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ドラッグストア業界を揺るがす「再編」が新横浜企業から起こる可能性が出てきました。

ココカラファインはアリーナ通りの新横浜3丁目にあるイノテックビルに本社を置く

新横浜3丁目のイノテックビルに本社を置くドラッグストア大手のココカラファイン(塚本厚志社長)は、同業のスギホールディングス(スギHD、愛知県安城市)と経営統合へ向けた協議を行うとともに、マツモトキヨシホールディングス(マツキヨHD、千葉県松戸市)とも資本業務提携の協議を継続すると今月(2019年6月)1日付けで発表しました。

ココカラファインは2008年にセイジョー(東京都府中市)とセガミメディクス(セガミ薬局など)(大阪市東成区)が合併して誕生。2010年に「ジップドラッグ」(愛知県など)と「ライフォート」(兵庫県など)の吸収にともない新横浜へ移転した(「ココカラファインってどんな会社なの?」より)

ココカラファインは東証一部上場企業で、「セイジョー」や「ドラッグセガミ」の運営企業が合併して2008年に誕生。その後に「ジップドラッグ」や「ライフォート」などを展開していたドラッグストアチェーンを取り込んでいます。

2010年10月には、いずれの合併前企業にもゆかりのない新横浜を本社として選択。2019年3月期の売上は4005億円超となり、売上高ではスギHDに次ぐ業界7位

「ココカラファイン」や「セイジョー」、「セガミ」など傘下ブランドによるドラッグストアや調剤薬局は、今年3月末現在で東京都(253店)をはじめ、大阪府(174店)や兵庫県(106店)愛知県(102店)、山口県(71店)など39都道府県に1354店を展開しています。

港北区内唯一となるココカラファインの店舗「セイジョー妙蓮寺店」は妙蓮寺駅近くの旧綱島街道沿いにある

港北区内企業の売上規模で見ると、ココカラファインは、マクニカ・富士エレホールディングス(新横浜1)に次ぐ2番目となりますが、区内での同社店舗は「ヘルスケアセイジョー妙蓮寺店」の1店にとどまっています。

ココカラファインの発表によると、業界6位となる4884億円超(2019年2月期)の売上規模を持つスギHDと経営統合に向けた検討を行い、来月(7月)末までに基本合意書の締結を目指すとのこと。同社とは「かねてより非公式に業界再編等に関する意見交換を行っていた」(ココカラファインのニュースリリース)といいます。

スギHDは、愛知県安城市の三河安城町に登記上の本店を置き、実質的な本社は愛知県大府市に設置。ドラッグストアと調剤薬局を全国で1190店舗を展開しており、2019年2月末現在では中部エリアに463店と関西エリアに429店を持ち、主に中部以西に強みを持ちます。

港北区内で唯一の「スギ薬局大倉山店」はスーパー「ライフ大倉山店」と一連の敷地内にある

神奈川県内にスギHDの店舗は36店あるなかで、港北区内ではライフ大倉山店のとなりに位置する「スギ薬局大倉山店」(大倉山5)の1店にとどまります。

関東・関西エリアを中心に店舗展開するココカラファインとは、「両社は既存の店舗網が大きく競合せずエリア補完性が非常に高いため、本経営統合により高いシナジーを得ることができると考えております」(スギHDのニュースリリース)としています。

業界7位のココカラファインと同6位のスギHDの経営統合が実現した場合、両社の合計売上規模は8889億円、店舗数は2500店以上となり、業界トップでイオン系のウエルシアホールディングス(7791億円/1874店=2019年2月期)の売上高と店舗数を抜いて業界トップとなります。

マツモトキヨシは港北区内で4店を展開。写真の菊名駅東口店には「1251号店」の表示も

一方、ココカラファインは今回の発表に先立つ今年4月26日に、業界4位のマツキヨHDとも資本業務提携の協議を行っていることが明らかになっており、スギHDとの経営統合へ向けた動きを公式発表した後も、マツキヨHDと「検討及び協議につきましても継続して行うことに変わりはございません」(ココカラファイン)と表明。

ココカラファインは、2社とそれぞれ協議を行っていくうえで、「客観的な立場から総合的に検討するために、特別委員会を設置する予定」(同)としています。

業界6位と経営統合を目指し、業界4位とも資本業務提携へ向けて動く業界7位のココカラファイン。いずれと関係を深めたとしても、相手は愛知県と千葉県に本社を置く企業だけに、現在は新横浜に置いている本社の行方にも影響を与えそうです。

ドラッグストアチェーンの売上規模(2019年6月現在)

★印は今年度の決算が未発表のため2018年度の決算情報による売上高

  1. ウエルシアホールディングス(東京都千代田区):7791億円/1874店(2019年2月期)
    イオン傘下。「ウエルシア薬局」や「ハック(HAC)ドラッグ」を関東エリア中心に展開。港北区内では日吉・綱島・大倉山の周辺を中心にウエルシアとハックを合わせ10店舗
  2. ツルハホールディングス(札幌市東区):6732億円(2018年5月期)/2082店舗(2019年5月現在)
    北海道発祥の「ツルハドラッグ」と千葉県など関東中心の「くすりの福太郎」などを展開。港北区内ではツルハドラッグが岸根公園店を出店
  3. サンドラッグ(東京都府中市):5880億円/1147店舗(2019年3月期)
    ドラッグストア「サンドラッグ」や調剤専門薬局「サンドラッグファーマシーズ」のほか、ディスカウントストア「ダイレックス」(277店)を含め1147店を全国展開。港北区内では樽町(りりあタウン)と綱島(イトーヨーカドー内)に2店舗
  4. マツモトキヨシホールディングス(千葉県松戸市):5759億円/1654店舗(2019年3月期)
    関東エリアを中心に「マツモトキヨシ」を展開。港北区内では菊名駅東口、トレッサ横浜、アピタテラス横浜綱島、日吉箕輪(箕輪町2)に4店舗
  5. コスモス薬品(福岡市博多区):5579億円(2018年5月期)/993店舗(2019年5月現在)
    宮崎県延岡市で発祥、大型ドラッグストア「コスモス」を九州(545店)を中心に西日本エリアを軸に店舗展開。関東では都内の3店のみ
  6. スギホールディングス(愛知県安城市):4884億円/1190店舗(2019年2月期)
    中部・関西圏を中心にドラッグストア・調剤薬局の「スギ薬局」を展開。港北区内ではスーパー「ライフ」に隣接した大倉山店のみ
  7. ココカラファイン(新横浜3丁目):4005億/1354店舗(2019年3月期)
    「セイジョー」「セガミ」「ジップドラッグ」「ライフォート」などの従来店と「ココカラファイン」ブランドで関東甲信越と関西を中心に店舗展開。港北区内の店舗はセイジョー妙蓮寺店のみ
  8. クリエイトSDホールディングス(青葉区荏田西):2681億円(2018年5月期)/616店舗(2019年2月現在)
    青葉区に本社を置き、地元の神奈川県内を中心に「クリエイト」ブランドのドラックストア581店と調剤専門薬局「クリエイト薬局」など35店を展開。港北区内ではドラッグストア4店、調剤薬局6店を出店
  9. カワチ薬品(栃木県小山市):2649億円/334店舗(2019年3月期)
    大型ドラッグストア「カワチ」を栃木や茨城、群馬県と東北エリアを中心に展開。神奈川県内は麻生区はるひ野の1店舗のみ
  10. クスリのアオキホールディングス(石川県白山市):2212億円(2018年5月期)/517店舗(2019年2月)
    北陸・信越エリアを中心にドラッグストア「クスリのアオキ」を511店、調剤専門薬局6店を展開。神奈川県内には店舗なし

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【参考リンク】

ココカラファインってどんな会社なの?(株式会社ココカラファイン)

スギホールディングス株式会社との経営統合に関する検討及び協議開始のお知らせPDF、株式会社ココカラファイン、2019年6月1日)

(開示事項の経過)株式会社マツモトキヨシホールディングスとの資本業務提携に関する検討及び協議開始のお知らせPDF、株式会社ココカラファイン、2019年6月1日)