新横浜や小机に近い都筑区内の「都田(つだ)地区」でワゴン車によるバス路線の運行実験が来月(2023年)1月4日(水)から始まります。
12人乗りのワゴン車を使うこの路線は、地下鉄ブルーラインの仲町台駅から「IKEA(イケア)港北」に近い折本町や、今年6月に東方(ひがしかた)町でオープンした「都田地区センター・ケアプラザ」を経由する循環バスとして1日10便から14便を運行。
横浜市営バスの「600系統」という番号が付けられ、運賃は市営バスと同じ220円(小児110円)。交通系ICカードでの支払いにのみ対応し、現金での支払いには対応していないとのことです。
今回のワゴン車による同路線は、新横浜駅を発着する「300系統」(新横浜駅~日産スタジアム~港北インター~新開橋~仲町台駅)と、仲町台駅と都筑ふれあいの丘駅などを結ぶ「318系統」(仲町台駅~都筑スポーツセンター~星ケ谷~都筑ふれあいの丘駅~センター南駅)を再編する過程で生まれました。
東方町や折本町、池辺(いこのべ)町などを走る両路線は、公共交通の空白地帯を埋める目的で市が補助金が投入する「生活交通バス路線維持制度」を使って運行。
市交通局による2021年度の収支表では、100円の収入を得るために300系統は「210.1円」、318系統が「302.5円」を要する赤字路線となっています。
新型コロナウイルス禍の影響でバス路線全体の収支が厳しい状況におちいるなか、市交通局では両系統の再編を検討してきました。
300系統については、新横浜駅から港北インターチェンジ付近で大型再開発が行われている「川向(かわむこう)町南耕地地区」へ乗り入れる循環路線とし、朝と夕方には新羽駅へも乗り入れるなど、新たな需要創出を狙うとともに路線距離を短縮し、あわせて減便を実施。
318系統では、丘の上に新設された「都田地区センター・ケアプラザ」への乗り入れを検討したものの、坂道の道幅が狭くバスの走行が難しかったため、これを断念したうえで減便する形としました。
一方、駅から離れた東方町や折本町では318系統が重要な生活路線となっており、地区センター・ケアプラザへの交通手段も求められていることから、地域の移動手段確保の役割を担当する市道路局が解決に乗り出し、ワゴン車による実証実験を計画。
ワゴン車の運行を市交通局に委託して系統番号も付す形で、期間限定の新路線が生まれることになったものです。
現時点では再来年の2024年3月31日までの運行とし、1日あたり170人という乗車人数の目標を示します。道路局によると、実証実験後に運行を継続するか否かは利用状況などを判断して決めるといいます。
都筑区や港北区など市北部では、坂道が多いうえに道幅の関係からバスの乗り入れが難しい地域も目立っており、超高齢化で移動手段の確保は大きな課題となっているだけに“ワゴン車バス路線”の行方に注目したいところです。
「都田(つだ)地区」とは
今年6月に東方町にオープンした「都田(つだ)地区センター・ケアプラザ」の名前にもなっている「都田」は、明治中期から都筑(つづき)郡の中心を成していた「村(自治体)」の旧名称。
1934(昭和9)年に「川和町」として改称されるまで存在し、池辺や東方、川向、佐江戸、折本、大熊と川和の7つの村(地域)で構成されていました。
都筑郡でもっとも水田が多い土地柄だったことから「都田」と名付けられたと言われます。
現在はブルーライン沿いの仲町台や桜並木、平台、長坂をはじめ、東方町や折本町、大熊町、川向町など、仲町台駅付近から港北区小机町や新羽町との区境までの一帯を指す地区名として、連合町内会の名称にも残されています。
【関連記事】
・市バスが1月4日改正、新横浜発「300系統」を分割、新羽~中山「28系統」新設(2022年12月8日、今回の新路線などについて)
【参考リンク】
・「市営600系統」バス事業者によるワゴン型車両の運行(都筑区都田・池辺地区)(路線図など、横浜市地域交通サポート事業のページ)
・「ワゴン型車両(市営600系統)」による運行を開始します~都筑区都田・池辺地区ワゴン型車両による地域交通の実証実験(横浜市道路局)