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劇的な少子高齢化をストップし、また一人ひとりがより「子育て」をしやすい社会を実現できるのでしょうか。

区内の子育て支援者など約50人を招いての意見聴取(ヒアリング)が行われた(2019年12月20日)

区内の子育て支援者など約50人を招いての意見聴取(ヒアリング)が行われた(2019年12月20日)

港北区福祉保健課港北区社会福祉協議会(区社協、飯山精三会長)は、区の地域福祉保健計画「ひっとプラン港北」の2021(令和3)年から2025(同7)年の次期(第4期)計画策定に向け、区内の子育て支援者など約50人を招いての意見聴取(ヒアリング)を、昨年(2019年)12月20日に、同社協内(大豆戸町)で初めて行いました。

これは同プランの策定・推進委員としても参画している、認定NPO法人びーのびーの(事務局・大倉山2)事務局長の原美紀さんの呼び掛けで実現したもの。

「ひっとプラン港北」は、横浜市港北区における福祉保健の課題解決へ向けた「地域福祉保健計画」のことで、「ひろがる」「つながる」、そして「とどく」を計画推進の柱とし、3つの頭文字である「ひ」「つ」「と」をつなげた「ひっと」という名称を用い、計画の愛称としています。

地域福祉保健計画は、「その地域に住む誰もが自分らしく安心して暮らせるまち」を目指し、地域住民と関係団体、行政、事業者等が連携して地域の福祉保健課題の解決に取り組み、助けあいや支えあいのある地域づくりを進める計画(港北区福祉保健センターのサイト)。

社会福祉法第107条の規定に基づき、各市町村が策定することとなっている「地域福祉計画」に位置づけられているものです。

これまで港北区では、2006(平成18)年度から5年区切りで第1期から第3期まで「ひっとプラン」が策定・推進されてきましたが、現在の子育て環境の現在の状況を共有し、新たな地域での課題や、必要な取り組みを新たに検討していくために、次期(第4期)計画策定に向けての、初めての大掛かりなヒアリングが行われることになったといいます。

高齢出産や共働き世帯が増加、区外生まれ育ちが大多数

ヒアリングの実施に際し、港北区保健福祉課の秋山直之係長から今回の開催主旨や「ひっとプラン港北」の次期(第4期)計画策定について説明。

港北区の子育てを取り巻く環境について、調査結果から地域子育て支援拠点どろっぷの勝山さんが報告

港北区の子育てを取り巻く環境について、調査結果から地域子育て支援拠点どろっぷの勝山さんが報告

地域子育て支援拠点どろっぷ(同NPO法人所属)の勝山幸さんからは、「港北区の子育てを取り巻く状況」についての統計データなどを用いた報告が行われました。

2017(平成29)年には初産婦の4人に1人が高齢出産(35歳以上)(横浜市人口動態統計)、港北区外で生まれ育った人が86%(2018年・同拠点利用者アンケート)といった調査結果も。

勝山さんから、「74.4%が、自分の子どもが生まれる前に赤ちゃんの世話をしたことがない」(2018年・横浜市調査)、「共働き世帯が全世帯の55.5%と、5年前の2013年より14.6%も増加」(同調査)しているなどといった、ここ数年での子育て環境の劇的な変化についても説明が行われるなど、区内で起こっている子育て環境の変化についての情報を共有。

ヒアリングされた内容は録音や板書により保存され、解析・分析した結果、次期計画に落とし込まれていく予定

ヒアリングされた内容は録音や板書により保存され、解析・分析した結果、次期計画に落とし込まれていく予定

招かれた子育て関係者らを7つのグループに分けての意見聴取(ヒアリング)が、約50分間にわたり行われていました。

ヒアリングされた内容は、「ひっとプラン」の第4期計画の策定に活かされるべく、分析・解析されていく予定とのこと。

激変する子育て世代を取り巻く生活スタイルや環境の変化といった現状での対策を、実際の計画にリアルに落とし込めていけるかどうかに、劇的な少子化問題の課題解決に向けての成否がかかるとも言えそうです。

新時代に対応した取り組みの発信と議論を

今回、行政(港北区)とともに地域福祉保健計画を策定している「社会福祉協議会」とは、社会福祉法第109条にもとづき、社会福祉の増進を図ることを目的に全国・都道府県・市区町村のそれぞれに組織されている慈善団体。

約50人の参加者から、多くの子育て支援現場で感じた意見が寄せられた

約50人の参加者から、多くの子育て支援現場で感じた意見が寄せられた

地域住民社会福祉関係者等の参加・協力を得ながら活動することを特長とし、民間としての『自主性』と広く住民や社会福祉関係者に支えられる『公共性』という二つの側面を併せ持った組織」(横浜市社会福祉協議会のサイト)として運営されているといいます。

港北区内全域で活動する港北区社会福祉協議会は、日常生活エリアである地区や地域ごとに組織された任意の団体の会である「地区社協」で構成されており、日吉、綱島、大曽根、樽、菊名、師岡、大倉山、篠原、城郷、新羽、新吉田、新吉田あすなろ、高田の13地区社協があり、それぞれの地区ごとの「ひっとプラン」を策定したり、推進したりする際の、中心的な存在となっています。

子育て支援分野での人材・後継者不足も一部話題に。“スマホ世代”と言われる子育て世帯にもより届きやすい、特にインターネットやSNSなどのIT技術を活用した、よりきめ細やかな情報発信による「つながり」作りにも期待したい

子育て支援分野での人材・後継者不足も一部話題に。“スマホ世代”と言われる子育て世帯にもより届きやすい、特にインターネットやSNSなどのIT技術を活用した、よりきめ細やかな情報発信による「つながり」作りにも期待したい

しかしながら今回、港北区と港北区社会福祉協議会が第4期の策定を目指す「ひっとプラン」は、「ひろがる」、「つながる」、「とどく」を計画推進の柱としている一方で、「名前を聞いたことがある」を含めて、認知割合はわずか18.5%(2018年度港北区地域福祉保健計画に関する区民意識調査)にとどまる状況です。

時間的余裕も不足しており、子育て支援拠点などに日頃出向く機会も作れず、また近所との交流機会も得にくい共働き世代らの声を、今後どのように拾い、新たな計画に落とし込み、広く伝えていくのか。

配布や入手手段が限られる“紙媒体”だけでなく、インターネットを主体的に活用した情報公開に加え、SNSなどを含めたIT技術を駆使しての情報発信、また広く保育園や幼稚園、学校、働く親世代を支援する企業・団体などといった、これまで以上の「横断的な連携」といった、新しい機軸や視点での対応が、新たな時代の子育て施策として、より強く求められていくことになりそうです。

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【参考リンク】

港北区地域福祉保健計画「ひっとプラン港北」(港北区福祉保健センター福祉保健課)※計画や福祉保健に関する意見も受付

横浜市港北区社会福祉協議会のサイト

社協の活動~ひっとプラン港北(同)