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完成が近づく相鉄・東急直通線(新横浜線)の新横浜駅最後のレールをつなぐ式典が開かれ、駅構内の真新しい線路上をモーターカーが走り抜けました。

新横浜駅の構内を紅白の幕で覆った式典会場には、60人超の政治・行政・工事関係者らと50人以上のメディアが訪れた(7月22日)

JRTT鉄道・運輸機構(横浜市中区)は先週(2022年)7月22日、環状2号線の地下33メートルに建設中の新横浜駅で「レール締結式」と題した式典を開き、国土交通大臣や神奈川県知事、横浜市長、県内選出議員、工事関係者ら60人超が参加しています。

来年3月の開業へ向けてすべてのレールがつながったことを報告するために行われたもので、「相鉄・JR直通線」(2019年11月30日開業)の開業8カ月前にも羽沢横浜国大駅で同様の式典が開かれました。

8月下旬から監査・検査の段階に

今回の式典は、完成が近づきつつある相鉄・東急新横浜駅のホームを使って行われました。

工事の現状を報告するJRTT鉄道・運輸機構の河内理事長

JRTT鉄道・運輸機構の河内隆理事長は、「工事は開業に向けていよいよ終盤に入った。8月下旬からは全線にわたる鉄道施設の監査・検査を実施する。その後は、鉄道事業者の相模鉄道(相鉄)と東急電鉄による乗務員の訓練や、国土交通省による最終の完成検査を経て来年3月の開業を予定している」と報告。

9年にわたる工事を振り返る蓼沼(たでぬま)東京支社長

工事を担当する同機構東京支社の蓼沼慶正(たでぬまよしまさ)支社長は、2013(平成25)年2月に新横浜駅での着工を皮切りに進めてきた9年超にわたる工事を振り返り、「最新の技術を各所に取り入れ、新横浜駅や新綱島駅の本体工事では周辺環境やコストに配慮した設計にしてきた」と話します。

また、「新横浜駅では、交差するブルーラインと乗り換え利便性を良くするなど配慮した」といい、「羽沢横浜国大駅から新横浜駅間の羽沢トンネルにおいては、コスト縮減を目指した新しいトンネル工法を採用している」と紹介。

新横浜駅構内からも見える「羽沢トンネル」(約3500メートル)は一本のトンネル内で工法を変えるなどコスト縮減を図ったという

そのうえで、「本日ここ新横浜駅で最後のレールを締結し、相鉄本線西谷駅から東急日吉駅までの神奈川東部方面線(相鉄・JR直通線/相鉄・東急直通線)全線のレールがつながる」と宣言し、「現在は新横浜駅、新綱島駅を中心とした電気・設備工事の仕上げを鋭意進めている。今後は走行試験や国土交通省の最終検査など開業に向けた準備をしていく」と述べました。

埼玉県まで14路線がつながる

あいさつする斉藤国土交通大臣

あいさつに立った斉藤鉄夫国土交通大臣は、「神奈川県央部や横浜市西部から都心を経由して埼玉県南部までつながり、広大なネットワークが形成される。東海道新幹線の新横浜駅には乗り換えなしでアクセス可能だ。新綱島駅の周辺では、(港北区の)区民文化センターや商業施設などの整備が予定され、さらなる街の活性化も期待されている」と開業後の期待感を示しました。

神奈川東部方面線の意義を熱く語る黒岩知事

神奈川県の黒岩祐治知事は「7つの事業体、14路線が一つのレールで全部つながるのは画期的なことだ。よくぞこういう形が出来上がった」と喜びます。

一方で同知事は「つながったことで神奈川県から人が流れていくのは困る。我々はこの一本のレールを使って、埼玉や東京からどんどん横浜・神奈川に人が来てくれるような流れを作っていきたい。これだけの大事業を成したことを大きな流れとして、地域の活性化のために全力を尽くしていく」と力を込めました。

横浜の悲願、まちづくりも加速

「全線開業は横浜の悲願」と語った山中市長

続いて横浜市の山中竹春市長は、「将来にわたり活力ある横浜を支えていく重要な路線であり、神奈川東部方面線の全線開業は横浜の悲願だ」といいます。

同市長は「横浜市西部から乗り換え無しで東京都心部へ行けるようになり、所要時間も大幅に短縮される。さらに、新幹線へのアクセスや横浜駅など既存路線の混雑緩和など、市民の利便性向上が期待でき、沿線のまちづくりも一層加速する」と語りました。

神奈川県に関係する国会議員らがレール締結作業に臨む

式典では、2組に分かれた参加者がホーム上から線路上に降り、全員でパンプーラーと呼ばれる保線工具を手前に引いて最後のレールを締結

テープカットを行う斉藤大臣(真中)や小板橋聡士・神奈川県副知事(左3人目)、山中市長(右3人目)ら

くす玉割りは水島智・国土交通審議官(右3人目)や平原敏英・横浜市副市長(左3人目)、神奈川県議会の敷田博昭議長(右2人目)、横浜市会(市議会)の佐藤祐文元議長(左2人目)らが実施

ホーム上でくす玉が割られ、テープカットが行われた後、新横浜鉄道建設所の下津達也所長ら6人がレール締結部を最終確認し、相鉄のマークと「じゃりべー」との愛称が記された「モーターカー(保線用車両)」が新横浜駅構内の真新しいレール上を走行しました。

「じゃりべー」と名付けられた相鉄のモーターカー(保線用車両)が記念走行車両として仕立てられ、新横浜駅構内を走った

今回、式典が開かれた新横浜駅では、上下2本のホーム上にホームドアが設置されるなど完成が近づいており、今後は最終段階となる設備工事と検査を進めたのち、相鉄と東急の両社による試運転が行われる流れとなります。

新横浜駅は2つのホームに3つの線路があり、真中の線路は始発着列車に使われる予定。ホームドアも設置済みとなっている(7月22日)

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【参考リンク】

神奈川東部方面線(相鉄・JR直通線/相鉄・東急直通線)の紹介ページ(JRTT鉄道・運輸機構)