新横浜は重要拠点となる「横浜4代目の駅(場所)」として出店。創業115年を来年迎える明治時代から「横浜」を拠点に発展した数々の“挑戦”を感じられる店舗に仕上げられています。
株式会社有隣堂(中区伊勢佐木町1、松信健太郎社長)は、新横浜駅ビル「キュービックプラザ新横浜」(新横浜ステーション開発株式会社、新横浜2)8階に、先週(2023年)12月22日(金)午前、「有隣堂キュービックプラザ新横浜店」をオープン。
9月30日に「三省堂書店新横浜店」が閉店して以降、書店の復活を待ちわびた人々が来店、10時の開店時間以降しばらくの間は会計を行うレジ待ちの長い列が数十メートルにわたり出来るほどの盛況ぶりでした。
1909(明治42)年12月、創業者の故・松信大助氏が横浜・伊勢佐木町(中区)で創業してから来年(2024年)で115周年を迎える「有隣堂」。神奈川県や東京都内を中心に店舗を展開する同店にとって、今回の新横浜での新規出店は43店舗目、神奈川店内25店舗目の出店となるといいます。
港北区内では、2007(平成19)年12月に師岡町にオープンした「トレッサ横浜」北棟(2階)内に出店して以来の店舗の新設となりました。
同社出版部の梅田勝課長は、「横浜・桜木町で横浜駅が開業して以来、2度移転したことにより、現在の横浜駅は“3代目”の場所となっていますが、新横浜駅(の場所)を“4代目の横浜駅”と位置付けての寄稿を、『横浜 鉄道と都市の150年』の著者・岡田直(おかだなおし)さんからいただいています」と、自社発行の情報紙「有鄰(ゆうりん)」(2024年1月発行予定号)への寄稿にあわせて、「横浜駅と並ぶ重要駅」といった意味合いでの新規出店であることを明かします。
また、今回の出展にあたり、「店舗のコンセプトは社員自らが発案し考えたものとなっています」と、同社で広報を担当する市川紀子さん。
新店舗のコンセプトは「新横浜で暮らす人、訪れる人それぞれの利便性を追求し、街の新たな目的地となる」と設定しています。
「新横浜には、地域の皆様はもちろん、ビジネスや観光、イベントといった様々なお客様がお越しになるため、それぞれの皆様の“目的地”となるような店舗づくりを行っています」と、広さ約1089平方メートルと、通常の店舗よりはやや大きめ(全店舗中10位)の規模だという店舗に、来店を促進する様々な工夫を凝らしていると説明します。
4つの「ゾーン」に4つの「特色」で差別化図る
新横浜に暮らし、働く人々にとっての「ハブ」となり、世界を広げ、暮らしを紡ぐことができる品揃えを目指しているという同店では、「書籍約16万冊、文具・雑貨は約5万点扱っています」と広報担当の市川さん。
店舗エリアを、話題の本を中心とした「くらす・ひろげる」、ビジネス書や専門書を中心に扱う「はたらく・ひろげる」、コミックを中心とした「たのしむ」、そして児童書や若年層の学習参考書を扱う「まなぶ」の4つのゾーンに分類。
セレクト商品・イベント催事を行う「新ヨコセレクト」(カフェ側)コーナーや期間限定ストア(レジ側)、文具・雑貨のコーナーも設置し、来店客の“それぞれの利便性を追求”しているといいます。
特に大きな特色といえるのが、「横浜らしさ」や、独自性を持つ「文具」、「ゆとり」を感じる店舗空間や、「ITを活用した情報発信」の4点となっています。
まずは「横浜らしさ」。創業の頃から横浜・神奈川県をテーマに地域に根ざした出版活動を展開してきたという同社では、1980 (昭和55)年に、現在の「出版部」となる出版部門(出版課)を発足。
単行本や「有隣新書」での発行スタイルで、歴史書を中心に、文学や美術、一般向けの自然科学書などの書籍の出版事業を行っています。
レジにも近いスペースに設けられた地元書籍コーナーには、自社の著作物や1967(昭和42)年12月創刊のタブロイド判情報紙「有鄰」(2010 年から隔月刊)を陳列。
地元・横浜や神奈川県を題材とする書籍やガイド本、地図なども置かれており、ほとんどの書籍などが、タイトル面が目に入りやすい方法で並べられています。
2つ目の特色は「文具」。同ビル7階にある「新横浜ロフト」では一部文房具などを取り扱っていることもあり、「いま中高生などに話題になっているという高級シャープペンシルや万年筆、ガラスペン、当社オリジナルのインクといった“こだわり”商品を取り扱っています」と、なるべく競合しない高級文具などを多く取り扱っているとのこと。
さらに店舗内には座って書籍を確認できるイスや緑の植栽も配置するなど、「ゆとり」を感じられる空間づくりに努めているといい、「少し前までは“ぎっしり”と商品を配列していることも多かったのですが、今は逆に“本を置かない”空間を創り出すなど、ゆったりとした気持ちで書籍を手にとってもらえるようにと陳列を行っています」と、「癒し」や「心地よさ」を大切にした店舗づくりをおこなったと説明します。
さらに、ITでの情報発信にも注力しており、同店のフェイスブックページやX(旧ツイッター)、インスタやLINEもすでに運用をスタート。
特に、同社の公式ユーチューブ(YouTube)チャンネル「有隣堂しか知らない世界」では、本や文房具を「社員が愛をこめてお伝えする」番組として“新型コロナ禍”最中の2020年6月から配信を行い、現在までにチャンネル登録者数は約26.7万人、234 本の動画を配信するといったチャレンジが数多くの大手メディアに採り上げられるなど、大きな話題を呼んでいるといいます。
来年(2024年)1月26日(金)には、ホテルアソシア側エレベーターから近い場所に店内の一部を使って、4店舗目となる書店併設型のカフェ「STORY CAFE(ストーリーカフェ)」のオープンも予定しています。
今年4月に開校したばかりの関東学院大学横浜・関内キャンパス(中区万代町)でもカフェやブックカフェの運営を受託事業で行うなど、飲食部門にも近年より力を入れているとのこと。
同カフェからも見える場所に「新ヨコセレクト」コーナーをすでに設けており、「カフェで佇(たたず)むときでも、“ちょっと見てみようかな”と思えるような商品をセレクトして展開してまいります」(市川さん)と、今後のイベントや催事などの企画開催や、期間限定ストアなどでの“同店らしい”物販にも注力していく考えです。
【関連記事】
・新横浜駅「有隣堂」が開店1カ月、併設カフェもオープンで“新たな居場所”に(2024年1月26日)※リンク追記
・新横浜駅ビルの「有隣堂」は12月22日(金)開店、1月からカフェも併設(2023年11月27日)
・<新横浜駅ビル>3・4階を刷新し21店オープン、特徴は歩きやすさと木目調(2023年12月8日)※「キュービックプラザ新横浜」3・4階のリニューアル・オープン日の模様を取材
【参考リンク】
・【12月22日(金)OPEN】有隣堂(キュービックプラザ新横浜)