港北区と新横浜の大手企業が、コロナ対策・IT活用の熱きタッグを組んでいます。
新横浜1丁目に本社を置く大手企業の株式会社マクニカ(原一将社長)は、新型コロナウイルス感染症対策を目的とし、わずか「1秒」以内で体表温度を測定することが可能な「AI体表温度検知機器」を、先月(2021年)2月から区が行う乳幼児健康診査(乳幼児健診)に導入。
ソーシャル・ディスタンスを保ちにくい、「接触」する状況に近いともいえる人の手による測定では列が長くなりがちになるなど時間もかかっていたことから、「瞬時に測定できる」スピード感と、AIが季節や天候にも左右されがちな周辺の温度環境にも対応することでの「正確性」が、高い評価を得ているといいます。
このAI体表温度検知機器は、台湾企業のIEI社製。2018(平成30)年からマクニカが日本におけるIEI社の販売代理店となっており、昨年(2020年)10月には、川崎フロンターレに同機器を提供、立ち止まっての測定が不要となり、従来一人あたり6秒かかっていた入場時の測定作業時間を約6分の1まで短縮することができたといいます。
新型コロナの感染が再び拡大しつつあった昨年12月には、さらなる社会貢献活動を行うためにと、各自治体の要望などを同社がヒヤリング、コロナ対策をなんとか進めたいという港北区役所からの回答もあり、同月からモデル事業としての実施を検討。
今年1月から現場などでの検証を行いながら、2月からのモデル事業としての運用開始に至ったものです。
乳幼児健診を担当する区こども家庭支援課の岩井裕子課長は、「ドアが開いて寒風が入るような場合でも、AIがそれを感知してより正確性の高い数値を出してくれることに驚きました。検温を嫌がってしまうことが多い3歳児も、“自分が映る”ためか、楽しみながら測定を行っている姿も見られます」と、人の手による作業のリスクから解放されたこと、また子どもたちにとっても楽しい機会になっていことも喜びます。
今回のモデル事業化に尽力したマクニカ・アルティマカンパニーの池田明弘部長は、「サッカーの入場時とは異なり、乳幼児の顔が小さいため、検知するための機器の向きなどの設定にも、想定外の調整が必要となりました」と、結果、無事モデル事業がスタートさせることができたことについて、作業的にも苦労をともなう船出だったことを明かします。
同社では、昨年12月に、販売機会減少で苦しむ区内の障害者施設から、1200人分の焼き菓子を購入するという試みを行うなど、「地域貢献」を実現するための社内の機運がより高まっていました。
モデル事業の成功を受けて、マクニカではさらに「AI体表温度検知機器」の普及に努めていくとのこと、特に「密」になりがちなシーンでの同機器の活躍が今後期待されそうです。
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【参考リンク】
・港北区と株式会社マクニカが連携してAI体表温度検知機器のモデル事業を実施!!(横浜市記者発表資料)
・マクニカ 、横浜市港北区と新型コロナウイルス感染症対策をより効果的に実施するための 「AI体表温度検知機器」活用モデル事業を実施(株式会社マクニカ)