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「強豪校」でも、最初は初心者から――在校生2年生から5年生までの体験入部を呼び掛けます。

マーチングバンドで全国大会に13年連続出場した横浜市立太尾小学校。「鼓笛隊」の設立から40余年、「マーチングバンド」としても30余年の歴史を重ね、地域に密着した活動をおこなってきた

マーチングバンドで全国大会に13年連続出場した横浜市立太尾小学校。「鼓笛隊」の設立から40余年、「マーチングバンド」としても30余年の歴史を重ね、地域に密着した活動をおこなってきた

大倉山7丁目の横浜市立太尾小学校で活動する「太尾小学校マーチングバンド」は、全国大会に13年連続出場

昨年(2021年)12月11日にさいたまスーパーアリーナ(埼玉県さいたま市)でおこなわれた「第49回マーチングバンド全国大会」に、関東支部代表10枠に入り出場、「グッドパフォーマンス賞」(順位付けはない方式の中、最高賞とされている賞)を受賞しています。

また、12月18日に武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)でおこなわれた全国大会「ジャパンカップ2021~全国ジュニア小学生マーチングバンド選手権大会・小学生の部」(同組織委員会主催、東京都北区)で優勝という成績をおさめるに至ります。

地域への感謝が綴られた横断幕が学校に掲示されていた(2021年12月25日)

地域への感謝が綴られた横断幕が学校に掲示されていた(2021年12月25日)

新型コロナウイルス禍もあり、2020年度と今年度(2021年度)は活動の制約も大きく受けたマーチングバンド界。

同校の館(やかた)雅之校長は、「本校のマーチングバンドは伝統もあり、今までもよい成績をおさめてきましたが、昨年、今年は特にコロナ禍で練習もできない中、子ども同士でオンラインで練習をしたり、鶴見川河川敷で自主的に練習したりして進めてきました」と、活動が子どもたち自ら積極的におこなわれてきたこと、その成果ばかりでなく、その“プロセス”をこそ、より多くの地域周辺の人々に知ってもらえたらとの想いを抱いているといいます。

「音楽でつないだバトンを未来へ」歴史綴る“冊子”も制作

歴代顧問の指導もあり技術を高め成長を遂げてきた(2021年度、太尾小学校マーチングバンド保護者会提供)

歴代顧問の指導もあり技術を高め成長を遂げてきた(2021年度、太尾小学校マーチングバンド保護者会提供)

太尾小学校マーチングバンドは、1979(昭和54)年鼓笛隊として活動をスタート。

1987(同62)年マーチングバンドとして発足、1990(平成2)年には金管バンドフェスティバル(東日本大会)で優秀賞を受賞。

2002(同14)年には初の関東大会出場、2009(同21)年には初の全国大会銀賞、2010(同22)年には全国大会で初の金賞を受賞するなど、以降、「13年連続全国大会出場」という成績を収め続けています。

代々の歩みを記してきた冊子が2010年度、2015年度、そして2020年度に制作され、貴重な資料として学校に保存されている

代々の歩みを記してきた冊子が2010年度、2015年度、そして2020年度に制作され、貴重な資料として学校に保存されている

この歴史と伝統による活動の日々を、2019年度と今年度(2021年度)、保護者会の代表として支える世羅博美さんは、「マーチングバンドとして発足してから30年超となりました」とその歩みを振り返り、マーチングバンド発足に尽力した後藤俊哉教諭、歴代顧問の大伴紀子教諭館紀子教諭米谷学教諭漆畑素子教諭ほか多くの教員、講師の指導によりその伝統が引き継がれてきたことに感謝の意を表します。

マーチングバンドの歩みは、1991(同3年)にスタートした定期演奏会の節目ごとに発行してきた3冊の「記念誌」に、曲目や指導者、メンバーや児童、卒業生、保護者らによる思い出エピソードとして掲載。

「時が経っても」色褪(あ)せない活動の歴史をたどれる貴重な冊子には、「音楽でつないだバトンを未来へ」との言葉も綴られています。

未経験から入部も歓迎、「定期演奏会」は開催できるか

保護者会が準備した衣装で大会に臨み全国優勝に輝いた記念に(2021年度、太尾小学校マーチングバンド保護者会提供)

保護者会が準備した衣装で大会に臨み全国優勝に輝いた記念に(2021年度、太尾小学校マーチングバンド保護者会提供)

伝統あるマーチングバンドへの入部は、一見敷居が高いものと思いきや、「未経験からの入部でも大丈夫です。一部購入する人もいますが、学校から楽器を借りる人が多いです」と保護者会の世羅さん。

部費や、楽器のレンタル料遠征費といった費用も実費かかってしまうものの、「作品に合わせた衣装は、部費の中からつくりました」(世羅さん)と、マーチングの経験者だったという齋藤竜佑(りゅうすけ)教諭(顧問)など、4人の教諭と保護者会が支援しながら、児童が輝くステージへ出場することを日々後押ししているといいます。

「コロナ禍」や数々の大会の中で“涙”することも子どもたちの成長の糧(かて)に。授与されるトロフィーに歓喜がよみがえる瞬間も(太尾小マーチングバンド保護者会提供)

「コロナ禍」や数々の大会の中で“涙”することも子どもたちの成長の糧(かて)に。授与されるトロフィーに歓喜がよみがえる瞬間も(太尾小マーチングバンド保護者会提供)

例年、年度が替わる前の冬時期、今年はまん延防止措置の解除以降(予定)に2年生から5年生までが参加できる体験入部(仮入部)の案内を配布し、翌年度の4月以降に正式入部になる、というスケジュールで部員も募集するといいます。

このほど、「コロナ禍」の影響を受け、来月(2022年)2月12日(土)に予定されていた横浜市小学校マーチング交流会は開催中止に。

初期はお膝元・港北公会堂(大豆戸町)、以降は同小学校で開催されてきた、毎年卒業シーズンに恒例となった定期演奏会も、「昨年も開催が中止になった経緯があり、今年度は無事に開催できるよう祈りたいと思います。今年は、地元の方々に公開できるかは未定となっています」と世羅さん。

大倉山2丁目のエルム通りにある大倉山振興会館(大倉山おへそ)には全国大会出場を祝う横断幕が掲げられている

大倉山2丁目のエルム通りにある大倉山振興会館(大倉山おへそ)には全国大会出場を祝う横断幕が掲げられている

例年では、2009(同21年)から毎年開催されてきた「太尾小学校ふるさとまつり」大倉山、港北区周辺の大型イベントでも演奏披露するなど、これまでも地域ぐるみでの熱き声援に支えられてきた太尾小学校マーチングバンド。

児童一人ひとりの日々の挑戦、そして大会後に見せる子どもたちの「達成感ある笑顔」こそが素晴らしいと語る世羅さんら保護者会のメンバー、教職員たちの想い

新型コロナ感染症の影響で、2020年の2月以降の多くのイベントが中止となるといった“苦難”も乗り越えようと努めながら、マーチング活動による同小学校の新しい「歴史のページ」、そして「音楽のバトン」が、これからも代々引き継がれていくことになりそうです。

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【参考リンク】

太尾デイズ~2021年度(横浜市立太尾小学校) ※2021年12月23日、学校での朝の演奏披露についてなど

太尾小学校マーチングバンド(YouTubeチャンネル)