港北区内を歩きながら地域の歴史と文化を伝え続ける「港北ボランティアガイドの会」(渡邉啓代表)が今年(2022年)で発足から10年を迎え、新たなガイドの養成に乗り出します。
港北ボランティアガイドの会は今から10年以上前、区が主催していた当時の公開講座「港北区生涯学級」で地域の歴史などを学んでいた有志の思いがきっかけとなって結成されたボランティア団体。
もともと横浜市内では、1992(平成4)年に中区で発足した「横浜シティガイド協会」を筆頭に金沢区や神奈川区、鶴見区、保土ケ谷区でも区民ボランティアが地域を案内するガイド団体が結成され、継続的に活動しているという素地がありました。
生涯学級を通じて地域を学ぶ熱意の高まりを感じた港北区では、市内の先行団体に運営ノウハウの提供を受けながら2010(平成22)年から2年間で計35回にわたる「ボランティアガイド養成講座(第1期)」を企画し、組織化を後押し。
同養成講座を修了した15人が「港北ボランティアガイド」(2021年4月から「港北ボランティアガイドの会」に名称変更)を立ち上げ、同年から翌年3月にかけて開かれた第2期の養成講座などを経て参画者が増え、今年9月現在では23人のガイドが活動中です。
2012(平成24)年2月の設立以来、毎月のように港北区内の各地域をめぐるウォーキングツアーを開いており、新型コロナウイルス禍前の2019年度(2019年4月~2020年3月)には過去最多となる計15回のツアーを企画し、開催できた14回で延べ600人近い参加者を集めています。
地域を歩くツアーだけでなく、区の歴史や文化をテーマとした企画講座を開いたり、地域団体などからウォーキングツアーを受託したり、ガイドマップの制作に協力したりと、港北区内を隅々まで知る“案内人”として活動の幅を広げてきました。
10月~2月に全10回の講座で学ぶ
港北ボランティアガイドの会の発足から10年が経ち、ガイドとしての知識や経験が蓄積され、企画内容にも深みが増す一方で、会に携わる運営者側の年齢層が上がってきたことが課題だといいます。
新型コロナ前には横浜市内のボランティアガイド団体が共同で養成講座を開いていたものの、「広く知られた史跡や華やかな文化遺産が目立つ市中心部や他の区とは違い、港北区でガイドを希望する人はあまり多くない」(同会)という現状もありました。
また、企業などでの定年後に働き続ける区民も多くなり、地域活動に時間を割ける人が減っているという地域団体共通の悩ましい問題も横たわっています。
今回、同会が独自に企画した「ボランティアガイド養成講座」では、来月10月12日から来年(2023年)2月までの5カ月間に計10回の講座を実施。座学と現地見学を交えて港北区内の歴史と文化の基礎と、ガイドとしてのノウハウを学べる構成としました。
かつて1年から2年をかけて行われてきた養成講座の内容を全10回の講座・現地見学に凝縮しているのが特徴です。
街を学ぶ楽しさと「伝える喜び」
これまで区内で200以上のウォーキングコースを独自に考案してきた港北ボランティアガイドの会。
最近では、歴史や文化を共有する旧港北区(都筑区・青葉区・緑区)のエリアや、歴史的に縁の深い川崎市の隣接エリア(中原区・高津区・幸区など)を含めたウォーキングツアーも企画し、区内外から人気を集めています。
また、東京都内へ通う“横浜都民”が多いという港北区ならではの特性を反映し、通勤・通学時に通る世田谷区などでも散策を企画したり、逆に横浜市の中心部に近い神奈川区へ出向くコースを考案したりと、ウォーキングツアーの範囲は広がりました。
港北区内でも従来の歴史や文化をめぐる内容に加え、花や森の散策に特化したシリーズも継続し、区の魅力をより深く伝える努力も続けています。
「街や地域を学ぶ楽しさに加え、多くの人に伝える喜びも味わっていただければ」と同会の須賀節子さんと北尾修さんは、今回の養成講座への参加を呼びかけます。
横浜市の北部エリアでは、区民によるボランティアガイドを組織化して独自の活動を続けているめずらしいケースだけに、区民が生み出した貴重な資産として、会の活動やウォーキングツアーに参加することで応援していきたいところです。
(※)この記事は「新横浜新聞~しんよこ新聞」と「横浜日吉新聞」の共通記事です
【参考リンク】
・2022年10月~2023年2月「ボランティアガイド 養成講座」募集案内(港北ボランティアガイドの会、詳細と申込)
・港北ボランティアガイドの会(ウォーキングツアーの案内など)
・港北区の「活動」をつなぐ情報誌『楽遊学』第297号(2022年2月)~港北ボランティアガイドの会特集(PDF、港北区区民活動支援センター)