最大7万人が来場するスタジアムで“1人”でも多くの人々を守るには――消防、医療機関との連携により、「使命感」を持って大規模災害に備えます。
横浜市港北消防署(大豆戸町)は、先週(2023年)5月12 日(金)14時から15時まで、日産スタジアム(新横浜公園内、小机町)での火災対応訓練を実施。
港北消防署員や港北消防団のほか、横浜労災病院YMAT (横浜救急医療チーム)や日産スタジアムの職員や関係スタッフなど約100人が集まり、火災が発生し多数の負傷者が見込まれる事態を想定しての訓練を行いました。
通常、大規模集客施設としての同スタジアムには、年2回の消防訓練が義務付けられており、今回、スタジアムやスタジアム運営に関係する機関のスタッフで構成された「自衛消防隊」の約40人が参加。
サッカーの国際試合が開催中に、スタジアム西側4階スタンド観客席において、興奮した観客の1人が可燃性の液体を撒き着火させ、火災が発生し多数の負傷者が発生したという想定での訓練を行いました。
突然、「犯人役」の大声がスタジアム内に響き、実際の火災を模した煙が上がる中で訓練がスタート。
消防への通報や、職員による初期消火、被災者の救助や消火栓の確認点検といった一連の動作やその手順を確認しつつ、それぞれの役割を担い連携しながらの訓練を無事に終えていました。
今回の訓練実施について、同消防署の木村正夫署長は、「約7万2千人を収容可能な日産スタジアムでは、訓練よりも、実際には対応がさらに難しいケースが多いことが予想されます」と、多数の来場客により、消防車や救急車が乗り入れることすら難しい事態も想定される状況についても推察します。
それでも、「まずは、実際に火災が起きた際にも役立つような手順を確認することが大切です」と、“想定外”の災害が発生しうる可能性がある日産スタジアムだからこそ、その対処のフローを確認してほしいと呼び掛けます。
「来場者の皆さん、周辺住民の皆さんの(災害対応への)協力も必要不可欠。取り巻く1人ひとりの力により災害の被害を減らすことができれば」と、現場に居合わせた1人ひとりの“災害対応への協力”で被害を減らしていくことについての大切さについても訴えていました。
今週末の5月19日(金)から21日(日)まで「広島サミット」が行われることでのテロ対策、石川県能登地方での震度6強の地震発生といった、全国でも頻発する地震や風水害に備えるためにも、消防署員や消防団員はもちろん、医療関係者やスタジアムで勤務する職員・スタッフが、訓練内容の周知や災害対応フローの再確認を、定期的に、また日々「使命感」をもって行っていくことの重要性が増しているといえそうです。
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【参考リンク】
・港北消防署の紹介(横浜市消防局 港北消防署総務・予防課)
・救命救急センター(横浜労災病院)