリオド51分に1点を返されるものの、5回あったペナルティキリング(反則で1人少ない状態)も無失点に抑えます。
これまでに本拠地の試合で見たことがないほどグリッツの1プレーごとに大きな拍手が沸き起こるなか、スタンドの後押しも得て序盤の4点を守り切り、チーム創設初のホームでの勝利を達成するとともに、大事な開幕戦で勝利をおさめました。
第2戦:横浜GRITS 6 - 3 東北フリーブレイズ(9月11日・新横浜)
※左側の数字はゴール時間、選手名の前に記載の数字は背番号、カッコ内はアシスト
【1P】横浜4-0東北
- 04:01 横浜61.鈴木ロイ(13.岩本和真/5.泉翔馬)
- 14:27 横浜77.ティモシー・シュープ
- 15:31 横浜92.土屋光翼(54.熊谷豪士)
- 17:13 横浜21.杉本華唯(9.アレックス・ラウター/97.池田涼希)
【2P】横浜1-3東北
- 23:08 東北22.田中遼(4.佐々木祐希/8.佐藤翔)
- 26:49 横浜9.アレックス・ラウター(97.池田涼希)
- 28:36 東北10.京谷充洋(27.中舘庸太朗/11.猪狩 大智)
- 34:20 東北16.武部虎太朗(27.中舘庸太朗/10.京谷 充洋)
【3P】横浜1-0東北
- 56:00 横浜21.杉本華唯(97.池田涼希/9.アレックス・ラウター)
※アジアリーグの記録ページはこちら
開幕戦で待望のホーム初勝利を達成し、長年の重荷から解放されたかのように第2戦もグリッツが序盤から猛攻を見せます。
試合開始から4分、ゴール前の混戦から鈴木ロイ選手がパックをねじ込み、ビデオリプレイ検証に持ち込まれたもののゴールが認められ、前日に続いて先制点を奪うと、そこからはゴールラッシュ。
14分には新戦力のティモシー・シュープ選手(DF、米国出身、前米EHCL)がセンターライン付近から攻め込み、ゴールに叩き込んで2点目。
その1分後には、グリッツ生え抜きの土屋光翼(こうすけ)選手が(FW)がゴール右手から3点目を押し込み、さらに17分には第一セットを組む池田涼希選手とアレックス・ラウター選手から杉本華唯選手につなげて4点目を奪います。
第1ピリオド終了のホーンが鳴ると同時にティモシー・シュープ選手のシュートがゴールに突き刺さり、5点目が決まったと思われましたが、残り時間0秒と判断されてこれはノーゴールに。
5点目は“幻”となったものの、前日同様に第1ピリオドだけで4点を奪う猛攻を見せ、試合を優位に進めます。
第2ピリオドにも追加点を取って5対1と引き離したものの、3回あったペナルティキリングで計2点を失うなど、東北フリーブレイズの猛攻にあって2点差にまで迫られます。ただ、終了間際の第3ピリオド56分には、またもラウター、池田、杉本の3選手によるセットがだめ押しとなる6点目を決め、これで決着。
グリッツ初の連勝を開幕シリーズで早くも実現することになりました。
このまま負け続けるわけにはいかない
2戦目の試合後に浅沼監督は「移籍してきた選手は、このチームを勝たせなければいけないという意識が非常に強く、1年目からいたメンバーには『このまま負け続けているわけにはいかない』という気持ちがある。力の融合がこのチームを強くしてくれたのかと思う」と話します。
プロとしてのデビュー戦となった開幕2連戦で計2得点を決めた杉本華唯選手も「デュアルキャリアである僕たちのチームが勝つことに価値がある。負けるわけにはいかないとの思いで臨んだ」と振り返りました。
今シーズンから始まった「アジアリーグアイスホッケーTV」による2連戦の中継で解説をつとめた平野裕志朗選手(米AHLなどで活躍中、グリッツ創設当初から昨季途中までプレー)は中継のなかで、「今のグリッツはいい。自分がやっていた(まったく勝てなかった)時のグリッツと違うので、ジェラシーを感じてしまいます」と感慨深そうにコメントしていました。
週末は本拠地・新横浜で再び2連戦
次の試合は、同じ本拠地の新横浜で今週9月17日(土)・18日(日)に「ひがし北海道クレインズ」(釧路市)と戦います。
浅沼監督は「(ひがし北海道クレインズは)全日本選手権を連続優勝しているし、個々の選手のパフォーマンスは非常に高い。連勝はあくまでも通過点なので、仕切り直して緊張感をもって練習をやっていく」と気を引き締めていました。
9月・10月の「横浜グリッツ」試合日程
- 9月17日(土)16:00:ひがし北海道クレインズ戦(新横浜)(チケット情報)
- 9月18日(日)14:00:ひがし北海道クレインズ戦(新横浜)(チケット情報)
- 9月24日(土)15:00:レッドイーグルス北海道戦(苫小牧)
- 9月25日(日)15:00:レッドイーグルス北海道戦(苫小牧)
- 10月1日(土)16:00:アニャン・ハルラ戦(韓国・アニャン=安養)
- 10月2日(日)16:00:アニャン・ハルラ戦(韓国・アニャン=安養)
- 10月15日(土)16:00:アニャン・ハルラ戦(新横浜)
- 10月16日(日)14:00:アニャン・ハルラ戦(新横浜)
- 10月22日(土)14:00:H.C. 日光アイスバックス戦(日光)
- 10月23日(日)14:00:H.C. 日光アイスバックス戦(日光)
- 10月29日(土)15:00:ひがし北海道クレインズ戦(釧路)
- 10月30日(日)15:00:ひがし北海道クレインズ戦(釧路)
【関連記事】
・<横浜グリッツ>本拠地・新横浜で4戦3勝、初の開幕ダッシュに成功(2022年9月19日、開幕から好スタートを切った)※リンク追記
・大幅に戦力補強した「横浜グリッツ」、9月10日(土)に新横浜で開幕戦(2022年8月29日、新シーズンの展望などを運営会社の社長が語る)
【参考リンク】
・横浜グリッツ(GRITS)の公式サイト(チームの総合案内)
・横浜グリッツファンクラブ「The GULUGERS(グルーガーズ)」(招待チケット付きプランも)
・アジアリーグの公式サイト(各チーム紹介・日程など)