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横浜アリーナ内での人命救助に対し、港北消防署から感謝状が送られました。

写真左から吉田港北消防署長、小室さん、八木下さん、牛久保さん、阿部さん、横浜アリーナの関洋二社長(港北消防署提供)

写真左から吉田港北消防署長、小室さん、八木下さん、牛久保さん、阿部さん、横浜アリーナの関洋二社長(港北消防署提供)

昨年(2021年)10月18日午後、横浜アリーナ(新横浜3)内で、作業中の男性が倒れ心肺停止状態となる事案が発生。

意識がないこの男性に対し救命処置を実施した4人への感謝状が、今年(2022年)2月16日夕刻に同アリーナ内で贈呈されました。

人命救助をおこなったのは、三菱重工交通・建設エンジニアリング株式会社(本社:西区みなとみらい)の八木下敏之さん小室広志さん阿部慶介さん牛久保淳さん

同消防署によると、同アリーナ内で作業をおこなっていた男性が「気分が悪い」と訴えた後、胸部に不快感を訴え、倒れてけいれん発作を起こし、心肺停止状態に。

人命救助がおこなわれたのは昨年(2021年)10月。横浜アリーナは1月11日から7月末まで大規模改修のため長期休館中。感謝状はアリーナ内で手渡された

人命救助がおこなわれたのは昨年(2021年)10月。横浜アリーナは1月11日から7月末まで大規模改修のため長期休館中。感謝状はアリーナ内で手渡された

近くで作業をしていた八木下さんが、まずアリーナ内の防災センターに駆け付け119番通報を依頼した後、現場に戻って男性の状態を確認したところ意識がなく、小室さんにAED(自動体外式除細動器)を持ってくるように依頼。

そこへ阿部さんと牛久保さんがアリーナ内にあったAEDを現場に持参した後、八木下さんは、心肺蘇生を実施するとともに、AEDのパッドを男性に装着して除細動を計3回おこなったとのこと。

その後も、救急隊が到着するまでの間、八木下さんと小室さんが交替して心肺蘇生を実施し、阿部さんは現場到着した救急隊を適切に誘導、牛久保さんは到着した救急隊に状況説明を実施し、無事に引継ぐことができたことで人命を救助できたといいます。

その後男性は、20日間の入院の後、後遺症もなく退院、無事に社会復帰することができたとのこと。

どこにAEDがあるのかを日頃から知り、「いざ」という時にAEDを使用できるかも鍵となりそう(港北区内小学校)

どこにAEDがあるのかを日頃から知り、「いざ」という時にAEDを使用できるかも鍵となりそう(港北区内小学校)

4人の“勇気ある行動”に対し、感謝状を贈呈した港北消防署の吉田崇署長は、「救急車到着までの間に、現場に居合わせた方、いわゆるバイスタンダーが実施する心肺蘇生やAEDによる電気ショックなどの一次救命処置は、ますます重要になっています」と、その場に居合わせた人々による“一次救命処置”から、救急隊や医療機関が行う“二次救命処置”へと救命の連鎖が素早くつながることで、救命の効果が格段に高まると説明します。

「今回の事案は、まさに理想的な形で“救命の輪”がつながったものであると考えます。消防署といたしましても、皆様の大切な命をお守りするため、救急隊及び消防隊の活動能力向上、市民の皆様への応急手当普及や啓発の推進などに取り組んでまいります」と、4人の“勇気ある行動”を称えるばかりでなく、これからの日々の“人命救助”に対する技術や思いの共有をはかりたいとの決意を力強く語っていました。

吉田署長によると、「近年、救急車の出動件数は増加の一途をたどっており、昨年(2021年1月1日~12月31日まで、数値はいずれも速報値)は、市全体で約20万4400件余りと、過去2番目の多さを記録。計算上は約2分34秒に1回、救急隊が出動していることになります」と、その業務の厳しい現状についても言及します。

避難訓練や消防関連のイベントなどでも積極的にAED操作方法について知る必要がありそう(2021年11月14日、綱島・減災行動展)

避難訓練や消防関連のイベントなどでも積極的にAED操作方法について知る必要がありそう(2021年11月14日、綱島・減災行動展)

折しも、横浜市消防司令センターに密着したNHKテレビのドキュメンタリー番組 「エマージェンシーコール~緊急通報指令室」(1月13日初回放送、2月23日再放送)での119番通報を受けるオペレーターと通報する市民側との緊迫したやりとりが全国放送されたこともあり、人命救助をいかに行い、119番通報に対し消防はいかに対応すべきかという問題も大きな話題となっています。

AEDの使用に対する理解や心肺蘇生の方法いった人命救助に対する知識を深めるばかりでなく、「いざという時にどう備えるか」ということを考え、緊急事態や災害時に備えるためにも、一人ひとりがその知識や対応力を高めておくことがより大切になるともいえそうです。

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大地震が発生すると「救急車」は出動しない、消防署はまず火災対応に全力(2017年3月11日)※大規模災害時には救急車の到着も未知数なだけに、ケガなどの初期対応もより重要になる

【参考リンク】

港北消防署からのお知らせ・イベント情報(横浜市消防局)※2021年中の救急件数(速報値)や救急についてのお知らせについても掲載

倒れている人をみたら(同)

AEDとは(同)※操作手順などについても掲載

日本初上陸のドキュメンタリー番組に横浜市消防司令センターが登場します!(同)※市内外で大きな反響を呼んでいるという