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65歳以上の割合が全人口の2割以上を占める「超高齢社会」を迎えるなか、港北区内では病院へ入院することが他区と比べより厳しい状況にあります。人口10万人当たりの病床数が周辺ワーストの状況です。

65歳以上の割合が全人口の2割以上を占める「超高齢社会」を迎えている(写真はイメージ)

一方で診療所(クリニック)や介護施設の数は市内トップクラスという環境にあり、たとえ病気や介護が必要な状況になったとしても、大型病院に頼らない状態を保つことが区の超高齢社会を生き抜くうえで重要といえそうです。

このほど港北区から公開された「横浜型地域包括ケアシステムの構築に向けた港北区行動指針」(2018年3月付け)によると、港北区内では65歳以上の人口割合を示す「高齢化率」が今年1月現在の推計で19.4%となり、横浜市内平均の24.2%や国平均の27.8%と比べてもかなり低い状況にあります。

港北区の将来人口推計(折れ線)と65歳以上の高齢者の総数(棒グラフ)(港北区行動指針より)

また、今から30年以上先の2040年になっても高齢化率は28.1%にとどまり、市内平均はもちろん、高齢化率がもっとも低いと言われる沖縄県よりも低い割合になる見込み。今後半世紀は人口も大きな変動はないとの推計も出ており、現時点で港北区は高齢化社会と縁遠いエリアともいえます。

一方で不安がないわけではありません。高齢者の数自体は、市平均を遙かに上回るペースで増えていくといい、「後期高齢者(※75歳以上)が緩やかに増える『地方』に比べ、高度経済成長期に3大都市圏に集まった団塊世代(※主に1947=昭和22年~1949=昭和24年生まれ)が一気に後期高齢者となる『都市』の方が事態は深刻」(港北区行動指針)と指摘されています。

人口10万人当たりの病床数はわずか413床

港北区の人口10万人あたりの病院(20床以上)病床数は413床と全国平均の1210床と比べきわめて低い。このほか、一般診療所(医院=クリニック、0~19床)も区内に170床を持つ(日本医師会の地域医療情報システム「港北区」より)

港北区特有の課題として不安なのが病院(20床以上)の病床(びょうしょう)数がきわめて少ないことです。人口10万人当たりの病床数は、わずか413床(2017年10月現在、日本医師会「地域医療情報システム」より)しかありません。

これは全国平均の1210床には遠くおよばず、全国でもっとも低い水準にある神奈川県平均(815床)と比べても半分程度。港北区と隣接する行政区のなかでは、神奈川区(439床)や川崎市幸区(426床)よりさらに少ないワースト数となってしまいました。緑区(857床)川崎市中原区(721床)と比べてみると、きわめて低い水準にあることがわかります。

日吉・綱島・高田など鶴見川の北側に大きな病院(20床以上)はほとんどなく、“他自治体・他区頼み”の状況(港北区行動指針より)

区内では特に鶴見川の北側が手薄となっており、日吉・綱島・高田エリアでは、日吉駅近くの日吉病院(精神科、77床)や高田駅近くにある高田中央病院(60床)の2病院のみで、新吉田や新羽エリアには1つも病院(20床以上)がありません。

ただ、日吉エリアには、近接する川崎市内に「川崎市立井田病院」(383床=中原区井田)があり、次駅の元住吉駅近くには「関東労災病院」(610床=中原区木月住吉町)が置かれ、高田エリアの近接地には「山本記念病院」(131床=都筑区東山田町、※高田町バス停至近)があります。

新横浜駅からの徒歩圏にある「横浜労災病院」(650床)など病院は港北区の南側に多い

新羽や新吉田エリアからは、地下鉄ブルーラインやグリーンラインで直結するセンター南駅近くに「昭和大学横浜市北部病院」(689床=都筑区茅ケ崎中央)が置かれるなど、比較的近い場所に大きな病院はありますが、鶴見川の北側は“他自治体・他区頼み”という状態になっています。

2025年には首都圏全域で病床不足が深刻化するとみられており、横浜市全体でも、約7000床の病床が不足すると予測されています。それでなくても病床数が少ない港北区は、超高齢社会のなかで不安要素といえます。

クリニックや介護施設の数は市内トップクラス

港北区における「地域包括ケアシステム」のイメージ。地域が一体となって超高齢社会に立ち向かい、支え合う仕組みづくりを目指している(港北区行動指針より)

こうした状況のなかで横浜市は、「住み慣れた地域で、自分らしく最後まで暮らすことができるようにする仕組み」(港北区行動指針)として「横浜型地域包括ケアシステム」を打ち出しています。

今回公開された“港北区行動指針”は、その港北区版とされる内容です。

医療や介護分野に加え、さまざまな地域活動や団体とも連携し、介護予防や健康づくりにつなげることを目標としているのが特徴としています。

港北区では病院(20床以上)の数と病床数は少ないものの、一般診療所(医院=クリニック、0~19床)はすべての診療科目で全国平均以上の数を持つ。歯科も多い。身近な医療機関は充実しているといえる(日本医師会の地域医療情報システム「港北区」より)

医療や介護の分野では、港北区は病院の病床数が少ない一方で、地域医療を支える医院(病床がない、または19床以下=クリニック)は横浜市内でトップとなる268施設があり、人口10万人当たりの医院数77カ所は全国平均の68カ所を上回ります。

介護施設の379カ所も青葉区(382カ所)に次ぐ市内2位の数で、神奈川県内全体でも7位につけています。認知症の専門相談や支援を行う大型施設「横浜市総合保健医療センター診療所」も日産スタジアム近くの鳥山町に置かれているなど、身近な医療や介護を担う施設自体は充実しているといえそうです。

区内に9カ所ある「地域ケアプラザ」は、受け持つ対象人口(1万3000人~8万1000人)や65歳以上の高齢化割合(16.6%~24.2%)、高齢者のみの世帯数など地域によって状況や課題は異なっている(港北区行動指針より)

介護予防や健康づくりの担い手として期待される「自治会・町内会や地区社協等の地域活動、NPO等の市民活動が活発」(港北区行動指針)であることも有利な環境。福祉や保健の拠点として9カ所の「地域ケアプラザ」が設けられ、介護の悩みに相談したり、介護予防のための活動を行ったりといった体制も整えつつあります。

病院の病床数以外は、比較的不安要素の少ない港北区。超高齢社会を区内で生き抜くうえでは、大きな病院にかかる前に、地域内で医療や介護を完結できるよう、地域活動にも目を向けながら、健康を保っていくことが重要なポイントとなりそうです。

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【参考リンク】

横浜型地域包括ケアシステムの構築に向けた港北区行動指針PDF、2018年3月付)

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