初の「庁舎前」キャンペーンで、詐欺ストップなるか――港北署が詐欺被害額が県下ワースト1位、件数2位という区内の状況に警鐘を鳴らしています。
神奈川県港北警察署(大豆戸町、田村淳一署長)は、今週(2021年)12月15日(水)9時から12時まで、同署の敷地内庁舎前で、特殊詐欺ストップを目的としたキャンペーンを初開催。免許更新や各種手続きで訪れた来庁者らに「詐欺ストップ」を呼び掛けました。
オレオレ詐欺や還付金詐欺といった特殊詐欺被害は、2019年度は年間で75件、被害額が約2億763万円でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあったのか、昨年(2020年)は35件、約5860万円まで減少していました。
今年(2021年)は、11月末時点の暫定値ですでに52件、約1億1916億円にまで被害が膨(ふく)れあがっており、同署の佐藤良一副署長は、「県下全体では減少傾向にあるのに、港北署の被害額が倍増し県内でもワースト1位、件数もワースト2位になってしまいました」と、増加を続ける被害状況を憂います。
生活安全課の白戸尚樹課長も、「きょう(15日)は年金の支給日ですが、新型コロナ禍ということもあり、全ての金融機関など外部でのキャンペーンが難しい状況です。今月1日から来月(2022年)1月3日までは年末年始特別警戒の期間中ということもあり、署長以下、詐欺撲滅に向けての取り組みをおこなうことにしました」と、初となる同署前での取り組みに至った理由を説明します。
生活安全課防犯少年係の笠原真悟さんも、「高齢者に多い傾向はありますが、最近ではインターネットで“ウイルスに感染した”といったメッセージが表示されたり、メールが来たりというケースや、“有料サイトの支払い”、“ネットオークション”に関する詐欺被害やトラブルも増えています。還付金詐欺も増加傾向にあるので、まずは周囲の人や警察に相談してもらえれば」と、多様化する被害の傾向についての注意を呼び掛けていました。
同署に立ち寄った日吉出身で大倉山在住の女性は、「同居の両親が高齢ということもあり、不審な電話が多くかかってきます。まずは留守番電話にする、電話に出る場合は合言葉を吹き込むといった対策をとっています」と、“家族間でのルール”を作り守ることでの被害防止を訴えていました。
“コロナ禍”でのシニア世代の孤立についても多く指摘され、地域での見守りやイベント開催も難しくなるなか、より身近にいる人への「呼び掛け」、電話対応時のルールづくりや「留守番電話」などハード面での対策強化も詐欺撲滅に向けての有効な手段となりそうです。
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【参考リンク】
・こんな手口も「特殊詐欺」!(神奈川県警察本部のサイト)
・身近な詐欺情報(同)
・港北区の犯罪発生状況~令和3年10月暫定値(港北警察署)