新横浜・菊名・大倉山・新羽など港北区南部の地域情報サイト
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新横浜がここまで登場する漫画作品は、街の歴史で初めてかもしれません。雑誌「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)で6年間・250話近くにわたって連載中の「吸血鬼すぐ死ぬ」は、今年(2021年)10月にアニメ放送も決まった人気作品。ストーリーの多くが新横浜周辺と見られる場所で展開され、在住・通勤者なら既視感あふれる風景が度々登場します。実は作者の盆ノ木至(ぼんのきいたる)さんは地元在住だといいます。

2015年6月から週刊少年チャンピオンに連載中の「吸血鬼すぐ死ぬ」は、2021年5月時点で17巻まで単行本が発売されている(c)盆ノ木至(秋田書店)

無敵の吸血鬼「ドラルク」吸血鬼ハンター「ロナルド」が新横浜の平和を守るために繰り広げる吸血鬼との戦いを描いた「吸血鬼すぐ死ぬ」。

端正な風貌のキャラクターもあって“バトル漫画”かと思いきや、登場するのは、しょうもない混乱を巻き起こす“ザコ吸血鬼”ばかり……というオチがありました。

吸血鬼すぐ死ぬ、という一度聞いたら忘れられない作品名も気になるところ。由来となっているのは主人公の吸血鬼「ドラルク」で、他人の血を吸うこともなくゲームや動画サイト投稿に夜な夜な没頭し、街で小学生に絡まれたり、朝日を浴びたりしただけでも、すぐに死んで塵(砂)になってしまい、それでも生き返るという脱力感いっぱいの吸血鬼

“すぐ死ぬ”主人公の吸血鬼「ドラルク」(左)と吸血鬼ハンター「ロナルド」のコンビが新横浜に次々登場する“変な吸血鬼”に立ち向かう(c)盆ノ木至(秋田書店)(秋田書店「吸血鬼すぐ死ぬ」16巻の紹介ページより)

そして、次々と登場するその他の吸血鬼も、あきれるような目的や妙な性癖を隠し持ちます。

そんな吸血鬼たちの退治を担う若い吸血鬼ハンター「ロナルド」は、なぜか“すぐ死ぬ吸血鬼”のドラルクとコンビを結成。「魔界都市」と化した新横浜で、吸血鬼たちが引き起こす数々の悪だくみに立ち向かうのですが、いつの間にか吸血鬼のペースにつられて間抜けな世界へと引き込まれてしまうことに……。

作品では、10代から20代の男子が特に喜びそうな脱力ギャグや細やかなボケとツッコミに目を奪われますが、地元民が注目したいのは、描かれている新横浜の街並みです。

“ヴリンスホテル”と呼ぶ円柱形の高層ビルをはじめ、大豆戸町のあの施設にしか見えない新横浜警察署の「吸血鬼対策課」や、アリーナ通りで一度は目にする居酒屋のような「吸血鬼退治人組合」の本部、既視感が抜けない病院風の「新横浜吸血鬼研究センターVRC」など、地元民なら「あの建物だろ!」と思わずツッコミたくなるようなスポットが度々登場します。

編集長と作者肝いりの舞台、新横浜

「吸血鬼すぐ死ぬ」が“新横浜度”のきわめて濃い作品となっているのはなぜなのでしょうか。

作者の盆ノ木さんは、「具体的な場所が舞台だと、より物語に親しみやすくなる、という沢編集長(当時=沢考史「週刊少年チャンピオン」前編集長)のアドバイスを受けて、新横浜をそれに選びました」と背景を明かし、自身も地元に住んでいるといいます。

10月に放送が予定されるアニメ版「吸血鬼すぐ死ぬ」では予告サイトも公開されている。新横浜でよく見かけそうな夜景がメインビジュアルを飾る(c)盆ノ木至(秋田書店)/製作委員会すぐ死ぬ

アイデアを出す時にいつも新横浜周辺を歩きまわっていて、この町には思い入れが本当に深いので……。その割に作中でイジり倒してて申し訳ないんですが」(盆ノ木さん)。

2015(平成27)年6月から現在まで約6年続く連載では、鳥山町あたりのあの「大判焼き店」ではないかとみられる店や、北新横浜以外には考えられない巨大な鉄道車庫施設、何かと現れる鶴見川など、新横浜の周辺部もさりげなくカバーしており、地元を丹念に歩いていることがうかがえます。

そして、新横浜の街がアイデアの源となっていることは、次のコメントからも見て取れます。

「僕の個人的な思い入れでは、すごく夜がきれいな町なんですよ。車の流れと、駅やビルやプリンスペペの明かりや、高架下の明かりの無い場所、鳥山川の方まで行って日暮れの川と空が見えるとこ、とにかく新横浜のいろんな風景が僕は好きです」(盆ノ木さん)。

夜がもっとも似合う吸血鬼が登場する作品だけに、漫画内で描かれた新横浜周辺の夜景も見どころで、アニメ版でも公式サイトやプロモーションビデオに夜の新横浜とみられるシーンが盛り込まれています。

作品中に描かれる「夜の新横浜」にも注目したい(イメージ)

「結構新横浜をネタにしちゃってて申し訳ないんですが……!、ただ、『ここ歩いたことある!』みたいな場所が結構出てきて、そこに変な吸血鬼とか現れるんで、現実とギャグの境目が曖昧(あいまい)になる感じをお楽しみください」と盆ノ木さん。

これまでの作品には、新横浜駅前ゲームセンターや新横浜釣り堀、新横浜美術館、新横浜小学校や新横浜第一高校など、新横浜に“あってもおかしくはない施設”に加え、新横浜ナイトビーチや新横浜湖、新横浜動物園など、夢のなかに出てきそうな観光地まで、話の展開によって新たなスポットが次々と誕生中です。

現実の世界では通勤者やイベントが減り、少し寂しい新横浜の街ですが、「吸血鬼すぐ死ぬ」の“新横浜”今も無限大に広がり、どこか憎めないヘンテコ吸血鬼の悪事に翻弄され続けるドラルクやロナルドなど、個性的な“新横浜住民”が奮闘を続けています。

現在の苦境を吹き飛ばしてくれるような笑いが期待できる新横浜ゆかりの漫画・アニメ「吸血鬼すぐ死ぬ」。地元民・通勤者にとっても要注目の作品です。

)この記事は、読者の方からの情報提供をきっかけに取材を行いました。ありがとうございます。

【参考リンク】

漫画「吸血鬼すぐ死ぬ」の紹介ページ(秋田書店、試し読みも一部可能)

TVアニメ「吸血鬼すぐ死ぬ」2021年10月放送開始!! ティザーPV&ビジュアルが公開!さらにティザーサイトがオープン!(株式会社フロンティアワークス、2021年3月27日)

盆ノ木至さんのTwitter