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世界優勝に輝いたパティシエ「菊名」に凱旋、新店舗でさらなる洋菓子の夢を描きます。

あす(2021年)9月10日にオープンする洋菓子店「パティスリー ラトリエ ドゥ アンティーク」は菊名駅西口から徒歩1分の場所にある(プレオープン時、読者提供)

あす(2021年)9月10日にオープンする洋菓子店「パティスリー ラトリエ ドゥ アンティーク」は菊名駅西口から徒歩1分の場所にある(9月4日のプレオープン時、読者提供)

菊名駅西口から徒歩1分、ステーションプラザ菊名ビルの1階(菊名7)に、あす(2021年)9月10日(金)「パティスリー ラトリエ ドゥ アンティーク」が、横浜・石川町から移転しオープン。

同店を経営する株式会社アンティーク(新横浜3)の代表取締役で、オーナー・パティシエとして活躍する菅原智大(ともひろ)さんは、「修業時代からのゆかりある地元・菊名でお店を開きたかった」と、物件を探し、このほどの移転オープンに至ったと説明します。

新店舗は今年(2021年)7月31日に閉店した石川町の旧店舗より倍ほどのスペースとなった。「新横浜時代のお客様がよく石川町まで足を運んでくださり、感謝の想いで凱旋を決意しました」と菅原さん(画像はイメージ、同店のツイッターより)

新店舗は今年(2021年)7月31日に閉店した石川町の旧店舗より倍ほどのスペースとなった。「新横浜時代のお客様がよく石川町まで足を運んでくださり、感謝の想いで凱旋を決意しました」と菅原さん(画像はイメージ、同店のツイッターより)

菅原さんは、千葉県君津市出身。国際フード製菓専門学校(西区)に通うために菊名近郊に移住、同専門学校を卒業した2005(平成17)年に「フランス料理HANZOYA(ハンゾウヤ)」(新横浜3、株式会社ドリームカムトゥルー企画)に入店。

2010(同22)年に同社が経営する「ケーキ工房ラピエスモンテ」(新横浜3)に移り、2013(同25)年には店を任されるシェフパティシエに就任します。

同店での業務のかたわら、2012(同24)年以降、内海杯コンクール(フランス国際コンクール日本予選)や神奈川県洋菓子コンクール(一般社団法人神奈川県洋菓子協会、西区)、帝国ホテルアーケード(東京都千代田区)の「スイーツアートコンペティション」などでも受賞歴を重ね、2015(同27)年にはアジア大会「トップ・オブ・パティシエ・イン・アジア」で優勝するなど、世界的にも高い評価を得るに至ります。

アジアから世界No.1に、それでも抱いた「菊名への凱旋」

2016(同28)年には、フランスに約3カ月間渡航し飴細工の技法を習得。以降も日本代表として国際大会に出場、2019年11月にはイタリアでで行われた「FIPGCミラノ世界大会」で、日本代表としてチーム総合優勝、また個人の味覚部門で優勝。世界一の栄冠に輝きます。

オーナーパティシエの菅原さんは国内外の洋菓子大会でも多くの賞を受賞してきた(同店のFacebookページより)

オーナーパティシエの菅原さんは国内外の洋菓子大会でも多くの賞を受賞してきた(同店のFacebookページより)

ラピエスモンテが2017(同29)年11月に閉店、「ちょうどよい物件があったので」と、JR根岸線石川町駅にも近い場所に、2018(同30)年6月に独立しての初店舗「パティスリー ラトリエ ドゥ アンティーク」を新規オープン。

オーナー・パティシエとしてもその技術や想いから生み出される珠玉の「洋菓子」を求めて多くの来客を得るに至りましたが、「またいつかは、修業した新横浜にも近い菊名地区に戻りたいという想いがありました」と、菅原さんは、新しい物件候補地を見つけたことで「菊名凱旋」を決意。

これまでの倍近い約73平方メートルもの店舗スペースを確保、新たにデザイナーや建築士の協力も得た新店舗での移転オープンを迎えるに至ったとの“熱き想い”を語ります。

「地域に密着」した素材活かす、綱島の池谷桃園も応援

菅原さんは、「本場フランス斬新で洗練された、でもどこか懐かしい古き良き時代を思わせるアンティークな雰囲気」の店舗を実現するため、今年5月からはクラウドファンディングで移転への応援資金を募集。

今年(2021年)7月に販売された綱島・池谷桃園で採れた「白鳳」を使用したケーキ(同店のツイッターより)

今年(2021年)7月に販売された綱島・池谷桃園で採れた「白鳳」を使用したケーキ(同店のツイッターより)

結果、目標額の100万円を突破する114万6500円もの支援も得た菅原さんですが、このクラウドファンディングには、地元・港北区綱島東1丁目で桃農家を唯一営む「池谷(いけのや)桃園」も協力。

新横浜・ラピエスモンテに勤務していた頃の菅原さんが、「(当時の)横浜市長のレセプションのために地元食材を探す中で、池谷家の桃と出会いました」と、当時、同桃園を営む旧家・池谷家の第15代当主の池谷光朗(みつろう)さんが、畑で作業をしていた折に初訪問したというエピソードを懐かしそうに振り返ります。

以降、同家で収穫した、大正時代からの歴史を継ぐ幻の桃ともいわれる「日月桃(じつげつとう)」や、「白鳳」を毎年購入。主にケーキなどの生菓子に加工し、店頭で多くの顧客に提供してきました。

コンクールでの受賞作品など、菅原さんの世界観があふれるアンティークな雰囲気の洋菓子を扱う。ケーキなどの生菓子が6割、焼菓子が4割ほどの商品構成になる予定(同店のツイッターより)

コンクールでの受賞作品など、菅原さんの世界観があふれるアンティークな雰囲気の洋菓子を扱う。ケーキなどの生菓子が6割、焼菓子が4割ほどの商品構成になる予定(同店のツイッターより)

光朗さんの跡を継いだ16代当主の道義さんは、「毎年、“公式に”当桃園の桃を購入・使用し、洋菓子におけるブランド化をおこなってくれたパティシエは、菅原さんが唯一人綱島に伝わる桃の歴史を“継いで”いくためにも、多くの人に知ってもらいたいと、父(光朗さん)は、菅原さんに、桃を託すことを決めたのではないでしょうか」と、今は亡き父の想いを代弁。

綱島の桃を“世界一”の腕と技術で、後世にも伝える菅原さんの“地産地消への想い”に、桃の季節が来る度に心打たれていると、菅原さんへの“感謝の想い”を語ります。

地元・港北区で多くの人々とつながり、ゆかりある菊名の地で「活躍の場」を再び紡ぐ菅原さんの新チャレンジに、多くの共感が寄せられていきそうです。

なお、同店の営業時間は、11時から14時までと、15時から19時までの2部制となっており、月曜休(祝日の場合は営業)。火曜日も不定休を予定しているとのことです。

)この記事は、複数の読者の方からの情報提供をきっかけに取材を行いました。ありがとうございます

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2021年も「最速」で桃が開花、綱島東の旧家・歴史伝える池谷家で(横浜日吉新聞、2021年3月15日)

【参考リンク】

パティスリー ラトリエ ドゥ アンティーク公式Instagram

世界No.1パティシエ菅原智大の新たな挑戦!地元横浜に新店舗オープンします!(クラウドファンディングCAMPFIRE)※菅原さんの経歴や「凱旋」出店の経緯を掲載

WORLD AIR CURRENT [20190928-OA 菅原智大(横浜「パティスリー・ラトリエ・ドゥ・アンティーク」オーナーパティシエ)](YouTube~J-WAVE CHANNEL)※葉加瀬太郎さんのラジオ番組に出演、洋菓子の道に進んだきっかけやフランスでの修業、世界大会について

いくつ峠を越えたかな『とうよこ沿線』回顧録~自宅が地域の“民俗博物館”(とうよこ沿線)※綱島の桃の歴史や第15代当主・池谷光朗さん(2013年8月没)の足跡など