貸出だけを行っていた時期にも、小さな子どもたちがたくさんの本を抱え借りていき、図書館の必要性を感じたシーンでした――。
新型コロナウイルスの影響で、人の集まる市民向けの公共施設を閉めざるを得ない状況に追い込まれるなか、本や資料の受け取りに限定するなど、休館期間を最小限に抑えたのが港北図書館(菊名6)でした。現在の状況を聞きました。
港北区内を含めた横浜市内の地区センターやコミュニティハウスなどの公共施設は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、3月初旬から一斉に休館することが決まり、小・中学校などの学校も同時期に臨時休校が行われています。
横浜市内の図書館は休館するのではなく、多くの人を集めない形での運営方法を模索。閲覧室を閉鎖したうえで、インターネットなどで予約した本や資料をカウンターで貸し出す「限定営業」として継続し、児童や生徒が学校へ行けないなかで本を届けるライフラインとしての役割を果たしました。
港北図書館の青木邦男館長は、「貸出だけを行っていた時期にも、小さな子どもたちがたくさんの本を抱えて借りていき、図書館の必要性を感じたシーンでした」と振り返ります。
しかし、4月7日(火)に神奈川県などの首都圏に「緊急事態宣言」が出されたことで開館の継続は困難と判断。11日(土)以降は、宣言解除後の5月26日(火)にいたるまで1カ月以上の完全休館に追い込まれました。
それでも、区内の公共施設のなかでは、いち早く5月27日(水)に開館した港北図書館。当初は予約済みの本や資料を渡す形とし、6月2日(火)に新規予約の受付を始めたところ、インターネットの予約システムがつながらなくなるなど、再開を待ちわびていた利用者が市内の図書館のサイトに殺到しました。
6月10日(水)には座席を使わない形で閲覧フロアへの立ち入りも可能とし、先週24日(水)には、閲覧室の座席を含めて完全な形での再開にこぎつけ、同日の港北図書館には1000人超の来館者が訪れています。
ただ、安全対策として座席の数を従来の半分となる60席に減らすなど、手探りの運営は今も続きます。横浜市内でも新型コロナウイルスの感染者が発生していることに加え、梅雨の時期ということもあって、まだ来館者は例年より低調だといいます。館内での恒例イベントも開けていない状況です。
青木館長によると「まずは、本の修理ボランティアからのスタートとなります」といい、「小さな子どもたちを対象とした『おはなし会』は、安全対策のもと再開を準備しています」とのこと。
「少しずつ元の港北図書館に戻していきますので、皆さんどうぞ安心してお越しください」(同館長)と呼びかけています。
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