新横浜・菊名・大倉山・新羽など港北区南部の地域情報サイト

横浜でも長く滞在して街を深く見て回るという旅のスタイルが浸透するのでしょうか。

横浜市の中心部で「サービスアパートメント」と呼ばれる滞在型ホテルが相次いで新設されています。昨年(2022年)5月までに新規開業した2施設に続き、今月(2023年)6月14日にはシンガポールの大手日本大通り駅(みなとみらい線)の真上に242室を新たに設けました。

6月14日にオープンした17階建ての「シタディーン(Citadines)ハーバーフロント横浜」(右側)、左側の建物は横浜都市発展記念館・横浜ユーラシア文化館と横浜情報文化センター(6月14日撮影)

長期滞在者向けをうたった宿泊施設は、サービスアパートメントやレジデンシャルホテルなどと呼ばれ、主に1カ月以上の滞在に対応したホテル的なサービスを提供する宿泊施設のことを指し、現時点で利用の中心は訪日外国人という特徴があります。

左側が58階建ての「横浜北仲ノット」(ザ・タワー横浜北仲など)、46~51階に「オークウッドスイーツ(Oakwood Suites)横浜」がある。右側は32階建ての横浜市役所(庁舎)(2023年1月撮影)

市の中心部では、2020年10月に市役所庁舎の向かいに位置する58階建ての複合ビル横浜北仲ノット」(分譲マンション「ザ・タワー横浜北仲」など)の高層部、46階から51階を占める形で米国系(当時)の「オークウッドスイーツ(Oakwood Suites)横浜」(175室)が進出。

昨年6月にオープンした「ウェスティンホテル横浜」(13~22階、373室)、建物内の6階から12階が「アパートメントベイ横浜」(201室、2022年5月開業)となっている(2023年1月撮影)

続く2022年5月には、新高島駅が最寄りとなるみなとみらい4丁目に新設された23階建ての「ウェスティンホテル横浜」内で、6階から12階までを使った「アパートメントベイ横浜」(201室)が株式会社ケン・コーポレーション(東京都港区)によって設けられます。

そして今月、6月14日に日本大通り駅でオープンしたのが「シタディーン(Citadines)ハーバーフロント横浜」(242室)です。

シタディーンハーバーフロント横浜の開業を祝いコーヒーが入った樽で“鏡割り”を行うNTT都市開発の辻上広志社長(左4人目)や横浜市の平原敏英副市長(右4人目)ら(6月14日)

シタディーンを世界展開しているのはシンガポールに本拠地を置く「アスコット(The Ascott Limited)」で、同社は昨年(2022年)7月に米国の同業だった「オークウッドワールドワイド(Oakwood Worldwide)」を買収。

これにより、先に進出していた「オークウッドスイーツ横浜」(175室)もアスコットの傘下に入ることになり、同グループのサービスアパートメントは横浜市内で2カ所目ということになりました。

これら3年以内に開業した3つの滞在型ホテルは、いずれも「みなとみらい大通り(栄本町線)」から「本町通り」という一連の幹線道路上に位置し、最大で2キロほどしか離れていません。

「日本大通り駅」に直結の242室

今回オープンしたシタディーンハーバーフロント横浜は、NTT系のオフィスビル「アーバンネット横浜ビル」を解体し、跡地に建てられた地上17階・地下2階建ての施設。

シタディーンハーバーフロント横浜が建つのは、日本における「電話交換業務」創始の地とされ、近年はNTT系のオフィスビルが置かれていた場所。1940(昭和15)年(紀元二千六百年記念=皇紀)に設けられたとみられる記念の石碑は第4出入口の地上部に保存公開されている。左奥は「日本大通り県庁前」バス停

同施設の経営は、旧建物のオーナーだったNTT都市開発が子会社のUDホスピタリティマネジメント株式会社(東京都千代田区)を通じて担っており、ホテルの運営をアスコットの日本法人である株式会社アスコットジャパン(東京都港区)が行うといいます。

日本大通り駅の「第4出入口(大さん橋口)」はシタディーンハーバーフロント横浜の地下部分にあり、今年3月に新設されたばかり

日本大通り駅の真上といえる場所に位置することから、今年3月には建物の地下部に駅の「第4出入口(大さん橋口)」が新設され、“駅直結”の環境になりました。

242ある客室のうち約半数にキッチンや洗濯乾燥機が設置され、愛犬と泊まれる部屋も設定。館内には宿泊者向けのコインランドリーやラウンジ、フィットネスコーナーも設けられています。

窓から「大さん橋国際客船ターミナル」が一望できる部屋もある

また、長期宿泊者向けの施設であることから「シティハック」と名付けたウォーキングプログラムや、クッキングレッスンといった独自の体験型プログラムも用意されているのも特徴です。

世界で180施設を展開する“シタディーン”ブランドの施設としては今回の日本大通りが日本で5カ所目

長期滞在に適した設備を備えた部屋が目立つ

「海外からの訪日客は宿泊日数が長く、訪問先で暮らすように旅をしたいというニーズがある。また、ビジネスで訪日した人のなかには1年以上滞在している方も少なくはない」(同ホテル)といい、部屋で「ホームパーティー」を開くようなカルチャーも根付いているとのこと。

今回のシタディーンは滞在型ホテルである一方、1泊や2泊といった一般ホテルとしての使い方も可能な“ハイブリッド型”の施設となっており、駅直結という交通利便性の高さから日本人観光客やビジネス客が利用する機会もありそうです。

ラウンジ(写真)など宿泊者が使える共用スペースも

今後、新型コロナ禍前のように訪日客が増え続けた際には、横浜市内にもシタディーンのような宿泊施設が増えてくることになるのでしょうか。

なお、新横浜では現時点で外資系や国内企業が滞在型ホテルを新設する動きは見られませんが、新横浜2丁目の「新横浜フジビューホテル・スパ&レジデンス」はキッチンが設置された客室を中心とした「レジデンス棟」を持っており、長期滞在プランも販売しています。

横浜中心部の主な滞在型ホテル

オークウッドスイーツ(Oakwood Suites)横浜(175室、2020年10月開業、「横浜北仲ノット」内、元は米国系だったが、昨年7月にシンガポール・アスコットが買収)

アパートメントベイ横浜(201室、2022年5月開業、「ウェスティンホテル横浜」内、日本のケン・コーポレーション系)

シタディーン(Citadines)ハーバーフロント横浜(242室、2023年6月開業、日本大通り駅の真上、シンガポール・アスコット傘下、NTT系が関与)

【関連記事】

激変する「桜木町」の現状、横浜市役所の移転やロープウェイ計画まで(2020年7月6日、横浜市役所付近の変化について)

港北区での「IR説明会」、説明内容や質疑応答などを全文掲載【前編】(2020年2月17日、IR誘致の背景に日帰り観光客の多さを挙げていた)

【参考リンク】

横浜日本大通りの「シタディーンハーバーフロント横浜」がいよいよ開業(NTT都市開発株式会社など、2023年5月22日)