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月1回届く「広報よこはま」の配布がイベント?――横浜市が発行する広報や地域の情報を伝達する手段の一つが、地域の自治会・町内会が運営する「掲示板」や「回覧板」の存在。

岸根町町内会の集会所「岸根倶楽部」にまずは届いた「県のたより」「広報よこはま」を10ずつのかたまりに。広報を束ねる紐(ひも)もあらかじめ必要数量カットしておく

岸根町町内会の集会所「岸根倶楽部」にまずは届いた「県のたより」「広報よこはま」を10ずつのかたまりに。広報を束ねる紐(ひも)もあらかじめ必要数量カットしておく

港北区の南西の区境に位置する岸根町町内会(浜田正二会長)では、月1回、横浜上麻生道路沿い、横浜市営バス「岸根」バス停すぐの町内会館・岸根倶楽部(岸根町593)で、月刊紙「広報よこはま」や、神奈川県発行の「県のたより」、年4回発行の横浜市会広報紙「ヨコハマ議会だより」といった地域情報紙を仕分ける作業を行っています。

岸根町町内会では、おおむね20世帯を1つの「組」とし、55あるという組の担当者により年1回から2回程度のスケジュールを、交代で組み、この仕分け作業を実施しています。

まずは、“大きな塊(かたまり)”で届いていた「広報よこはま」や「県のたより」を、10部ずつの山にしていく作業から。

配布用、掲示用など、決められた数を順に重ねていく。まさに、地域のコミュニティを深める「イベント」らしい、参加者たちの笑顔も

配布用、掲示用など、決められた数を順に重ねていく。まさに、地域のコミュニティを深める「イベント」らしい、参加者たちの笑顔も

夕方6時、集まった今回の仕分けメンバー8人が、同町内会の組ごとの、各世帯に配布される両紙を仕分けていき、各組で回覧や掲示される追加の情報紙を、その枚数分さらに重ね、紐(ひも)で結わき、一つの束として“完成”させていきます。

同町内会では、約1200世帯が配布対象となっており、「最近は、“組”や配布数量も増加傾向にあります」と、この“仕分けイベント”を取り仕切る重要メンバーのうちの一人・同町内会副会長の西倉真人さん

仕分けの日程は、初心者や働く世代でも参加しやすい「土曜の夜(夕方)」に設定、翌日の「日曜の夜(夕方)」には、各組の代表者が集う「組長会」が行われることから、約35分間の作業の後、机を会合仕様に並べ変え、出来上がった広報の束をセッティング

各組に届ける準備も万全に、一連の作業を終了していました。

初めてでも楽しい「イベント」、見守りや街を知る交流機会を創出

今回作業に加わったメンバー8人のうち、初参加は2人

組ごとに紐でしばり、広報の束が完成

組ごとに紐でしばり、広報の束が完成

両名とも、「(今回の作業は)楽しかった」と口を揃(そろ)えて感想を述べるように、「これは一つのイベント、そして(地域の)見守りのために行ってるんです」と、会長の浜田正二さんも、紙を配布すること、その作業を行い、情報を伝達することでの“見守り”を実践することの意義、その大切さについて力強く説明します。

「かつてはここまでスピーディーには作業はできなかった」と浜田さん。学校の教員経験者が役員に加わってから、“紙の仕分け”のプロフェッショナルな技と意識を身に付けられたといい、働く世代や子育てで忙しい世代も巻き込みやすくなっているとのこと。

今月は発行・配布がない「議会だより」があるともう少々時間はかかってしまうとのことですが、「今回も、これまでの最短時間の記録に近い、35分程度で作業を終えることができました」と、この日の準備に余念がなかった副会長の西倉さんも、参加者が“楽しい”と感じられるような交流機会をコンパクトに創出できていることについても、嬉しさを感じていると笑顔で語ります。

「自治会・町内会」通じ配布される広報、情報を“届ける”には

日本最大の人口を抱える地方自治体・横浜市では、市版部分と、港北区はじめ計18を数える区版部分も合わせるかたちで、広報紙「広報よこはま」を毎月1回、1日付で発行、その発行部数は約157万部(2019年4月1日現在)、港北区版だけでも13万8100部(同)にのぼります。

完成した「広報の束」は、翌日開催されるという組長会で各組の代表(担当者)に手渡され、各家庭や事業所に配布される

完成した「広報の束」は、翌日開催されるという組長会で各組の代表(担当者)に手渡され、各家庭や事業所に配布される

その配布は、現在「自治会・町内会」(またはシルバー人材センター)等を通じ、毎月10日までに各世帯へ配布されるということが、港北区での基本的な運用ルールとなっています。

市民の皆様の暮らしに関わる重要な制度情報等を掲載するこれらの広報紙を、広く市民の皆様に配布することは市の責務」(「広報紙の配布についてのお願い」横浜市市民局広報課・議会局総務課による市連会定例会説明資料、2019年2月)としながらも、実際には個人宅や事業所に届かないケースも多く見られています。

港北区では、区内各駅や各地区センター等に設置しているPRボックスから入手することや、各自(個人・団体)での取り寄せを呼び掛けるとともに、一昨年前(2017年)の1月から全国各自治体の広報紙が閲覧できるサイト「マイ広報紙」(一般社団法人オープン・コーポレイツ・ジャパン=東京都中央区)や「マチイロ」(株式会社ホープ=福岡市)などでも、インターネット上で「広報よこはま港北区版」を公開

「広報よこはま」などの配布仕分け作業を終えた岸根町町内会の皆さん。初参加者からは「楽しかった」との声も。同町内会では、日頃、「岸根町うぇぶ」でも街の情報発信を行っている

「広報よこはま」などの配布仕分け作業を終えた岸根町町内会の皆さん。初参加者からは「楽しかった」との声も。同町内会では、日頃、「岸根町うぇぶ」でも街の情報発信を行っている

「横浜市港北区役所ツイッター」でも広報発行や広報に記載された情報を展開するなど、ネット利用層への情報伝達への取り組みを強化しています。

広報の配布を「交流」「見守り」と位置付ける一方で、岸根町独自の情報発信をインターネット上で行う「岸根町うぇぶ」を、一昨年前(2016年)9月に既に誕生させている岸根町町内会(岸根WEB運営委員会の一員として参画)。

リアルの交流や見守りも重視しながら、さらに踏み込んでのインターネットやスマートフォンでの情報発信をも併用する同町内会の“地域コミュニティ”醸成の取り組みは、新しい地域社会の在り方の実例としても、世代を越えての大きな注目を集めていきそうです。

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横浜市広報の港北区版が「オープンデータ化」、他サイトが読みやすく公開(2017年1月29日)

【参考リンク】

広報よこはま港北区版(横浜市港北区役所)

横浜市港北区役所公式ツイッター ※「広報よこはま」についても情報を発信

横浜市港北区岸根町の公式WEBサイト「岸根町うぇぶ」(岸根WEB運営委員会)※岸根町町内会も運営の中枢を担う