陥没のメカニズムは複雑で、地下に空洞が存在していた可能性がある――。今月(2020年)6月12日(金)に新横浜駅に近い環状2号線で起きた道路陥没の原因を調査するため、独立行政法人鉄道・運輸機構(横浜市中区)の東京支社が有識者による「新横浜トンネルに係る地盤変状検討委員会」を初めて開き、同委員会で原因究明が行われるまでは掘削工事を停止することを明らかにしました。(※)6月30日朝に至近で再度発生した陥没に関する記事はこちらをご覧ください
6月12日の14時45分ごろに発生した道路陥没は、大豆戸町の市営バス港北営業所付近の環状2号線で、鶴見方面の車線と歩道の一部が縦(道路進路方向)11メートル×横8メートルの幅で、深さ約4メートルにわたって陥没。今週22日まで埋め戻しなどの復旧工事が行われ、24日時点も埋設管の工事が続きます。
陥没現場の直下で「新横浜トンネル」(新綱島駅(仮称)~新横浜駅(仮称)間)の掘削工事を行っていた鉄道・運輸機構は、陥没の原因を調査するため、大学教授ら有識者9人による地盤変状検討委員会を設置。きのう6月24日(水)に都内で行われた初会合後に会見を開いたものです。
同委員会の龍岡文夫委員長(東京理科大学嘱託教授・東京大学名誉教授、地盤工学)は「陥没のメカニズムが意外に複雑で、今日は(原因の)結論が出なかった」と報告。
「元々、何かの理由で空洞があって、シールドトンネルが刺激してしまったということはありうる」(同)との見方を示します。そのうえで、鉄道・運輸機構に現場の精密なボーリング調査を行うよう求めました。
鉄道・運輸機構によると、陥没後は新横浜トンネルの掘削工事を停止している状態で、「長らく工事が止まると後(のスケジュール)に影響を与えるため、できるだけ早く調査を行いたい」(五十嵐良博・東京支社工事部長)といい、来週にも第2回の同委員会を開催したい考えです。
新横浜トンネルは全長3304メートルのうち、すでに約2750メートルの掘削を終えており、残る区間は約550メートルという状況。今回の陥没地点を40メートルほど過ぎたところで止まっています。
陥没場所の周辺については、トンネルの深さが18メートル(土被り=トンネル上部の端から地表までの深さ)と浅いことや、地質的な面から見ても「トンネル工事としては易しい場所ではない」(龍岡委員長)。
同委員長は、新横浜トンネルの工事について「こういう場所は、あと100メートルくらいあり、その部分は非常に注意しなければならない」と指摘しました。
【関連記事】
・<環状2号線で道路陥没>新横浜から大豆戸交差点、大倉山駅付近まで大混乱(2020年6月12日、陥没発生時の記事)
・<新横浜トンネル>大倉山エリアで1年半ぶりに説明会、6/16(土)夜に公会堂で(2018年6月6日、新横浜トンネルの「地質縦断図」も掲載)
・新横浜トンネル真上で道路陥没、「綱島トンネル」は掘削工事を継続(横浜日吉新聞、2020年6月25日)
【参考リンク】
・新横浜トンネル工事の紹介(鉄道・運輸機構)
・路面が陥没した環状2号線の場所(グーグルマップ)