真っ先に新横浜の物件が対象として公表されました。西武ホールディングス(HD)は2021年3月期の通期決算と中期経営計画を今月(2021年)5月13日に発表し、保有資産を圧縮して機動的な経営体制を目指す“アセットライト”化の一環で、オフィスやホテルなどの資産について、売却や流動化(企業から分離させて資金調達)する方針です。
新型コロナウイルス禍の影響などから、西武HDは2021年3月期決算で723億円の赤字となっており、コロナ禍後を見据えた経営の立て直しに向け、資金調達や経営改革が求められている状況。2023年度までの中期経営計画における大きなテーマとして打ち出したのがアセットライト化でした。
その取り組みとして、駅前東広場(横浜アリーナ側)に面する「新横浜西武ビル」(新横浜3)が売却対象となり、駅前西広場(岸根交差点寄り)近くの環状2号線沿いに位置する「新横浜スクエアビル」(新横浜2)については流動化するとの方針を示しています。
売却の方針が示された新横浜西武ビルは、1991(平成3)年3月に竣工した地上10階・地下1階建てのビルで、帳簿価額は14億6000万円(2020年3月期)。「駅徒歩1分という抜群のアクセス性を誇るオフィスビル」(西武プロパティーズの紹介ページ)とし、駅前であることから現在は飲食関連のテナントが目立ちます。
一方、流動化の対象として挙げられた新横浜スクエアビルは、1995(平成7)年1月竣工の地上18階・地下1階建てのオフィスビルで、帳簿価額は40億8000万円(2020年3月期)。「新横浜エリアを代表する大型オフィスビル」(同)として著名企業の利用も多く、屋上にはヘリポートが設置されています。
両ビルとも西武HD傘下の西武鉄道が保有し、不動産事業者である西武プロパティーズに賃貸しているとのことです。
なお、現時点では、売却先や流動化の具体的な内容については公表されていません。
また、中期経営計画では、グループが保有する「プリンスホテル」など国内外のホテル資産も今後売却したうえで、運営を受託するとの方向性も決めています。
このほか、2017(平成29)年から傘下入りした株式会社横浜アリーナ(新横浜3)については、新たに設けたセグメント「スポーツ事業」のなかに組み込み、プロ野球球団「埼玉西武ライオンズ」とともに注力分野として位置づけられました。
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【参考リンク】
・「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)」策定に関するお知らせ(PDF、株式会社西武ホールディングス、2021年5月13日)
・西武ホールディングスのIRニュース(決算情報など)