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開業までには間に合わないが、可能性を高めていく――。きのう(2019年2月)26日に開かれた横浜市会の予算第一特別委員会で、市の副市長ら幹部が来年(2020年)3月までに開業予定の「相鉄・JR直通線」について、開業時には実現できない品川駅・東京駅方面への乗り入れや、鶴見駅の停車実現へ向けて今後も取り組んでいく姿勢を示しました。

相鉄による「都心直通プロジェクト」のページに掲載された地図でも、相鉄・JR直通線は品川・東京方面へはつながっていない(同ページより)

相鉄沿線である旭区選出の大岩真善和議員(民権フォーラム)と泉区選出の源波正保議員(公明党)の質問に答えたものです。

市がJR東日本に求めていた相鉄・JR直通線の品川駅や東京駅方面への乗り入れについて、平原敏英副市長は「ぜひとも実現したいが、そのためには、たとえば、横須賀線の設備上の問題があって解決しなければならないなどの課題があると聞いている」と説明。

相鉄・JR直通線の品川駅方面への乗り入れは横須賀線の設備上の問題があって現時点では難しいという(品川駅)

そのうえで、「開業までにはとても間に合わない状況だが、まずは相鉄・JR直通線の開業をしっかりと見届け、利用状況を注視しながら、引き続きJR東日本と緊密に連携しながら双方で知恵を出し合って方策を検討し、実現に向けて全力で取り組んでいきたい」と意欲的な姿勢を見せます。

さらに、「(2023年3月末までに開業予定の)相鉄・東急直通線も同じように新宿方面へ行く計画となっており、双方が同じ方向に向かうということになる。もったいない。一方が品川・東京方面へ向かえば、利便性が向上するので、大いにメリットはある」と述べました。

相鉄・JR直通線の電車が走ると見られる東海道貨物線の線路も鶴見駅ホームの横を通っているが、乗降するためのホームがない(鶴見駅)

一方、すぐ“隣”の貨物線を走るのに、ホームが無いために通過していく予定の相鉄・JR直通線を、鶴見駅に停車するよう鶴見区などが長年求めていることに対し、市はすでに2013年度から3年かけて技術的な調査を実施済みです。

この調査では、物理的にホームが設置できることを検証する一方、工事費は約180億円から200億円、工期は調査設計に要する期間を除いて12年から14年程度かかることが2016年2月の横浜市会で報告されています。

昨日の予算委員会で都市整備局の小池局長は、「ホーム設置にともなう技術的な問題とその対応をはじめ、JR東日本の応分の負担、さらに国費の導入など、整備手法、JR貨物の営業に与える影響など実現に向けて解決すべき課題がある」との認識を示す一方で、「引き続き、JR東日本などの協力をいただきながら着実に課題の解決を図り、実現の可能性を高めていく」と今後も継続して取り組む考えを述べました。

なお、同日付けでJR東日本が発表した相鉄・JR直通線の運賃についてのニュースリリースには、「鶴見駅を列車は通過しますが、運賃計算をする上での分岐駅となります」と明記し、武蔵小杉駅から羽沢横浜国大駅までノンストップで運行する方針を示しています。

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【参考リンク】

JR東日本「輸送改善プロジェクト」(相鉄・JR直通線についても)