“知っている”友だちの声が、ある日突然、通りすがりのパトカーから聞こえるかも――。「中高生のアナウンス」が、区内エリアの特殊詐欺の撲滅に貢献しています。
港北警察署(大豆戸町)は、区内の高校生と中学生10人による、パトカーから流す詐欺撲滅のための「車両広報文」のアナウンス録音を実施。
今月(2020年)10月12日から、10台の警察車両から録音した音声を流すことでの詐欺撲滅対策を実施、詐欺の手口に対する周知徹底や被害抑止を行っています。
このアナウンス録音に協力したのは、神奈川県立港北高校(大倉山7)放送部の藤波祐美さんと湯浅光さん、横浜市立城郷中学校(小机町)の司千代さん、新田中学校(新吉田東5)の山崎冬偉(とい)さん、日吉台中学校(日吉本町4)の坂井亜希さん、大綱中学校(大倉山3)の大村華音(かのん)さん、篠原中学校(篠原町)の角島楓子(ふうこ)さんと小倉百瑛(もえ)さん、日吉台西中学校(日吉本町5)の石川あす美さん、高田中学校(高田町)の相澤芽依(めい)さんの10人。
同署が作成したオレオレ詐欺や預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗や還付金詐欺といった「特殊詐欺」への注意を呼び掛ける文をそれぞれが学校や同署内で読み上げ、ICレコーダーにその音声を収録。詐欺の前兆電話がかかってきた場所にパトカーが出動するなどして音声を区内に流しているといいます。
これらの取り組みは、昨年度も同署の電話保留音として採用された港北高校放送部の2人と、区内全9校の公立中学校に呼び掛け、実施に至った7校8人により行われたもの。
きのう(2020年)10月29日の夕刻には、10人への感謝状が同署の太刀野一夫署長から手渡され、同席した港北防犯協会の川島武俊会長や同署署員らからの拍手が送られていました。
港北高校放送部では、先月9月下旬に音声を録音。顧問の山本良子(よしこ)教諭は、「例年参加してきたコンクールも新型コロナウイルスの影響から中止となり、発表の機会が失われていました」と、今回の生徒たちの活躍の場が公に与えられたことに感謝の想いを抱いたといいます。
「コロナ禍」により、6月からの入部になったという1年生の藤波さんは、「初めての経験で緊張しました。今回、お声掛けをいただいて、いい経験になったと思います」と、自身の声が街中に流れ、「詐欺ストップ」に貢献できることを喜びます。
もう1人の部員で2年生の湯浅さんも、「練習期間は約1カ月間。言葉使いなどは難しく感じたこともあり、たくさん練習に挑みました。パトカーは走りながら音声を流すこともあるので、車の騒音などの中でも“聞きやすい”発声をするように努めました」と、学内の応接室でチャレンジしたという録音シーンを振り返っていました。
今回の録音収録のために、港北防犯協会もICレコーダーを寄贈し協力。川島会長は、「若い世代の学生の方が防犯活動に協力し、参加することが地域にとってはとても大切なこと」と、地元の生徒たちの活躍により、多世代で地域の防犯活動が盛り上がってくることへの期待感を示します。
感謝状を手渡した太刀野署長は、「皆さんの声を一人でも多くの区民の皆さんに聞いていただいて、被害防止の一助になってくれれば。皆さんには特殊詐欺について関心を持ち、周りにいる高齢の方に伝えてもらい、被害に合わないよう声かけをしてもらえれば」と、感謝の想いとともに、詐欺被害防止のためのさらなる協力を呼び掛けていました。
音声を流すようになった10月12日以降、「実は、まだ被害が一回も起きていないんです」と、今回の企画を発案し実行した同署生活安全課の原英伸課長、櫻井光治さんも驚きの表情でその効果を絶賛。
地域に生きる中学生、そして高校生一人ひとりが「詐欺撲滅」を呼び掛けることで、さらなる被害の防止につながることが期待されそうです。
録音された音声は、「当面の間」流されるとのこと、詐欺ゼロの実現とともに、いつかアナウンスが不要になる日が必ずやってくることを願いたいものです。
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【参考リンク】
・身近な詐欺情報(同)
・2020年10月「定例会」会議資料一覧(港北区連合町内会)※[PDFファイル]で、町別・犯罪別の「港北区内犯罪発生状況」(2020年9月末現在)を公開している