音や声が「聞き取りにくい」悩みを、まずは相談してみませんか。
鳥山町にある障害者スポーツ文化センター「横浜ラポール」(上條浩館長)では、先月(2022年)5月から「聞こえの相談」をスタート。
耳の聞こえに悩みを持つ人、またその家族からの相談を、毎週火曜日の13時から16時までと、木曜日の9時から11時30分まで(祝日・年末年始を除く)同館内の聴覚障害者情報施設「相談室」(3階)でおこなっています(要事前予約)。
言語聴覚士や聴覚障害者相談員など専門の相談員が話を聞くスタイルで実施。
「家族からテレビの音量が大きいといわれる」といったケースや「補聴器はどのように購入したらよいのか知りたい」、「身体障害者手帳などの福祉制度のことを知りたい」といった、聞こえに関する様々な“困り事”などの相談を受け付けているといいます。
「個人情報は保護しますので、安心してご相談ください」(担当者)とのこと。
相談の対象者は横浜市内在住で、聞こえに悩みがある人、またその家族(障害者手帳の有無は問わない)。
予約や問い合わせは「聞こえの相談担当」宛に、電話、FAX、メール、または郵送で(案内チラシに掲載)受け付けるとのこと。
「横浜ラポール最寄り駅の新横浜駅から無料の送迎バスもありますので、そちらもご利用ください」と、同事業の担当者は、多くの相談利用を呼び掛けています。
「耳鼻科」の敷居は高い?小さな悩みでも相談を
「聞こえの相談」は、横浜市障害者プラン第2期の「将来にわたるあんしん施策」に位置づけられた事業として、2012(平成24)年度から、横浜ラポールが窓口になり、相談を受けてきたといいます。
しかし、「周知不足や相談枠の確保などの課題もあり、耳の聞こえに不自由さを感じている市民の皆さんのニーズに十分対応できているとはいえない状況もありました」(担当者)と、定期的に相談枠を設置。
診断や補聴器の調整はおこなうことができないものの、専門的な相談が可能だといいます。
同館によると、少し「聞こえにくい」と感じても、なかなかいきなり「耳鼻科」にかかるのはハードルが高いと感じている人が多いと現在の状況を分析しているといいます。
「年齢とともに、自然と聴力が低下していくことが多いため、聞こえにくくなることは意外と本人が自覚しにくく、自分の聞こえに対し、適切なケアを見つけられていない人が多いのが実状です」と担当者。
そのため、周囲は気づいていても、本人の耳鼻科受診につながらないケースも多くあり、また本人が自覚した場合でも、「加齢によるものだから」と考えるためか、耳鼻科を受診しようと考える人は多くなく、受診したとしても、難聴の原因が「治療」で改善するものでない場合は、そこで話が終わってしまうケースも多くあるとのこと。
ただし、実際には聞こえにくさは生活面への影響のみならず、「特に人間関係の変化、社会と疎遠になるなどの影響が大きく、認知症やうつ病といった病気の発症を招いてしまうケースもみられます」と担当者。
医療面以外でも適切なケアが必要になるといい、「高齢になれば仕方のないことと思うかもしれませんが、『聞こえにくさ』は、その方にとって非常に重大なこと。周囲や本人が『あれ?』と思った時に、まずはラポールに気軽に問い合わせてもらえれば」と、耳鼻科のハードルも気にすることなくまずは相談してもらいたいとのこと。
同館では、「『予約をして相談をする』というのは、二の足を踏まれるかもしれませんが、来所いただくことで、専門の相談員からのアドバイスはもちろん、同じような悩みを持つ他の方々の状況など、参考になる情報をお知らせできるかと思います。電話やメールでのお問い合わせだけでも結構ですので、お気軽にご連絡ください」と、通信手段を用いての相談対応もおこなっていると説明します。
幅広い「聞こえ」の相談に対応、出張相談も
「聞こえにくさ」を補うための方法については、「補聴器はもちろんのこと、電話やテレビの音量を大きくする拡声器や、玄関チャイムの代わりにフラッシュランプで知らせる道具などがあります」と、同館ではいくつかの見本も展示。
福祉の制度(日常生活用具、障害者手帳の等級などの要件あり)で支給可能なものもあり、手続き方法などの説明も行っています。
また、音声認識アプリや要約筆記者派遣制度などのコミュニケーションを円滑にするための情報提供など、聞こえに関わることを幅広くサポートしているといいます。
また、「ラポールが遠くていけない」という場合でも、電話やFAX、メールなどでの相談も受け付けているとのことで、「来るのが大変な方には、お困りの状況をお伺いした上で、補聴器相談医のいる耳鼻咽喉科、認定補聴器技能者のいる補聴器販売店、認定補聴器専門店など、ご自宅の近くで相談できる機関の情報提供を行うこともあります」と担当者。
相談の中には「補聴器は持っているが、うまく聞こえない」「耳鼻科に行ったけれど高齢なので仕方ないと言われた」など、機関にはつながっているものの、説明が不足していたり、知識が不足していてその機関をうまく利用できていないケースも多くあるとのこと。
そこで同館では、情報提供とともに耳鼻科や補聴器販売店で、どのように相談すると良いのかを具体的に整理しながらアドバイスするケースも。
「インターネットで調べれば、補聴器の相談ができる場所が見つかることもありますが、聞こえにくさに関わる生活上の悩み相談などもお受けしていますので、来館いただれば」と担当者。
「支援者向けに、聞こえに関する出前講座も実施しています。関心がおありの方は、ぜひ当施設までお問い合わせください」と、支援者側も含めた幅広い層への「相談」体制のフル活用についても呼び掛けています。
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【参考リンク】
・「聞こえの相談」案内チラシ・申込書(同・PDFファイル)
・障害者スポーツ文化センター「横浜ラポール」の交通案内(同・新横浜駅からの送迎バス案内も)