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地域の歴史伝える地元の文化財を守りたい――消防署員と消防団員が、3年ぶりとなる消火訓練に挑みました。

毎年の恒例でおこなわれてきた新羽・西方寺での「第69回文化財防火デー」消防訓練。3年ぶりの開催を印象づける青空と虹、また見ごろとなった蝋梅(ろうばい)が風景を彩っていた(1月26日)

毎年の恒例でおこなわれてきた新羽・西方寺での「第69回文化財防火デー」消防訓練。3年ぶりの開催を印象づける青空と虹、また見ごろとなった蝋梅(ろうばい)が風景を彩っていた(1月26日)

先月(2023年)1月26日(木)11時より、新羽駅から徒歩約7分の西方寺(新羽町)で、3年ぶりとなる「第69回文化財防火デー」の消防訓練を開催。

西方寺で火災が発生したことを想定した消火訓練を、港北消防署員港北消防団員など約30人が参加し約20分間おこないました。

まず、西方寺側で「火災の発生」を確認したという想定で119番通報、港北消防署から指揮隊がまずは到着するという設定での訓練をスタート。

住職の伊藤さんが初期消火をおこなうも「沈下せず」煙が立ちその場から一旦退くという設定で消火訓練を実施した

住職の伊藤さんが初期消火をおこなうも「沈下せず」煙が立ちその場から一旦退くという設定で消火訓練を実施した

火災から文化財を無事「救出」していた

火災から文化財を無事「救出」していた

指揮隊の指示により、消防団員が寺院内から文化財を運び出し、消防署員とともに消火のための放水を実施し、訓練を締めくくっていました。

迫力ある「放水シーン」。観光客も多く訪れ携帯やカメラのファインダーにその瞬間をおさめていた

迫力ある「放水シーン」。観光客も多く訪れ携帯やカメラのファインダーにその瞬間をおさめていた

茅葺き屋根の「本堂」彩る放水と蝋梅(ろうばい)

「文化財防火デー」は、1949(昭和24)年1月26日、奈良県斑鳩(いかるが)町の法隆寺金堂に描かれた壁画(7世紀、国重要文化財)が、火災で焼損したことがきっかけとなり制定されたもの。

翌1950年(同25年)には「文化財保護法」が制定され、1955(同30年)には、1月26日を「文化財防火デー」と定め、毎年この日を中心として大切な文化財を火災等の災害から守るため、全国的に消防訓練などが実施されています。

消防訓練終了後、住職の伊藤さんは「常に心構えをもってこの文化財を守っていきたいので、今後ともご協力ください」との感謝の言葉を述べていた

消防訓練終了後、住職の伊藤さんは「常に心構えをもってこの文化財を守っていきたいので、今後ともご協力ください」との感謝の言葉を述べていた

西方寺では、48代住職の伊藤仁海(にんがい)さんが、「この訓練は、30年以上前から実施していたと思います」と、1996(平成8)年に副住職に就任した頃は既に「文化財防火デー」としての消防訓練をおこなっていたと振り返ります。

港北消防団第七分団の中山勉分団長が「先人から受け継がれてきて今私たちを守っている。きょうのことを今後の防火活動に役立ててもらいたい」と語っていた

港北消防団第七分団の中山勉分団長が「先人から受け継がれてきて今私たちを守っている。きょうのことを今後の防火活動に役立ててもらいたい」と語っていた

新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、2021年と2022年には開催できない状況でしたが、“毎年恒例”となった同訓練の3年ぶりの開催を知る地元の人々や観光客も多く来訪。

見ごろを迎えた黄色い蝋梅(ろうばい)の花たちとともに、茅葺き屋根の本堂を鮮やかに彩るかの放水風景に、多くの人々が感嘆の声をあげていました。

「指揮隊」の港北消防署警防第1課長の森久男さんが、「連携訓練をしっかりおこなうことができた。重要なものを地域の皆様、関係の皆様としっかり守っていかなければならない」とその想いを熱く語っていた

「指揮隊」の港北消防署警防第1課長の森久男さんが、「連携訓練をしっかりおこなうことができた。重要なものを地域の皆様、関係の皆様としっかり守っていかなければならない」とその想いを熱く語っていた

横浜市北部エリアでは、同日に總持寺(そうじじ、鶴見区鶴見)や関戸家住宅(青葉区美しが丘西)、港北区内では、2月4日(土)に飯田家住宅(綱島台)でも「文化財防火デー」にともなう消防訓練がおこなわれています。

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【参考リンク】

文化財防火デー(横浜市消防局)

真言宗西方寺のサイト

文化財防火デー、消防訓練を実施しました(同)