観光拠点である新横浜エリアで「民泊」は活発になるのでしょうか。自宅などの民家を宿泊場所として有償で貸し出すことを認める法律が約4カ月後の今年(2018年)6月15日から施行されます。横浜市内では独自に住宅地域で平日は貸し出せないなど、制限を設ける条例案を現在開会中の横浜市会に提出しています。
現時点で民泊は、宿泊業法などの規制対象外として、活発に貸し出しが行われています。民泊仲介サイト大手である米「Airbnb(エアビーアンドビー=略称「エアビー」)」で検索窓に「新横浜」と入れて検索すると、新横浜から菊名、篠原町のエリアにかけて、10軒程度の物件が出てきます。
たとえば、新横浜駅から徒歩10分の場所にある民泊物件は、部屋にベッドが3台にテレビ、簡易デスクやキッチン、食器類などが揃って1泊1人5000円程度で、3人で泊ると7500円ほど。新横浜駅から徒歩圏内という環境にあるため、観光にも使え、家族などで旅行する際にはホテルに比べて割安です。
こうした民泊物件は、新横浜町内のマンションでは意外に少なく、現在は新横浜駅に近い大豆戸町や篠原町、菊名などの一軒家やアパートとみられる場所で目立っています。
6月15日に施行される“民泊新法”と呼ばれる「住宅宿泊事業法」では、届出などを行うことで年間180日を上限に民泊として民家の貸し出しを認めるもので、宿泊施設の不足に対応できるものと期待されています。また、旅館業法などの法律を逃れて半ばビジネスとして営んでいる“違法民泊”に対し、一定の規制をかける目的もあります。
横浜市では「居住地としての横浜の都市ブランドを守る必要がある」として、独自の「横浜市住宅宿泊事業の実施に関する条例」を設ける予定。篠原町や大倉山で目立つ「第一種低層住居専用地域」や、菊名や大倉山の一部で見られる「第二種低層住居専用地域」では、祝日などを除き、月曜日の正午から金曜日の正午までは貸し出しができないといった制限を行いたい考えです。
いわゆる“閑静な住宅街”では、平日に民泊として使わないように規制を行うものですが、新横浜エリアにあるマンションなどは“低層住居専用地域”ではないため、届出さえ行えば年間180日を上限に民泊を営むことも可能です。安価な宿を探す旅行者にとって民泊物件が増えるのは喜ばしいことですが、マンション内に見知らぬ人が頻繁に出入りすることにもなります。
横浜市では「分譲マンションで住宅宿泊事業をめぐるトラブルを防止するためには、管理規約で住宅宿泊事業を許容するか否かを明確にしておくことが重要」として、管理組合で規約改正を行うことを呼び掛けています。
法律と条例の施行後、横浜を代表する観光拠点である新横浜エリアでの民泊は、どのように変わっていくのでしょうか。
【参考リンク】
・住宅宿泊事業法の紹介(観光庁)
・「(仮称)横浜市住宅宿泊事業に関する条例」の骨子に対するパブリックコメント(市民意見募集)の意見と横浜市の考え方(PDF、市民意見に対する横浜市の考え)