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新横浜での「人命救助」に感謝状が送られるとともに、救急救命方法を学び体得する必要性や、救急車の適切な利用など、予防救急への理解促進を呼び掛けます。

横浜市港北消防署(大豆戸町)は、きのう(2024年)5月30日(木)午後、港北区内のスポーツ施設での人命救助に対しての感謝状を贈呈。

約20人の職員が見守る中、大きな拍手でその功績を称えました。

新横浜での人命救助で感謝状を贈られた古瀬さん(左)、長谷部所長(港北消防署、5月30日)

新横浜での人命救助で感謝状を贈られた古瀬さん(左)、長谷部所長(港北消防署、5月30日)

人命救助を行ったのは、川崎市在住看護師・古瀬美穂さん

今年3月24日(日)の22時45分ころ、新横浜2丁目の「KOSE新横浜スケートセンター」でアイスホッケーの練習試合を行っていた50代の男性選手が、体調の不良を感じ、リンクから観覧席に上がってきたことに数名の来場者がまずは気づいたといいます。

古瀬さんもその異変に気付き、苦しそうな状況のなか、携帯電話で家族に連絡を取ろうとする選手のところに駆けつけると、呼吸が止まり心肺停止の状態になってしまったといいます。

看護師として医療機関で勤務する古瀬さんにとっても、業務外の日常生活の中で人命救助を行うシーンは初めてだったという

看護師として医療機関で勤務する古瀬さんにとっても、業務外の日常生活の中で人命救助を行うシーンは初めてだったという

そのため、古瀬さんはまずは心臓マッサージをスタート。この間、約30人の選手や来場者が119番通報を行い、またAED(心臓救命装置)を探し現場にもってきてくれた人もいたとのこと。

「最近は管理職のため、あまり現場には出ていなかったのですが、救急救命のセクションでの勤務経験もあり、使用経験も仕事としてあったので」と古瀬さんはAEDを使用、さらに心臓マッサージも続けて行い、男性の脈が無事に戻ったと語ります。

意識はない状況が続いていたものの、約10分で到着した救急隊員に引き継ぎ、男性は病院へ。

アイスホッケーの試合が多く行われている「KOSE新横浜スケートセンター」(資料写真)

アイスホッケーの試合が多く行われている「KOSE新横浜スケートセンター」(資料写真)

社会人アイスホッケーの練習試合中に今回の救急事案は発生した(資料写真)病院到着後に男性は意識を回復、比較的早く退院できたといい、現在は社会復帰を無事果たしているとのことです。

今回、表彰状を授与した港北消防署の長谷部宏光署長は、「総務省消防庁の『救急・救助の現況~救急蘇生統計(2023年版)』によりますと、一般市民が目撃した心肺停止傷病者の1カ月後の生存率は(心肺を蘇生をしなかった場合で)約6.6%ほどと、非常に社会復帰は難しい、厳しいとされています」と、“命をつなぐ”事の難しさを指摘します。

一旦心肺停止になってしまった人の生存率・社会復帰率は高くない。古瀬さんへの感謝の想いを伝えるべく約20人の消防署員や救急隊員らが参加し表彰式が行われた

一旦心肺停止になってしまった人の生存率・社会復帰率は高くない。古瀬さんへの感謝の想いを伝えるべく約20人の消防署員や救急隊員らが参加し表彰式が行われた

その上で、「こののち、一般市民によります応急手当を実施していただいた場合は、しなかった場合と比べると生存率約2倍社会復帰では約3倍と、篠原消防出張所(篠原町)からの救急車到着までの間、市民の方に応急手当をしていただくことがいかに重要であるか、今回の事案をもちまして改めて実感しました」と、速やかな応急処置としての心臓マッサージやAEDの使用の大切さについても言及。

「市民の皆様の多くが今回の古瀬さんのように、勇気ある行動をとれますように、消防署としましても、引き続き応急手当の普及、啓発に取り組んでまいります」との決意についてもその想いを熱く語っていました。

「F・マリノス」サッカー教室での人命救助も

昨年(2023年)6月10日には、小机町にある新横浜公園内「しんよこフットボールパーク」で、一般社団法人F・マリノススポーツクラブ(新横浜2)によるサッカーイベント開催時に人命救助が行われています。

サッカースクールの大人クラスの交流戦が行われていたという会場での試合間の休憩中、膝に手をついた男性が後方に倒れてしまうところを、同クラブのコーチ・スタッフやスクール生が発見。

心肺停止状態になってしまったこともあり、計6人が中心となって連携し、119番通報心臓マッサージを実施するとともに、施設内にあったAEDを現場に搬送し2回使用。10分後には意識の回復を確認したといいます。

人命救助を行った一般社団法人F・マリノススポーツクラブの皆さん(港北消防署の旧ツイッター(X)より)

人命救助を行った一般社団法人F・マリノススポーツクラブの皆さん(港北消防署の旧ツイッター(X)より)

その5分後、篠原消防出張所から到着した救急隊に無事に引き継ぎ、その6分後に到着した救急車で病院に搬送。

男性は回復し、無事に退院。後日、スクール活動に参加するも、後遺症は残っていないとのことです。

横浜F・マリノスでは、AEDの使い方や救急救命のスタッフ向け講習会を実施しているといい、一般の人々に向けた講習会も行っているとのことです。

新横浜公園内「しんよこフットボールパーク」のサッカースクールで救急救命が行われた(資料写真)

新横浜公園内「しんよこフットボールパーク」のサッカースクールで救急救命が行われた(資料写真)

当時の木村正夫港北消防署は、「かつて、F・マリノスで活躍した松田直樹選手が心肺停止でなくなった事案は残念でしたが、それを機にAEDの設置が促進され、救命行為が適切に行われたことで今回の事案につながったのは感慨深い」と、その感想を語ります。

同署総務・予防課向井克志庶務係長は、「迅速かつ適切な救命行為により尊い命が救われたことに対し感謝したい」との言葉を寄せていました。

「救急搬送」増加で予防救急の普及プロジェクトが発足

横浜市消防局では、今年4月26日に、過去の救急出場データなどの分析結果を踏まえ、医療や福祉、子育てに関連する関係局と連携し、病気やケガを未然に防ぐ取り組みや救急車の正しい利用方法などについて、市民への普及啓発に取り組む「予防救急等推進プロジェクト」を実施していくと発表。

5月9日には、横浜市消防局の本部庁舎(保土ケ谷区川辺町)で、救急需要を抑制するための「予防救急等の普及啓発」についての方向性を示す各メディアへの発表も行っています。

港北区にある救急車はわずか8台のみだという(日吉消防出張所)

港北区にある救急車はわずか8台のみだという(日吉消防出張所)

市消防局によると、市の2023年中の救急出場件数は過去最多を記録。

救急出場から現場到着までにかかる平均時間は、2013(平成 25) 年中の約6.8分に対し、昨年(2023)年中は、約8.8分と、約2分も延びてしまっているといいます。

「『救える命』を救うためには、1分1秒が重要になってきます。『通報から応急処置、搬送、そして医療機関へ』という『救命の連鎖』を確実につなげていくことが必要です」(同消防局)とし、緊急性のある事案に確実に対応し、市民が安心できる救急体制を維持していくための、適切な救急車の利用、また救急救命法への理解・普及の促進といった、市民一人ひとり、また地域ぐるみでの対応の必要性を呼び掛けます。

誰もが「救急救命」を学べる機会を増やすことが望まれる(「新横浜中央ビル=R東海・新横浜駅ビルでの救命講習会、2023年11月)

誰もが「救急救命」を学べる機会を増やすことが望まれる(「新横浜中央ビル=R東海・新横浜駅ビルでの救命講習会、2023年11月)

特に港北区内の救急出動は市内最多、また約37万人もの人口に対し、救急車の台数が8台という現状もあり、「逼迫(ひっぱく)している救急車の出動への理解を促進していきたい」(港北消防署の担当者)とのことです。

今回の2件の「人命救助」にも見られる「救急車」の到着までの対応、また到着してからの救急搬送といった「1分1秒」が人命を救えるかにかかわることから、市民一人ひとりが救急救命への理解を深め、“いざ”という場面での対応力を高める必要がありそうです。

【関連記事】

新線で来街者が増える新横浜、玄関口「駅ビル」のテナントなど80人が救命講習(2023年11月20日)※「新横浜中央ビル」(JR東海・新横浜駅ビル)での取り組み

新羽のスカッシュ施設でAED使い「人命救助」、港北消防署から3人に感謝状(2022年11月10日)

突然の「心肺停止」にどう対応すべきか、横浜アリーナ内の人命救助で感謝状(2022年2月25日)

【参考リンク】

【記者発表】適切な救命処置により尊い命が救われました!(横浜市港北消防署総務・予防課)※「KOSE新横浜スケートセンター」での人命救助について

【記者発表】適切な救命処置により、尊い命が救われました! ~ 港北消防署長から感謝状を贈呈します (同)※「しんよこフットボールパーク」での人命救助について

【記者発表】予防救急等推進プロジェクトを立ち上げます!(横浜市消防局救急企画課)

【報道資料】「令和5年版 救急・救助の現況」の公表(総務省消防庁)※救急車の出動が(コロナ禍を除き)右肩上がりで増えている

#命つなぐアクション スタジアムのAEDがどこにあるか知っていますか?(横浜F・マリノス)