東京証券取引所(東証)の最上位となる新たな「プライム市場」へは港北区内に本社を置く12社が移行しました。
東証は今月(2022年)4月4日(月)に市場区分を「プライム」、「スタンダード」、「グロース」の3つに再編し、区内に本社を置く上場企業では12社が最上位のプライム、11社がスタンダード、3社がグロースへそれぞれ移りました。
東証では2013(平成25)年に当時の「大阪証券取引所(大証)」と合併して以降、株式の時価総額や純資産の規模などに応じて「一部」と「二部」、主にベンチャー企業向けの「マザーズ」、旧大証が運営していた「ジャスダック(JASDAQ)」という4つの市場区分を設けていましたが、「各市場区分のコンセプトが曖昧(あいまい)」(東証)という課題がありました。
特に最上位の市場である「一部」は、誰もが知るようなグローバル企業から中小規模の企業までが混在しているうえ、「上場後に積極的な企業価値向上を促す仕組みとなっていない」(同)とも指摘されています。
そのため東証では市場コンセプトを明確にしたうえで3つの市場に再編。世界目線での経営を目指す最上位の「プライム」をはじめ、安定的な業績と規模を持つ国内企業向けの「スタンダード」、将来的な成長が見込まれる主にベンチャー企業向けの「グロース」という3つを新設したものです。
最上位のプライムへ移るにあたっては、「売上高100億円以上で最近2年間の利益合計が25億円以上」かつ「株主数は800人以上で流通株式の時価総額が100億円以上」といった従来の一部と比べ厳しい基準を設定。これまで一部だった2177社のうち、プライムに移行したのは1839社にとどまっています。
港北区内でも一部上場だった株式会社トーエル(高田西1)や株式会社小野測器(新横浜3)はプライムへは移りませんでした。
なお、東証では、金融機関などの特定投資家のみ株式売買ができる「TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)」を2009(平成21)年から開設し、区内ではカレント自動車株式会社(新横浜2)が上場していますが、こちらは区分変更の対象となっていません。
一方、東証だけでなく「名古屋証券取引所(名証)」でも4月4日から従来の「一部」「二部」「セントレックス」を「プレミア」「メイン」「ネクスト」という名称で市場の見直しを行っており、区内では二部に上場していた株式会社丸八ホールディングス(新横浜3)が「メイン」市場に移っています。
2022年4月時点で港北区に本社を置く企業は28社が上場。2021年中に1社が移転、1社は上場を廃止し、今年(2022年)は1社が都筑区から港北区内へ移り、1社は横浜市中心部へ本社を移転しています。
港北区内の上場企業における移行状況
(※)売上規模の単位は億円、最新の通期決算(期末)による
(※)社名部分からIR情報のページにリンクしています
<東証「プライム」市場:12社>
- 【プライム】マクニカ・富士エレホールディングス株式会社(旧東証1部:新横浜1、売上規模:5539.6)
- 【プライム】ユニプレス株式会社(旧東証1部:新横浜1、売上規模:2345.4)
- 【プライム】株式会社ヨロズ(旧東証1部:樽町3、売上規模:1188.6)
- 【プライム】アマノ株式会社(旧東証1部:大豆戸町、売上規模:1135.9)
- 【プライム】株式会社アルプス物流(旧東証1部:新羽町、売上規模:1005.6)
- 【プライム】レーザーテック株式会社(旧東証1部:新横浜2、売上規模:702.4)
- 【プライム】日総工産株式会社(旧東証1部:新横浜1、売上規模:682.1)
- 【プライム】株式会社コーエーテクモホールディングス(旧東証1部:箕輪町1、売上規模:603.7)
- 【プライム】イリソ電子工業株式会社(旧東証1部:新横浜2、売上規模:365.2)
- 【プライム】アネスト岩田株式会社(旧東証1部:新吉田町、売上規模:355.8)
- 【プライム】イノテック株式会社(旧東証1部:新横浜2、売上規模:325.3)
- 【プライム】コーア商事ホールディングス株式会社(旧東証1部:日吉7、売上規模:178.1)
<東証「スタンダード」市場:11社>
- 【スタンダード】大井電気株式会社(旧ジャスダック:菊名7、売上規模:294.1)
- 【スタンダード】株式会社テラプローブ(旧東証2部:新横浜2、売上規模:259.4)
- 【スタンダード】株式会社トーエル(旧東証1部:高田西1、売上規模:224.6)
- 【スタンダード】株式会社サンオータス(旧ジャスダック:新横浜2、売上規模:147.2)
- 【スタンダード】株式会社放電精密加工研究所(旧ジャスダック:新横浜3、売上規模:109.2)
- 【スタンダード】株式会社エヌエフホールディングス(旧ジャスダック:綱島東6、売上規模:106.5)
- 【スタンダード】株式会社小野測器(旧東証1部:新横浜3、売上規模:98.5)
- 【スタンダード】株式会社山王(旧ジャスダック:綱島東5、売上規模:80.5)
- 【スタンダード】シリウスビジョン株式会社(旧ジャスダック:新横浜2、売上規模:41.3)
- 【スタンダード】リーダー電子株式会社(旧ジャスダック:綱島東2、売上規模:33.1)
- 【スタンダード】図研エルミック株式会社(旧東証2部:新横浜3、売上規模:6.1)
<東証「グロース」市場:3社>
- 【グロース】フォーライフ株式会社(旧東証マザーズ:大倉山1、売上規模:107.6)
- 【グロース】株式会社JMC(旧東証マザーズ:新横浜2、売上規模:24.1)
- 【グロース】株式会社リプロセル(旧ジャスダック:新横浜3、売上規模:12.8)
<TOKYO PRO Market:1社>
- 【変更無し】カレント自動車株式会社(TOKYO PRO Market:新横浜2、売上規模:57.7)
<名証「メイン」市場:1社>
- 【名証メイン】株式会社丸八ホールディングス(旧名証2部:新横浜3、売上規模:128.1)
<本社移転済み>
- 【本社移転】旧株式会社ココカラファイン(旧東証1部:旧新横浜3)→2021年10月1日にマツモトキヨシホールディングスとの経営統合に伴い株式会社マツキヨココカラ&カンパニーに社名を変更し、東京都文京区へ本社移転(※子会社の株式会社ココカラファイングループの本社は新横浜3)
- 【本社移転】株式会社ピーシーデポコーポレーション(旧東証1部:旧新横浜3)→2022年1月に横浜市西区高島1の横濱ゲートタワーへ本社移転
<上場廃止済み>
- 【上場廃止】株式会社PALTEK(パルテック)(旧東証2部:新横浜2)→レスターホールディングス傘下入りにより2021年8月31日で上場廃止
【関連記事】
・上場のカレント自動車が新横浜に本社、「外車王」や「旧車王」を展開(2022年2月14日)
【参考リンク】
・東京証券取引所「新市場区分特設サイト」(新市場各社の検索も可能)
・東京証券取引所「市場区分見直しの概要」(今回の市場区分再編について)
・名古屋証券取引所(名古屋市)