「いざ」の水害に備える“リアル”掲示のハザードマップが、大倉山と綱島であわせて100カ所設置されました。
横浜市港北区役所(漆原順一区長)は、今年(2023年)1月から2月にかけて、港北区の綱島エリアと大倉山エリアに「まるごとまちごとハザードマップ」を、港北区内で初めて設置。
河川が氾濫(はんらん)した場合に考えられる最大の想定浸水の深さ(浸水深=しんすいしん)を記した電柱巻付け看板(標識)を洪水や浸水の想定区域内に設置しました。
「まるごとまちごとハザードマップ」は、国土交通省(水管理・保全局)が、過去の浸水の深さや、洪水の注意喚起を行う海抜などを示す看板に統一性がなかったことを問題視。
水害に関する情報を“まちなか”に表示して自然に目に入るようにすることで、日頃から水防災への意識を高めるためとにと2006(平成18)年に手引きを作成、国が推奨する取り組みとして日本全国で行われているものです。
2018(平成30)年9月末現在、ハザードマップの作成対象自治体うち13.5%にあたる181自治体が設置(国土交通省資料)しているといい、横浜市内では鶴見区に次いでの設置になるといいます。
今回の設置は、港北区役所で防災を担当する総務部総務課が担当、昨年(2022年)9月に設置することを発表以降、12月までの間に地域の人々を交えた設置場所検討作業を行っていました。
総務課の担当者は、「商業施設や駅付近、学校などの公共的な施設の周辺に設置することで、より多くの住民の目にとまるようにしました」と、設置場所について説明。
地図上で設置案を作成した後、実際に自転車で現地を回り、より「効果的な設置場所」を検討したと語ります。
また、「地域の定例会に参加し、その地域で生活する方々の意見を反映した設置位置としています」と、地域からの協力の上で設置場所を決定したとのこと。
「看板を目にした方に内容が伝わりやすくするため、シンプルなデザインとしました」と同担当者。
河川が氾濫した場合に考えられる最大の浸水の深さに加え、浸水した場合に水面となりうる位置に「青色のテープ」を巻き付けて、看板表記とともに“リアル”に浸水の深さをイメージできる掲示を行っています。
なお、青色のテープは、「作業時点で電柱に既に民間の看板などが巻かれている場合は、一度外したうえで巻き付けています。そのため、既存の看板のすき間から一部しか見ることができない場合もあります」(同担当者)とのこと。
浸水の深さが背丈を超える場合などはその線に気付きにくいこともあり、その高さを確認することで、防災意識をより深めることが大切になるともいえそうです。
なお、今回各50カ所掲出した浸水の深さについては、大倉山地区が0.9メートルから5.2メートル、綱島地区が0.2メートルから4.2メートルまでとなっています。
国土交通省のデータによると、浸水の深さが0.3メートルから0.5メートルであっても、車のエンジンが停止し、車から退出を図らなければならないとのこと。
0.5メートル(大人の膝)程度でも、歩行での避難が困難になるケースがあるといわれており、また0.5メートルから1.0メートルで床上浸水に至るともされていることから、浸水の深さが例え1メートルに満たない場合でも、充分な水害対策を行っておく必要がありそうです。
次年度(2023年度)以降も区内の他の地区へ拡大し設置を進める予定となっているとのことで、さらなる地域ぐるみでの水害対策強化の後押しとなりそうです。
(※)この記事は「新横浜新聞~しんよこ新聞」「横浜日吉新聞」の共通記事です
【関連記事】
・高い場所でも浸水危険性、港北区の「内水ハザードマップ」に注目を(2022年6月13日)
【参考リンク】
・生活空間の水害リスクを見える化するため 「まるごとまちごとハザードマップ」を設置します!(横浜市記者発表資料)
・まるごとまちごとハザードマップ(国土交通省)
・浸水深と避難行動について(国土交通省 川の防災情報)