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港北区内の一部地域で、古新聞や古雑誌、段ボールといった「古紙」の回収ができない事態が今月(2019年)12月上旬から発生しています。横浜市では古紙の回収を自治会・町内会などの地域団体にゆだねており、一部の地域団体が回収の契約を結んでいた2つの事業者が急に業務を停止したためだといいます。

横浜市内では「資源集団回収」という名で古新聞や古雑誌、段ボールといった古紙類は地域団体が回収を行っている(写真はイメージ、Photo ACより)

横浜市では「燃やすごみ」や「燃えないごみ」、「缶・びん・ペットボトル」といった家庭ごみは市が定期的に回収を行っていますが、資源物として換金が可能な古紙については、自治会・町内会や子供会、PTA、マンションの管理組合などの地域団体が回収を担当。

地域団体は古紙の回収を行うと“奨励金”として1キロあたり3円を市から受け取ることができ、回収する量に応じて活動資金が得られる仕組みです。

市が直接回収するよりも費用が削減できるだけでなく、地域活動の活性化につながることから、「資源集団回収」と名付けられ、2014年3月までに市内全域で導入されました。

一方、古紙を回収するには、そのノウハウを持たない地域団体も多いため、実際の回収作業は地域団体が外部業者に委託する形で実施。市は事業者にも奨励金を出し、地域団体と事業者の“民民契約”ができるような配慮を行っています。

中国への輸出ができなくなったことで古紙の行き場を失うケースも(写真はイメージ、Photo ACより)

市の資源循環局や港北区内の自治会・町内会関係者によると、2018年から中国政府が廃プラスチックなどの外国ごみ輸入の禁止措置を始めたことで、古紙にも影響が拡大しており、回収事業者のなかには、行き場を失った古紙を大量に抱えているケースも見られるとのこと。

こうした事情から、12月初頭に港北区内などの地域団体と契約を結んでいた2社が回収業務の停止を市側に通知急な業務停止だったため、地域への周知が間に合わず、すでに家庭から古紙が出されていた収集場所もあったといいます。

古紙の回収日は地域によって細かく分かれており、無断持ち去りの懸念もあることから回収日は限られた地域内でしか公開されていないことが多い(港北区内)

古紙回収を実施している地域団体は、港北区内だけでも400以上あり、それぞれ個別に事業者との回収契約を行っています。そのため、地域によって影響を受ける範囲は異なるものの、現状では篠原町や大豆戸町、綱島など、区内の多くの地域で影響を受けており、港北区以外の区へも広がっていました。

市では新たに回収業務を行うことができる事業者を探している最中だといい、古紙の回収が止まってしまった地域については、「自宅などで一時的な保管をお願いしたい」(資源循環局)と話します。

港北区内で回収ができなくなった集積所にはこうした紙が貼られている(12月18日=写真追加分)

日本国内では1990年代半ばに古紙の価格が暴落した後、2000年代初頭から中国に輸出する形で相場を保ってきたと言われるだけに、輸出ができずに古紙が余るような状況になれば、横浜市をはじめとした多くの自治体が行っている資源集団回収の仕組み自体に大きな影響をおよぼす可能性があります。

)この記事は読者の方から情報提供をいただいたことを機に取材しました。ありがとうございます。

【参考リンク】

横浜市「資源集団回収とは」(資源循環局)

横浜市「市で収集するもの(ごみ)」(資源循環局)