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港北区内に本社を置く上場30社のうち、計21社が今年(2021年)6月までに2021年の通期決算発表を終えていますが、その後、4月から6月が決算期となっている新横浜と日吉、綱島の4社が2021年の通期決算を発表しました。また、先月8月30日付けで新横浜の1社が同業他社のTOB(株式公開買付け)により上場を廃止し、9月時点での区内上場企業は29社となっています。

レーザーテックの本社ビル(左)

3月決算を採用する21社の通期決算を紹介した6月の前回記事以降、株式会社サンオータス(新横浜2)、レーザーテック株式会社(新横浜2)、コーア商事ホールディングス株式会社(日吉7)、株式会社山王(綱島東5)の4社が2021年の通期決算を発表しました。

4社の決算では、世界的な半導体需要の高まりにより、レーザーテックは過去最高の業績を記録していました。

港北区の上場4社の「2021年通期決算」(4~6月分)

)売上規模の大きい順に掲載。(カッコ)内は前年度比、「―」は前年の比較対象がないなどの理由で発表なし。△はマイナス

【6月決算】レーザーテック株式会社(東証1部:新横浜2丁目 ※自社ビル)

レーザーテック本社ビルのエントランス

半導体の検査装置メーカー、レーザーマイクロスコープやレーザー顕微鏡も。1960(昭和35)年に目黒区でX(エックス)線テレビカメラの開発を行う企業として創立された「株式会社東京アイ・テイ・ブイ研究所」が源流。川崎市中原区木月や幸区北加瀬での本社時代を経て、1980(昭和55)年に綱島東へ本社を移転。2008(平成20)年にはスケートセンターに近い新横浜3丁目に研究開発センター・本社社屋を建設。2020年10月から株価指数「JPX日経インデックス400」(「電気機器」分野38社)の構成銘柄となっている

  • 売上高:702億4800万円(65.0%)
  • 営業利益:260億7400万円(73.1%)
  • 経常利益:264億3800万円(74.9%)
  • 純利益:192億5000万円(77.9%)

(2021年6月期)

【決算短信から抜粋】

  • 足元では引き続き5Gのスマートフォンをはじめとする通信機器のほか、リモートワークやオンライン会議などの拡がりによるPC並びにデータセンター向けの最先端半導体に対する需要が拡大しました
  • このような市場環境のもと、ロジック・メモリデバイスメーカーは最先端のEUV(極端紫外線)リソグラフィを用いた半導体製造工程の導入を加速させており、今後の半導体関連装置市場は更なる拡大が見込まれております
  • 来期について、「当社グループの主要販売先である半導体業界では旺盛な半導体需要を背景として引き続き設備投資が活発に行われると予想されます。かかる環境下で、通期の連結業績につきましては、売上高830億円、営業利益270億円、経常利益270億円、親会社株主に帰属する当期純利益210億円を予測しております」

【6月決算】コーア商事ホールディングス株式会社(東証2部:日吉7丁目 ※自社ビル)

綱島東寄りの日吉7丁目にあるコーア商事本社

→ ジェネリック医薬品の原薬輸入商社「コーア商事」(日吉7)、注射剤を主とした医薬品の製造販売を行う「コーアイセイ」(山形県山形市)、医薬品の包装受託などを行う「コーアバイオテックベイ」(日吉7)、ビタミン剤を主としたOTC(一般用)医薬品の製造販売会社「コーア製薬(旧・興亜製薬)」(箕輪町2)の4社から成る企業グループ。1991(平成3)年に日吉で設立、2009(平成21)年に日吉7丁目の現本社で新社屋を建設。2018(平成30)年6月に東証2部へ上場、2020年6月から東証1部。綱島東6丁目に医薬分析センターや医薬品原薬倉庫を所有。2022年4月から東京証券取引所に新設される最上位の市場区分「プライム市場」の上場維持基準に適合している旨の通知を受けているという

  • 売上高:178億1600万円(11.1%)
  • 営業利益:33億7700万円(45.0%)
  • 経常利益:34億400万円(43.8%)
  • 純利益:21億3600万円(22.4%)

(2021年6月期)

【決算短信から抜粋】

  • 当社グループは、事業理念“New Business Model Innovation”に基づき、ジェネリック医薬品原薬の輸入商社と、注射剤中心の医療用医薬品の製造販売機能を併せもつビジネスモデルで、高品質で安価な原薬を日本市場に安定的に供給するとともに、自社開発品の製造・販売や大手医薬品メーカーからの製造受託を通じて、医薬品業界における多様なニーズに対応しております
  • 原薬販売事業におきましては、呼吸器官用薬や抗生物質製剤向け原薬の販売の減少があったものの、循環器官用薬中枢神経系用薬向け原薬の販売の増加等により、当連結会計年度の売上高は12,504百万円(前期比8.9%増)となりました。また、新型コロナウイルス感染症に起因する営業活動自粛により販売費及び一般管理費が減少したことで、セグメント利益は2,241百万円(前期比17.4%増)となりました。
  • 医薬品製造販売事業におきましては、受託製造が年間を通じて好調に推移したことにより、売上高は7,021百万円(前期比22.8%増)、セグメント利益は1,199百万円(前期比165.0%増)となりました
  • 次期の後発医薬品業界におきましては、後発医薬品の使用割合に関する新たな目標として「2023年度末までに後発医薬品の数量シェアを全ての都道府県で80%以上」とすると示されましたが、薬価改定を毎年実施する方針が示される等、ジェネリック医薬品の単価の下落が続いていくと予想されます
  • このような中、当社グループにおきましては、原薬販売事業は今後もグループの中心として堅実な成長が見込まれ、医薬品製造販売事業でも、受託製造を中心に業績に貢献していく見込みとなっております

【4月決算】株式会社サンオータス(ジャスダック:新横浜2丁目 太田興産ビル新横浜)

サンオータスの本社は駅至近のビル内に置く

→ 石油・油脂・燃料の販売会社として1951(昭和26)年に鶴見区で創立、1992(平成4)年に本社を新横浜の現在地へ移転。エネオス(ENEOS)やキグナスブランドのガソリンスタンド、オリックスのレンタカー店を多数展開、仏PEUGEOT(プジョー)の販売代理店や保健代理店事業も。港北区内では「綱島SST」の慶應義塾大学の学生寮運営や、新羽町で環境に配慮した車検店「環境車検」事業など。BMWの正規販売店を運営していた子会社2社は2020年2月に売却。「電動キックボード」のシェアリングなどモビリティ分野に注力

  • 売上高:147億2900万円(△46.1%)
  • 営業利益:2億1100万円(219.4%)
  • 経常利益:1億9600万円(―%)
  • 純利益:1億5300万円(57.2%)

(2021年4月期)

【決算短信から抜粋】

  • 2020年2月に連結子会社であったBMW販売会社2社(※)の株式譲渡に伴い、前連結会計年度に比べて売上高は大幅に減少しておりますが、利益面では、当初計画を上回り順調に推移しました(※)株式会社モトーレン東洋を株式会社エー・エル・シー(静岡県沼津市)に、メトロポリタンモーターズ株式会社を株式会社ダイワグループ(東京都調布市)へ2020年2月28日にそれぞれ全株式を譲渡
  • エネルギー事業(石油製品販売、カーケア商品販売、車検・整備)について、「新型コロナウイルス感染症拡大で公共交通機関の利用は引き続き減少する中、マイカー通勤、コロナ禍におけるネット通販の増加による輸送の増大等があったものの、ガソリンを始めとする自動車燃料は対前年比約10%ほどの落ち込みがみられました」
  • カービジネス事業(プジョー、ジープの輸入車正規ディーラー、オリックスレンタカー、モビリティ事業)について、「輸入車販売においても、新型コロナウイルス感染症の拡大により一時的に来場者数は減少しましたが、非接触型のリモート商談等を積極的に活用し、顧客との新しいコミュニケーションを図り、受注へつなげることができました」
  • ライフサポート事業(損害保険・生命保険募集業務)について、「新型コロナウイルス感染症の影響により、ほぼ年間を通して対面販売を基本とする『ほけんの窓口』の店舗での来店客数が減少、BMW販売子会社の株式譲渡に伴う自動車保険の取扱い数の減少も相まって、全体的には厳しい状況となりました
  • 不動産関連事業(ビルメンテナンス業、不動産賃貸業)について、「閉鎖したSS跡地の有効活用を進めるとともに、賃貸マンションのリフォームによる入居率及び定着率のアップ等を図り、収益アップに注力いたしました」
  • 経営全般について、「2019年度よりスタートした中期経営計画(2019年5月~2022年4月)『トータルカーサービスからモビリティサービス企業へ』は最終年度を迎え、経営体質強化・経営効率化を具現化し、当社の強味である神奈川県内の営業拠点ネットワークを最大限に活かした全事業部門横断的なモビリティサービスを展開してまいります」

【7月決算】株式会社山王(ジャスダック:綱島東5丁目 ※自社ビル/本社工場)

綱島東5丁目の工場集積エリアにある山王の本社工場

電子機器用コネクターのメッキ加工、貴金属表面処理加工技術に強み。1958(昭和33)年に川崎市上丸子山王町で創業したことが社名の由来。1967(昭和42)年に綱島東の現在地で新工場を建設して移転した。福島県郡山市に主力工場。中国とフィリピンでの売上が30%超を占めていたが、2020年12月に中国拠点を売却。2021年8月にがん治療と業務を両立する休暇制度などを整備した「かながわ治療と仕事の両立推進企業」のプラチナ企業として県から認定された

  • 売上高:80億5100万円(1.3%)
  • 営業利益:2億6200万円(46.7%)
  • 経常利益:2億4300万円(181.7%)
  • 純利益:9億6600万円(463.5%)

(2021年7月期)

【決算短信から抜粋】

  • 当社グループが属する電子工業界では、5G向けを中心に通信分野での部品需要は増加基調で、産業機器向け分野の好調持続や自動車向け分野についても復調が見られるなど、当連結累計期間においては総じて好調な市場環境にありました
  • このような状況のもと当社グループは、旺盛な部品需要に対応すべく積極的に新製品の受注・売上の拡大を図るとともに、東北事業部での生産ライン増強を進めるなどの施策に取り組んでまいりました
  • 日本市場について、「当連結累計期間は、5G向けを中心とした通信分野や産業機器分野、自動車向け分野での部品需要に対応すべく積極的な受注活動、生産体制の拡充に努めてまいりました。この結果、売上高は6,334百万円(前年同期比15.7%増)、営業利益は148百万円(前年同期比139.1%増)となりました」
  • 中国市場について、「山王電子(無錫)有限公司については、当第2四半期期首より連結の範囲から除外しており、第1四半期連結累計期間分のみの計上となり、計上される売上高は345百万円、営業利益は11百万円となっております」
  • フィリピン市場について、「当連結累計期間は、回復基調の車載関連を中心とした受注活動の充実に努めるとともに、収益改善活動に努めてまいりました。この結果、売上高は1,420百万円(前年同期比30.7%増)、営業利益は31百万円(前年同期比257.6%増)となりました」

今後、2021年の通期決算を発表する区内上場企業

  • 【12月決算】株式会社テラプローブ(東証2部:新横浜2丁目 KAKiYAビル)※2021年5月に東証マザーズから2部へ昇格
  • 【12月決算】株式会社小野測器(東証1部:新横浜3丁目 ※自社ビル)
  • 【12月決算】シリウスビジョン株式会社(ジャスダック:新横浜2 新横浜千歳観光第2ビル)※2021年1月に堺市堺区から本社移転、「ナビタス」から社名変更
  • 【12月決算】株式会社JMC(東証マザーズ:新横浜2丁目 住友不動産新横浜ビル)

同業のTOBでパルテックが上場廃止

新横浜スクエアビル

新横浜スクエアビル(新横浜2)に本社を置く東証2部上場の半導体商社、株式会社PALTEK(パルテック、高橋忠仁社長)は、同業の半導体商社大手である株式会社レスターホールディングス(東京都品川区)のTOB(株式公開買い付け)に応じ、今月9月2日に子会社となり、先立つ8月31日には上場廃止となりました。

PALTEKは、1982(昭和57)年に緑区美しが丘(当時)で創業し、1995(平成7)年に新横浜へ本社を移転。半導体関連の売上が9割超を占める一方、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)といった分野のソリューション事業にも注力しています。

なお、PALTEKの上場廃止により、9月1日時点で港北区内の上場企業数は29社となりました。

【関連記事】

港北区の上場21社「通期決算」、自動車関連で苦戦、巣ごもり・半導体は好調(2021年6月14日、2月~4月決算の21社業績)

【参考リンク】

当社株式の上場廃止のお知らせPDF、株式会社PALTEK、2021年8月30日)