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鉄道や駅でおこなわれる犯罪から身を守るには――市営地下鉄の職員が、「護身術のプロ」から、そのノウハウを吸収し、職員間で共有することになりました。

横浜市営地下鉄(ブルーライン・グリーンライン)8駅の職員に対し都筑警察署でおこなわれている「護身術訓練」の様子(11月29日)

横浜市営地下鉄(ブルーライン・グリーンライン)8駅の職員に対し都筑警察署でおこなわれている「護身術訓練」の様子(11月29日)

神奈川県警都筑警察署(都筑区茅ヶ崎中央、北村満署長)は、今週(2021年)11月29日午前、昨今頻発している電車内における刃物使用の無差別襲撃事件放火事件が相次いでいることを受け、同署管内の横浜市営地下鉄(ブルーライン・グリーンライン)8駅の職員に対する「護身術訓練」を初開催。

神奈川県警察本部から警察官の指導係として活躍している岩田桂司師範を招き、刃物から身を守る防護衣手袋刺股(さすまた)を用いての護身や不審者への対応をいかにおこなうべきかの実践的な講義を実施しました。

警察官の指導係として活躍している岩田桂司師範(左)と都筑署の宇野澤伸佳さん(右)、矢島洋一さんが指導をおこなった

警察官の指導係として活躍している岩田桂司師範(左)と都筑署の宇野澤伸佳さん(右)、矢島洋一さんが指導をおこなった

この日は、横浜市交通局亀本武伸高速鉄道本部長らが見守る中、都筑署管内のセンター北管区駅長や駅員計20人が訓練に参加。

「結構、重いでしょう」と、岩田師範から手渡された、警察官が日頃纏(まと)っている防護服に身を包んだ後、刃物を持った「不審者役」に対処すべく身を守るための装備品である手袋や楯、刺股の一つひとつの特徴や、実践的な使用方法といったアドバイスと実践での訓練を約1時間にわたりおこなっていました。

楯の音が響きわたるシーンも

楯の音が響きわたるシーンも

今回の訓練は、同署の警備課が、市営地下鉄職員らと情報交換をおこなった際に、市側が凶悪事件からどのように安心・安全を守るかという視点で、新たな装具の購入なども検討していたことを受け、訓練の実施に至ったとのこと。

職員らは、初めてのレクチャーと護身用の器具の扱いに戸惑いながらも、岩田師範らのアドバイスに真剣なまなざしで応じ、身体を動かしながら、いざ、突然やってくるかもしれない「不審者」への対応力の向上に意欲を見せていました。

刺股(さすまた)の使用のポイントについても岩田師範から伝授

刺股(さすまた)の使用のポイントについても岩田師範から伝授

講義の最後には、1995(平成7)3月に東京メトロで発生した同時多発テロ「地下鉄サリン事件」の当時を振り返るニュース動画を視聴し、日々の鉄道の安全への決意を共有していました。

初となる今回の訓練について、同署の菅原英哉警備課長は、「日頃からさらに駅員の皆さんと連携を密にし、いざという時にも対処できるよう、今後も訓練の実施などにも協力していきたい」と、これからの連携強化にも力を入れたいとの決意を語ります。

「素手」を使っての対処は距離感や構えの位置の大切さについてもレクチャーされていた

「素手」を使っての対処は距離感や構えの位置の大切さについてもレクチャーされていた

センター北駅都筑ふれあいの丘駅川和町駅などを管轄するセンター北管区の守賀仁史駅長は、「いつ起こるかわからないトラブルや事件にも対象できるよう、一通りの装備や護身術は必要だと感じます。これからも訓練を重ね、対処方法を職員間で共有していきたい」と、特に年末に向けての酔い客やスリ犯などの対応時に今回の成果を活かしたいとの感想を述べていました。

市営地下鉄職員が参加しての護身術訓練は、きのう(30日)ときょう(12月1日)にも同様におこなうとのことです。

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【参考リンク】

神奈川県警都筑警察署のサイト