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市営地下鉄ブルーラインの「新百合ヶ丘延伸」や市内8区をつなぐ「横浜環状鉄道」など、横浜市内で事業化や検討中の段階にある計画をまとめた「横浜市における鉄道計画」のページが今月(2021年)10月1日にリニューアルしました。市都市整備局の都市交通部によると、情報を整理してわかりやすくするための刷新だといいます。

横浜市内の鉄道計画一覧、ブルーライン(高速鉄道3号線)の新百合ヶ丘駅延伸は事業着手へ向けた動きが進んでいる(「横浜市における鉄道計画」のページより)

同ページでは、市内で事業化や検討が行われている鉄道計画のうち、2022年度下期(2022年10月~2023年3月)に開業が迫っている「相鉄・東急直通線(相鉄・東急新横浜線)」(羽沢横浜国大駅~新横浜駅~新綱島駅~日吉駅)を除き、3つの計画を紹介

1つは「ブルーライン(高速鉄道3号線)の延伸」(あざみ野駅~新百合ヶ丘駅)で、こちらは2019(平成31)年1月から川崎市と共同で事業着手へ向けて始動しており、延伸区間には4駅を設け、2030年の開業を目指すといった最新の情報を掲載しています。

2つ目の「横浜環状鉄道の新設」は、日吉駅(港北区)~鶴見駅(鶴見区)間と、中山駅(緑区)~二俣川駅(旭区)~上大岡駅(港南区)~東戸塚駅(戸塚区)~根岸駅(磯子区)~元町・中華街駅(中区)間に鉄道を新設する計画。今回のリニューアルで、新たに独立したページが設けられ、その概要と取り組みの方向性がまとめられました。

「東海道貨物支線の貨客併用化」は広域にまたがるため、神奈川県が中心となって独自サイトを公開

3つ目の「東海道貨物支線の貨客併用化」は、桜木町駅(中区)から京浜臨海部の貨物線を通り、品川・東京テレポートを結ぶ計画です。

横浜市や川崎市だけでなく、広域の自治体にまたがることから、神奈川県などによる整備検討協議会が詳細な情報を掲載した公式サイトを開設。市のページからはリンクを貼る形としています。

なお、横浜市の都市交通部によると、今回のページ刷新は、鉄道計画自体に新たな動きや変更が生じたものではなく、情報発信への要望が多いことから対応したものとのことです。

「横浜環状鉄道」は実現するのか?

【コラム】「横浜市における鉄道計画」のページに掲載された計画のうち、横浜市民からもっとも注目と期待を集めているのが「横浜環状鉄道の新設」ではないでしょうか。

「横浜環状鉄道」の各区間が開業すると利便性は大きく高まるが、費用や採算の面から「長期的に取り組む路線」と位置付けられている(「横浜市における鉄道計画」のページより)

みなとみらい線やJR京浜東北線といった既存の路線をあわせ、“郊外部”と呼ばれる住宅街にある拠点駅を含めて横浜市内をぐるりと円形状に鉄道で結ぼうという計画で、2008(平成20)年3月に開業した市営地下鉄グリーンライン(日吉駅~センター北・南駅~中山駅)は、横浜環状鉄道の一部ということになっています。

新たに計画されている区間は、港北区をはじめ、鶴見、緑、旭、戸塚、港南、磯子、中の各区を通過することになるため、少なくとも市内8区の区民に影響をおよぼす可能性があります。

ただ、横浜環状鉄道は「日吉~中山」間のグリーンラインこそ開業にこぎつけたものの、その他の区間は「多額の費用を要することから長期的に取り組む路線」という位置付けの計画です。

グリーンラインは開業後に乗客が増え続け、4両編成から6両編成に増結するための準備が進められている

市は、「全線を整備した場合、総事業費を概算7700億円程度(延長34.4km)と想定しており、費用便益比が1を下回るとともに、累積収支は黒字化が困難と考えられるため、事業性の確保に課題」などと評価。現時点で事業化へのメドは付いていません

そんななかでも、グリーンラインを延伸する形の「日吉~鶴見」と「中山~二俣川」、みなとみらい線と接続する「根岸~元町・中華街」の3区間は、将来の事業化を目指した検討が続けられており、2014(平成26)年には、下記のように市が需要予測や事業費の概算も試みています。

日吉駅(港北区)~鶴見駅(鶴見区)間

  • 需要規模:3万6000人~5万1000人/日(2014年現在の相鉄いずみ野線と同規模
  • 概算事業費:1100~1300億円

中山駅(緑区)~二俣川駅(旭区)間

  • 需要規模:2万9000人~3万4000人/日(2014年現在のJR相模線と同規模
  • 概算事業費:1400~1500億円

根岸駅(磯子区)~元町・中華街駅(中区)間

  • 需要規模:1万7000人~1万9000人(2014年現在の江ノ島電鉄と同規模
  • 概算事業費:1300~1400億円

需要は高いが関心いまいちの「鶴見延伸」

グリーンラインを鶴見方面へ延伸する「日吉~鶴見」間の需要がもっとも高いとされている(2014年2月「横浜市における鉄道を軸とした交通体系について」より)

2014年時点の試算では、グリーンラインの終点となっている日吉駅から鶴見方面へ延伸する「日吉~鶴見」間の需要が3つの区間のなかでもっとも高いとされ、「相鉄いずみ野線と同規模」という評価になっています。

ただ、同区間は港北区内で日吉エリアの一部を通過する可能性があるものの、受益が少ないためか区内で延伸を期待する声は多く聞かれません。

鶴見区ではバス交通が主流の駒岡や下末吉といったエリアで利便性が高まる可能性はあるものの、同区ではJR京浜東北線の鶴見駅に「相鉄・JR直通線」の列車を停車させることが長年の悲願

2018年に市が改定した「京浜臨海部再編整備マスタープラン」でも「日吉~鶴見」間の延伸検討は盛り込まれましたが、鶴見区でグリーンラインの延伸を求める声は、「相鉄・JR直通線」の鶴見駅停車という横たわる大きな課題を前に隠れてしまっています。

旭区民が熱望、中山から「二俣川」への延伸

グリーンラインを二俣川方面へ延伸する「中山~二俣川」間は、よこはま動物園ズーラシア(旭区)の周辺を通る可能性がある

一方、もう一つのグリーンラインの終点である中山駅から先、相鉄の二俣川駅まで延伸する「中山~二俣川」間は、需要予測こそ二番手の数値となっていますが、「よこはま動物園ズーラシア」に近い旭区の上白根や都岡(つおか)といった鉄道駅から遠いエリアで、交通不便の解消を図れる期待もあり、旭区民が延伸を熱望

2015(平成27)年には大規模な署名活動が行われたほか、現在も旭区は早期延伸を検討するよう市に要望を続けています。

本牧エリアへのアクセスは市営バスがその中心を担っている

3つ目となるJR根岸線の根岸駅とみなとみらい線の元町・中華街駅を結ぶ区間は、主に鉄道駅から離れた「本牧エリア」(中区)の交通不便を解消するものとして期待されていますが、需要予測が短編成で運行されている“江ノ電レベル”ということになっています。

そのためか、8両編成以上で運行されている「みなとみらい線」を延伸するのではなく、横浜シーサイドラインのような新交通システムの整備が適しているのではないか、との意見も聞かれます。

現時点では、いずれの区間も事業化される見通しが付いていないものの、横浜市内では長年の懸案だった「相鉄・JR直通線」の開業に続いて「相鉄・東急直通線」も完成に近づき、次に優先度の高いブルーラインの新百合ヶ丘駅延伸も川崎市と協業し、事業着手へ向けた動きが加速しています。

優先度順では、ついに横浜環状鉄道の番が到来したといえますが、新型コロナウイルス禍で市交通局を含めた多くの交通機関が苦境に陥るなか、議論に入ることができるのかどうかが注目となりそうです。

【関連記事】

「日吉駅~鶴見駅」間の事業化検討を明記、京浜臨海部の再編整備プランに(横浜日吉新聞、2018年10月1日、鶴見区の現状についても)

新横浜~新百合ヶ丘は27分、「ブルーライン」延伸で途中駅のルート公表(2020年1月22日、ブルーラインの延伸について)

<横浜市>「相鉄・JR直通線」の品川方面乗り入れと鶴見駅への停車は諦めず(2019年2月27日)

【参考リンク】

横浜市における鉄道計画(都市整備局都市交通部)

高速鉄道3号線の延伸(あざみ野~新百合ヶ丘)(横浜市における鉄道計画)

横浜環状鉄道の新設(日吉~鶴見、中山~二俣川~東戸塚~上大岡~根岸~元町・中華街)(横浜市における鉄道計画)