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建設中の羽沢横浜国大駅の真横は「東海道貨物線」、朝は都心への通勤列車「湘南ライナー」も走っている

新横浜都心部”と位置付けられている神奈川区の羽沢エリア。2019年度下期(2019年10月~2020年3月)「相鉄・JR直通線」の開業を控え、新たに「羽沢横浜国大駅」が設けられます。早ければ1年後にも鉄道が開通する新駅周辺はどのようになっているのでしょうか。2018年9月下旬の様子を写真でレポートします。

羽沢横浜国大駅は、JRの貨物駅として使われている「横浜羽沢駅」(JR貨物)の西谷(保土ヶ谷区)側、環状2号線と貨物駅構内に挟まれ、かつて倉庫などとして使われていた約2万2000平方メートル(2.2ヘクタール)のエリアに設けられ、駅前には商業施設やマンションとなる中高層ビル2棟が新設される計画です。駅を含め、現時点の進捗状況を見ていきましょう。

羽沢横浜国大駅は、新横浜駅から保土ヶ谷駅を結ぶ神奈川中央バス(121系統)の停留所「羽沢貨物駅」の周辺に設けられます。現在、バスは1時間に1~2本程度と運転本数は少ないのですが、今後は駅に隣接して環状2号線上に新たなバス乗場(バスペイ)も設置される予定で、バス路線の再編や新設も期待できそう

こちらが2018年9月現在の羽沢横浜国大駅(右側が駅舎)の様子。左手地上には東海道貨物線(東戸塚~鶴見)が走っていますが、相鉄・JR直通線のホームは地下に設けられます。真ん中に見える白い建物が駅の工事事務所で、その後方(西谷寄り)は高層ビルが建てられる予定地ですが、現在のところ工事が行われている形跡は見られません

西谷寄りから見た“駅前”の高層ビル建設予定地。ここに高さ100メートルの民間複合ビル(商業施設・マンション)などが建つ計画ですが、現在は雑草に覆われています。現時点では、高層ビルは駅開業と同時期の竣工は厳しい状況で、「相鉄・東急直通線」(2022年10月~2023年3月開業予定)の開通に照準を合わせているとの見方が出ています。相鉄・JR直通線は朝ラッシュ時に最大で1時間に4本程度とし、日中は1時間あたり2~3本の運転本数にとどまる予定です。写真真ん中の道路は今年6月25日に開通したばかりの「市道197号線」。再開発エリアと貨物線の間を通っており、再開発地のメイン道路といえる存在

こちらは環状2号線沿い(正面側)から見た羽沢横浜国大駅の駅舎。すでに外装が仕上がり、2018年9月現在は駅舎内で階段やエレベーター、内壁、電気工事などが行われているとのことです

羽沢横浜国大駅周辺の再開発計画の配置図と西谷側から眺めたイメージパース(立体絵)。このような雰囲気となるのはまだ3年から5年先のこととなりそう。なお、駅はJR直通線開業時に1日1万人、東急直通線の開業時には1日1万6000人ほどの乗降客数になると予想されています(2015年7月14日・15日「神奈川羽沢南二丁目地区 都市計画市素案説明会」のスライド資料より)※クリックで拡大

こちらは羽沢横浜国大駅から新横浜側を眺めた写真、右手奥にはプリンスホテルも見えます。左にぽっかり開いた穴が相鉄直通線のトンネル(線路部分)で、この先(新横浜寄り)で東海道貨物線や相鉄・JR直通線と合流・分岐します。なお、東海道貨物線は貨物線ですが、平日の朝を中心に小田原や藤沢方面から来る通勤客向け「湘南ライナー」の一部が都心へのルートとして経由しています

東海道貨物線のルートイメージ。東戸塚駅で東海道線と分かれた「東海道貨物線」は、横浜羽沢駅(横浜国大羽沢駅)を出ると、港北区内の岸根公園駅付近や、妙蓮寺駅近くにある仲手原の住宅街地下を通り、京急生麦駅の近くで地上へ出て、東海道本線などと合流して都心へ向かいます(グーグルマップを加工して利用)※クリックで拡大

【コラム】半世紀ぶりに脚光浴びる「東海道貨物線」 ~相鉄・JR直通線は港北区内を通る

 「東海道貨物線」(当時は「横浜新貨物線」、東戸塚~鶴見間)は、通勤列車などで混雑する横浜駅(東海道線)の周辺に貨物列車を通さずに“う回”させる目的で1979(昭和54)年に開通しました。第三京浜道路や環状2号線が通じ、自動車アクセスの良い羽沢に新たな「貨物駅」を設けられる点もメリットだったと言われています

東海道貨物線は横浜線の大口駅近くで地上へ出て交差するものの、騒音対策から箱のように防音壁で覆われている

沿線では、住宅街の真ん中に騒音の大きな貨物線を通すという計画が明らかになると、港北区仲手原や菊名、篠原町などの沿線住民が激しく反発。当時の国鉄と沿線住民による激しい攻防が数年間にわたって続き、最終的には、ほとんどが地下トンネル化され、地上を走る部分も徹底的に防音壁などで覆ったうえでの開通となりました。沿線では現在も横浜市によって定期的な騒音測定が行われています

そうした苦労と、港北区などの沿線住民が犠牲を払った末に完成した貨物線でしたが、開通後は鉄道貨物が減少するばかりで、深夜・早朝帯を除いて通過する貨物列車は多くないため、近年は一部の「湘南ライナー(通勤ライナー)」のう回ルートに“転用”されたほど。ところが相鉄・JR直通線のルートとして活用されることになり、約半世紀ぶりに“脚光”を浴びる形となりました

こうした経緯から「相鉄・JR直通線」は港北区内を通ることになるのですが、区内には当然駅はなく、トンネルなので列車が走っていることすら見えません。その後に開通する「相鉄・東急直通線」でも、大倉山駅の周辺がまさに同じ状況で、住宅街にトンネルは通れど、列車は見えず駅もなし、となります。住宅街の下に複数のトンネルを通さざるを得ないというのは、都心に近い港北区ならではの悲しさといえるでしょうか

 ▼ 駅から「横浜国大」までを写真でレポート

新駅は「羽沢横浜国大」という駅名が付いていますので、横浜国立大学まで、駅から歩いて行ってみましょう。再開発地(高層ビル建設地)の隣に現れるのは、今年8月末に完成したばかりの「羽沢長谷公園」で、ここが横浜国大への徒歩ルートの目印的な存在となります

まずは東海道貨物線の上部にかかる「大丸橋」を越え、保土ケ谷区方面へ向かいます。駅は神奈川区にありますが、環状2号線から見て駅の“裏側”には保土ヶ谷区が迫っています

羽沢横浜国大駅(再開発地)から横浜国大(北門)への最短ルートは、約800メートル(徒歩10分程度)と近いのですが、住宅街のなかを通るため、初めて訪れた人なら確実に迷うはず。スマートフォンなどで地図を見ながら行ったほうが良いかもしれません

住宅街に坂の多い港北区民には見慣れた光景ですが、「区境」を越えるだけあって、ルートの途中には高低差があります。駅から7~8分歩くと、ようやく大学の建物群が見えてきました

坂を下り住宅街を抜けると、主要道路の「大池道路」が現われ、ここを渡ります。この大池道路を経由するルートなら道が分かりやすいのですが、駅から徒歩13~14分程度かかり、若干遠回りです。なお、この道路沿いには幼稚園教論や保育士を養成する「聖ケ丘教育福祉専門学校」(「ひじりが丘」バス停の目の前)があり、同専門学校も羽沢横浜国大駅が最寄りということになりそうです

大池道路を渡ると横浜国大の「北門」に到着です。もとはゴルフ場だった場所を転用したキャンパスで、今も木々が多く残されているためか、どこかひっそりした雰囲気です

横浜国大の広大なキャンパス内には平日のみ横浜駅からの相鉄バスと横浜市営バスが乗り入れており、本数は多くないのですが、先ほどの北門に近い「西門」付近には「国大西」というバスターミナル的な施設が置かれています。また北門から比較的近い位置に「国大北」というバス停もあります

最後は道路の話題です。羽沢横浜国大駅にほど近い「高山橋」周辺では、新たな道路建設も行われており、JR鴨居駅付近の都筑区池辺町からつながる道路「羽沢池辺線」がここで合流する計画です。ただ、2017年度時点での事業進捗率は42%とのことで、開通はまだ先。駅の周辺はこれから徐々に発展していくことになりそうです

)写真と記事内容は2018年9月下旬時点のものです

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“新横浜都心部”エリアの「羽沢」、相鉄直通線で新たな拠点駅と街が生まれる(2017年7月29日、2016年秋ごろの写真も)

【参考リンク】

羽沢駅前再開発計画について(計画を担当した株式会社都市企画による紹介)

横浜国立大学のアクセス案内(保土ケ谷区)

羽沢池辺線(羽沢・菅田地区)の紹介(横浜市道路局、羽沢横浜国大駅の近くで合流)