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来館者がさらに増えています。鶴見川に関する防災情報を発信する施設として、国土交通省関東地方整備局が2003(平成15)年9月に開設した「鶴見川流域センター」は、先週(2019年)8月22日に来館者数40万人を達成。これを記念するセレモニーが同日午前に同センターで行われました。

先週(2019年)8月22日に来館者40万人を達成した「鶴見川流域センター」で記念のセレモニーが開催された

先週(2019年)8月22日に来館者40万人を達成した「鶴見川流域センター」で記念のセレモニーが開催された

JR横浜線小机駅北口(日産スタジアム側)から歩いて約8分、新横浜公園と鶴見川が一望できる地(多目的遊水地交差点)にある同センター。

オープン当初からしばらくは約1万3000から1万5000人台だったという年間での来場者数ですが、今回は30万人を達成した2017年3月から2年5カ月たたない期間での40万人「スピード達成」

今は一日平均で約100人から130人、年間での来場者数は約3万人から4万人を超える計算となり、同センターの取り組みがより高い注目を集めていることを反映している中でのセレモニーの実施となりました。

この日、岸上仁(きしうえひとし)センター長(同整備局 京浜河川事務所 事業対策官)から、40万人達成日の来館者を代表して、同センターで「ツルさんバクちゃんのお話会」ボランティアとして活躍している石川紫穂(しほ)さんに、40万人達成の認定証記念バッジ、鶴見川流域の形を象徴しているマスコットキャラクター・バクちゃんのぬいぐるみが贈呈されました。

「地域の力」で多彩なイベント、150超のサポーターが支援

鶴見川流域全体での治水対策を行い、水害や震災などの災害時の防災情報も発信する役割を担う同センター。

「鶴見川流域センター」は、小机駅北口(日産スタジアム側)から歩いて約8分、新横浜公園と鶴見川が一望できる場所(多目的遊水地交差点)にある

「鶴見川流域センター」は、小机駅北口(日産スタジアム側)から歩いて約8分、新横浜公園と鶴見川が一望できる場所(多目的遊水地交差点)にある

鶴見川がよりよい川となるよう、鶴見川を知り、学べる場所として、また情報発信基地としてますます来場してもらえるよう努めていきたい」と、岸上センター長は、日本各地で頻発する豪雨災害による浸水被害などを防ぐためにも、センターを訪れることで、自分が住まう流域により強い関心を持ってもらいたいと語ります。

来館者が右肩上がりで推移している背景について、「地域で活動するグループや団体など、多くの人々の支援があったから」と、同センターの運営の一部を受託しているNPO法人鶴見川流域ネットワーキングTRネット、綱島西2)の亀田佳子理事

岸上仁センター長から、40万人達成の認定証と記念バッジ、マスコットキャラクター・バクちゃんのぬいぐるみが贈呈された

岸上仁センター長から、40万人達成の認定証と記念バッジ、マスコットキャラクター・バクちゃんのぬいぐるみが贈呈された

夏休み中の開館日に毎日開催されるほどのイベントを企画・出演する人々や、鶴見川の生きものを展示する「鶴見川流域水族館」、定期開催の読み聞かせスタッフ、有識者らによる「流域センター応援団」など、多くは地域の活動団体やボランティアの協力により運営が支えられ、結果、より多くの人々で同センターが賑わうようになったとのこと。

鶴見川の流域では、2004(平成16)年8月に、治水や河川水質、自然環境保全、地震防災、水辺での自然とのふれあいや文化の育成などの領域にまで流域連携を拡大したという「鶴見川流域水マスタープラン(水マス)」を策定。

2010年(平成22年)度から、水マスへの鶴見川流域での貢献活動を行う団体・企業などによる“鶴見川の応援団”「水マス推進サポーター」 を認定し、2019年度は累計157団体・企業にその数が達するなど、同センターの活動を支える団体・企業も年々その数を増やしています。

地球温暖化や異常気象は「待ったなし」、鶴見川流域への関心を

鶴見川の調査も手伝う石川友莉さん。新羽ワンド(鶴見川岸の魚が多く生息する場所)で出会った純淡水魚・カムルチー(右)が今一番のお気に入りだという

鶴見川の調査も手伝う石川友莉さん。新羽ワンド(鶴見川岸の魚が多く生息する場所)で出会った純淡水魚・カムルチー(右)が今一番のお気に入りだという

「この『40万人達成記念バッジ』も、流域センター応援団の皆さんが作ったものなんです」と、亀田理事らとともに同センターの運営を支えてきた、TRネット事務局長の小林範和さんも、運営予算が大幅に削られる苦しい時代もあったと着任当初を振り返り、今日の“40万人達成”に至るまでの道のりを喜び、またしみじみとこれまでの日々を振り返ります。

「お話し会」スタッフの石川さんも、娘の石川友莉(ゆり)さんが小学生時代の夏休みには、毎日来場するほどのファンだったとのことで、「今では、鶴見川流域での活動がなくてはならないもの、人生の目標になっています」と、鶴見川の生きものに魅了されているという友莉さんとともに、これからも読み聞かせなどのボランティアとして継続的に同センターでも活動していく予定です。

鶴見川流域センターの運営を支える小林事務局長、亀田理事、中原優人(まさと)さん、吉原聡さん、洲之内(すのうち)早苗さん(写真左から)

鶴見川流域センターの運営を支える小林事務局長、亀田理事、中原優人(まさと)さん、吉原聡さん、洲之内(すのうち)早苗さん(写真左から)

ますますの地球温暖化と異常気象の頻発が叫ばれる中、かつて港北の街を「暴れ川」として襲った過去を持つ鶴見川が、洪水という刃(やいば)をもって襲う日がまたやってくるのか。

災害対策の拠点として、同センターの認知と周知を高めていく必要があるのはもちろん、日々流域に生きることの意味、その楽しさもより広く、そして深く、来館する一人ひとりに伝えていくことが、さらなる地域防災力を飛躍的に高めることにつながっていきそうです。

【関連記事】

<コラム流域思考>暴れ川だった「鶴見川」の記憶、未来にそなえる流域思考の連携へ(2017年5月1日)※連載2回目、鶴見川流域水マスタープランや流域センターについてなど

来場者は右肩上がり、小机の「鶴見川流域センター」が伝え続ける身近な川の魅力と怖さ(2017年5月3日)

<鶴見川流域センター>夏休み中は毎日イベント、7/15(祝)に夏まつりも(2019年7月12日)

【参考リンク】

鶴見川流域センターの公式ページ(国土交通省京浜河川事務所)

鶴見川流域水マスタープランについて(同)

鶴見川の歴史年表(水害の歴史)(同)

鶴見川ってどんな川?(鶴見川流域ネットワーキング=TRネット)

水マスサポーター(同)