新横浜・菊名・大倉山・新羽など港北区南部の地域情報サイト

横浜線をはじめ首都圏のJR利用者には特に影響の大きい運賃値上げです。

JR東日本は来年(2026年)3月に実施を予定する運賃の改定申請について、今月(2025年)8月1日に国土交通省から申請通りに認可されたと発表し、改定の詳細を発表しました。

来年3月に実施する運賃改定の主なポイント、首都圏の大部分を占める「電車特定区間」(旧国電区間)と「山手線内」で値上げ率が高くなる(JR東日本の運賃改定特設ページより)

これによると、横浜線や湘南新宿ライン、横須賀線など首都圏の「電車特定区間」(旧国電区間)と呼ばれる主要路線での値上げ率は普通運賃が10.4%通勤定期は13.3%、通学定期が8.0%。「山手線内」では普通運賃が16.4%、通勤定期は22.9%、通学定期は16.8%を引き上げるものです。

JR東日本では1987(昭和62)年4月の会社発足以来、前身の国鉄(日本国有鉄道)時代の運賃体系を受け継いでおり、私鉄との競合が激しい東京圏では他路線(「幹線」など)より運賃を低く抑えた電車特定区間と、さらに低廉な運賃とする「山手線内」という運賃区分が現在も存在。

JR横浜線も「電車特定区間」(旧国電区間)に入っている(写真は2024年、新横浜駅付近で)

来年春の改定ではこれらをすべて取り止め、一般的なJR東日本の路線に採用されている「幹線」の運賃体系としたうえで値上げを行うため、東京圏では値上げ幅が大きくなっています。

たとえば、初乗りにあたる「1~3キロ」区間では、現在のICカード運賃が146円のところ155円に、「4~6キロ」は同運賃が167円のところ199円に引き上げられます。

小机駅から横浜駅までの場合では、現在のIC運賃は178円(7~10キロ)ですが、改定後は209円に上がります。

現行の「電車特定区間」「山手線内」「幹線」と2026年3月に運賃区分の統一と値上げ後の「幹線」の普通旅客運賃表(JR東日本の運賃改定特設ページより)

電車特定区間での1カ月の通勤定期券は「1~3キロ」が現行の4280円を改定後は4910円(+630円)に、「4~6キロ」は5280円を5890円(+610円)に、「7~10キロ」では5620円が6240円(+620円)にそれぞれ引き上げとなります。

私鉄競合の「特定区間」を一部廃止

今回の改定では、私鉄と競合する首都圏の30区間に設定していた「特定区間」については一部を廃止し12区間のみを残す方針となりました。

前身の国鉄時代に私鉄との競合対策で運賃を低く抑えるために設けられた「特定区間」は一部を廃止する。京浜急行との競合上から設けられた「新橋・品川~田浦・横須賀・衣笠・久里浜」や「横浜~田浦」などの区間についてJR東日本は「金額・所要時間・有効本数等のいずれの比較において他の鉄道事業者が優位であり、特定運賃を継続する有効性が無い」(2025年2月18日運輸審議会提出資料)としている(JR東日本の運賃改定特設ページより)

東急電鉄の桜木町駅が無くなった後も設定されたままだった「渋谷~桜木町間」の特定区間は、廃止によって現在のIC運賃483円が616円に上がります。

一方、東急電鉄と競合する「渋谷~横浜間」「目黒~横浜間」は特定区間として今後も継続したうえで、現在のIC運賃406円を440円に引き上げるとのことです。

鉄道事業の収益確保に厳しさ増す

今回のような大幅な運賃改定はJR東日本の発足以来初めてのこと。鉄道利用客がコロナ禍前の水準に戻っていないことや、「進行する人口減少や少子高齢化に加え、昨今の物価高騰など、鉄道事業の収益確保が厳しさを増す」(同社喜㔟陽一代表取締役社長メッセージ)といい、「設備投資や修繕等に必要な資金を安定的に確保することが、弊社の経営努力のみでは困難な状況」(同)と理解を求めます。

JR東日本の運賃改定特設ページではさまざまな説明資料を公表している(同特設ページより)

朝のラッシュ時間帯の利用を避けることで通勤定期券の15%割引となる「オフピーク定期券」はエリアを拡大して販売を続けるとのことです。

値上げは2026年3月を予定し、詳しい日付は今後発表するとしています。

「相鉄・東急」でマイナス15億円

今回のJR東日本による運賃改定の妥当性を審議した国の運輸審議会の席上では、「相鉄・JR直通線」(2019年11月開業)と「相鉄・東急直通線」(2023年3月開業)が開業したことによるJR東日本への影響についても話題となりました。

JR線から相鉄線に乗り入れる列車(左)と相鉄線から東急線へ向かう列車(2025年、羽沢横浜国大駅)

今年1月23日に開かれた第3回会議の場にJR東日本が提出した資料によると、相鉄・JR直通線の開業による増収効果は「年間数億円程度と試算している」(同審議会資料)といいます。

一方、相鉄・東急直通線の影響については、「相鉄・JR直通線のみが整備されていた時と比較すれば、都心への利用者の流れに変化が出ている」(同)とし、2024年3月期決算でマイナス15億円の収入影響があったと試算しているとのことです。

【関連記事】

通常定期の約15%引きに、JR東日本「オフピーク定期券」が10月から値下げ(2024年9月17日)

首都圏の「JR運賃」に10円加算、来春からホームドア整備費などに充てる(横浜日吉新聞、2022年4月6日、現在は一律に加算しているが値上げで取り止めの予定)

【参考リンク】

JR東日本「運賃改定のお知らせ」特設ページ(2026年3月に実施予定)

国土交通省鉄道局「東日本旅客鉄道株式会社の旅客運賃の上限変更認可について」(2025年8月1日)