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横浜労災病院(小机町)を建て替える方針が決まりました。

開院から約33年が経過し、一部が老朽化していることにともなうもので、現時点では6年後の2030年度にも新たな建物で開院する計画としています。

新横浜駅前公園側から見た横浜労災病院の正面玄関付近、左側が10階建ての病棟(資料写真、2019年5月)

横浜労災病院を運営する厚生労働省所管の独立行政法人「労働者健康安全機構」(川崎市中原区)によると、建物(躯体)自体はそれほど古くなっていないものの、内部の配管などに老朽化が見られるといいます。

2024年度から建物の設計を始め、現在は駐車場として使っている場所に同規模の新たな病院の建設を計画。工事期間中は利用者に影響が及ばないよう近隣に新たな駐車場を確保していく考えです。

新たな病院は現在の正面玄関から見て裏手の駐車場に建設する計画(横浜市会健康福祉・医療委員会2024年2月16日資料「横浜労災病院の再整備について」より)

横浜市医療局が市会(市議会)の「健康福祉・医療委員会」で公表した資料によると、新病院では救急医療体制の拡充を行うとともに、周産期医療や災害対応、地域がん診療連携機能などを強化する構想としています。

横浜市が土地を買収して誘致

横浜労災病院は人口が増加しつつあった港北区など市内北部地域の基幹となる病院として1991(平成3)年6月に開院。

日産スタジアム(写真奥)の至近に建つ横浜労災病院は、10階建ての「病棟」、玄関的な4階建ての「中央診療棟」、5階建ての「管理棟」などで構成。写真右奥の道路は新横浜元石川線(資料写真、2021年8月)

横浜市が1980年代に周辺の地権者らから土地を買収し、当時の労働福祉事業団(現労働者健康福祉機構)に建設用地を無償貸与する形で誘致したものです。

新横浜駅からは徒歩で10分ほど、日産スタジアムの東ゲートに近い小机町に位置。現在の診療科目は37科で病床数は650床あり、外来患者数は1日あたり1346人から1580人にのぼるといいます。

高度医療を担う病院が横浜市内の各エリアに整備されている(横浜市医療局「よこはま保健医療プラン2024」素案より)

横浜労災病院は、2022年度時点で救急車の受入台数が年間9000台弱で市内2位、救急車以外の救急受け入れは1万4000件超で市内1位、小児救急や周産期救急の受け入れも市内でトップとなるなど、北部エリアの救急病院としても重要な役割を担います。

現在も人口増加を続ける北部地域であっても住民の高齢化は進んでおり、高度医療の中心となる病院が一新され、救急医療体制などが強化されることは心強い動きといえそうです。

川崎市中原区の「関東労災病院」に入る横浜消防の救急車(日吉消防出張所所属)、日吉エリアではとなりの元住吉駅が最寄りとなる同病院を使う住民も目立つ(2021年11月)

なお、港北区内でも北部の日吉エリアなどでは、綱島街道沿いで距離的にも近い川崎市内の「関東労災病院」(中原区木月住吉町、元住吉駅から徒歩7分)を利用する市民も目立ちます。

一方で昨年3月には東急新横浜線が開業して新横浜駅にアクセスしやすくなっており、今後は人口の多い日吉エリアからも横浜労災病院の利用が増える可能性があります。

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ブルーラインがつなぐ“長寿区”、平均寿命が長い青葉・都筑・港北から麻生へ(2023年5月17日、横浜北部エリアの平均寿命は全国でも上位)

【参考リンク】

横浜市会(市議会)健康福祉・医療委員会「横浜労災病院の再整備について」PDF、2024年2月16日)

横浜労災病院の公式サイト(小机町、新横浜駅から徒歩7~10分、日産スタジアム近く)

独立行政法人労働者健康安全機構(JOHAS)(全国32カ所の労災病院を運営、本部は「関東労災病院」に隣接した場所に置いている)