横浜市内と近郊の30大学が連携、2027年開催の「花博」開催に向けての情報共有をスタートしました。
先週(2023年)6月9日(金)午前、横浜市役所(中区本町)で、「第17回大学・都市パートナーシップ協議会」代表者会議が開かれました。
同協議会に参加している30大学のうち28大学の学長や副学長、理事長などが来場し、2027年に横浜市内で開催予定の「国際園芸博覧会~GREEN×EXPO2027(グリーンエキスポ=花博)」開催に向けての情報を共有。
30番目の大学として新たに協議会に加わった、2023年4月開学の「ビューティ&ウェルネス専門職大学」(都筑区牛久保)や、同4月にJR根岸線関内駅前にオープンした「関東学院大学横浜・関内キャンパス」(中区万代町)のプレゼンテーションも交え、約1時間30分もの交流のひとときを過ごしました。
同協議会は2005(平成17)年3月に設立。
「都市を構成する多様な主体である市民・企業・行政と大学が互いに成長、発展しうる関係を構築することにより、新しい時代を担(にな)う人づくりの舞台、『21世紀型大学都市ヨコハマ』を実現することを目的」(同協議会会則)とし活動を行ってきたといいます。
毎年1回の代表者会議や、2012(同24)年からの「ヨコハマ大学まつり」イベント(みなとみらい21地区などで開催)を2019年秋まで毎年開催するなどの取り組みを実現してきましたが、新型コロナ禍により中断も強いられ、2020年度は「大学と地域がつながるまち」巡回パネル展を18区で開催するという活動内容も見られていました。
昨年2022年から代表者会議も3年ぶりに復活、設置を承認した「ゼロカーボン横浜(Zero Carbon Yokohama)推進分科会」を中心に、市と大学、大学間で連携し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進することについても情報を共有。
今年の代表者会議で「国際園芸博覧会」の開催について説明を行った同協議会会長の山中竹春横浜市長は、「自然や人、社会がともに持続するための『最適解(最も適する答え)』としての、20年先、30年先の社会を担う次世代とともに議論して考えていく仕組みを構築したい」と、協議会から発展させた「ヨコハマ未来創造会議」を設置することを提案していました。
山中市長は、かつて横浜市立大学の教育現場に身を置いた経験からか、各大学の学生や企業の若手社員といった参加者による議論や「最適解」の探求、共感や“自分ごと”として感じられる意識の醸成といった目標を提示します。
その上で、世界に向けた地球環境問題を解決していくための「ショーケース」としての花博、その成果をレガシーとして横浜の街で継承したいとの想いについても呼びかけていました。
参加増え「30校」に、まち学ぶ取り組みで課題解決なるか
超少子高齢化が進んでいる日本社会において、若年層の人口減少が叫ばれているものの、「(協議会の)発足当初は27大学のみでしたが、今年で30大学となり、若年層が横浜(近郊)に通学してくれることを大変嬉しく思っています」と、市政策局大学調整課の澤田賢一課長は、多くの大学の代表者が参加し、熱く「(各事業に)参画したい」との声も寄せられたことを大いに喜びます。
この日来場した公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会(中区住吉町)参与の小池政則さんは、「グリーンエキスポの公式クリエイターとして、大倉山出身の建築家・隈研吾(くまけんご)さんがマスターアーキテクト(基本計画を担当する建築家)に就任することも決定しました。各大学の皆様には関連の事業に積極的に参画いただき、(花博を)盛り上げてもらえれば」と呼び掛けていました。
今回、プレゼンテーションを行った「ビューティ&ウェルネス専門職大学」は、未来志向型で世界的規模で拡大する「ウェルネス産業」での将来性を強くアピールしています。
また、関内駅前に社会連携教育の“知の交流拠点”として「横浜・関内キャンパス」を始動した関東学院大学の取り組みにも見られる、地域と交わり、未来を創造する挑戦といった動きを、この先の大学教育をさらに実りあるものとして社会に浸透させていくことができるのか。
「花博」の開催やそれらにまつわる活動が、成長産業の育成や脱炭素社会の実現といった世界的な環境問題の解決にもつながっていくのかといった視点においても、各大学がどのように連携を深め、それらの具現化に向けて進んでいけるのかに大きな注目が集まりそうです。
【関連記事】
・ブルーライン中川駅近くに横浜初の「専門職大学」、2023年4月に開学(2022年9月9日)
【参考リンク】
・大学・都市パートナーシップ協議会~大学と地域がつながるまち(横浜市政策局大学調整課)
・大学と地域がつながるまちを目指して30大学の学長と横浜市が懇談します。(同)※記者発表資料
・大学・都市パートナーシップ協議会 参加大学一覧(同)※鎌倉女子大学・鎌倉女子大学短期大学部(鎌倉市)と玉川大学(町田市)は市外だがそれぞれ横浜市にとっても影響が大きい大学とのことで参加しているという