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新横浜 沿線レポート【沿線レポート】東海道新幹線が運転を終えた深夜の新横浜駅。0時ちょうどに駅前のバスターミナルから名古屋や京都・大阪方面へ夜行高速バスが運行されていることは、あまり知られていません。

新幹線の運行時間外に安価で移動できる手段として、知る人ぞ知る新横浜発の高速バス路線を紹介するとともに、名古屋までの乗車レポートを掲載します。

京都・難波・USJを結ぶ「キラキラ号」

2017年4月に大阪ミナミの中心部・難波(なんば)駅と東京駅を結ぶ路線として、新横浜駅へいち早く乗り入れを始めたのが「キラキラ号」です。

2台体制で運行されている大阪方面行の「キラキラ号」、トイレ付きの車両で運転

福島県のバス事業者「桜交通」の神奈川営業所(座間市)が運行するこの高速バスは、東京駅を22時50分に出発し、新横浜駅発は0時ちょうどという分かりやすい時刻。

翌朝6時50分に京都駅に着き、終点の難波には8時10分に到着する運行スケジュールとなっており、東海道新幹線の始発列車(新横浜駅6時発の「ひかり」493号)より、京都駅や大阪中心部に早く着けるのが特徴です。

翌年の2018年9月からは、大阪の大型テーマパーク「USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)」への乗り入れを行うとともに、現在は「京都・難波行」と「京都・難波・USJ行」という2つの路線を2台のバスで運行しています。

目立つ車体のキラキラ号

運賃は購入日や乗車日によって変化するため一定ではないものの、8月と9月の2カ月間で見ると、最安値が4560円(9月末の月曜日)で、最高値が1万4880円(8月13日)。

おおむね6000円から7000円の運賃に設定されている日が目立ち、新横浜と新大阪間の新幹線運賃・料金(1万3810円=のぞみ号通常時指定席)と比べ、半額程度で乗車できる日が多くなっていました。

なお、大阪・京都方面からの復路便は、現在のところ新横浜駅へは乗り入れておらず、横浜駅(YCAT=横浜シティ・エア・ターミナル前)や長津田駅に着く形となっています。

業界大手「ウィラー」は名古屋行を運行

京都・大阪方面行の「キラキラ号」に続き、2017年7月から新横浜駅への乗り入れを始めたのが高速バス業界大手の「ウィラーエクスプレス(WILLER EXPRESS)」で、こちらは名古屋駅への夜行高速バスを毎日運行。新横浜の出発時刻はキラキラ号と同じ0時ちょうどです。

ウィラーエクスプレスの名古屋行は川崎駅が始発で、新横浜駅は0時ちょうどに出発する

この便は、23時30分に川崎駅東口(商業施設「ラ・チッタデッラ」横=さくら通り)を出発し、0時に新横浜で客を乗せた後、さらに0時35分という遅い時間に横浜駅前の「YCAT」に停車。翌朝6時20分に名古屋駅(則武一丁目)に着く運行スケジュール。

復路は名古屋駅を22時45分に出発し、新横浜駅には早朝の4時50分に着く形で運行されています。

こちらも運賃は日によって異なり、3700円から6700円という価格帯。8月と9月の運賃を見ると、4000円から5000円台で乗れる日が目立ち、新横浜と名古屋間の新幹線運賃・料金(1万240円=のぞみ号通常時指定席)と比べ、おおむね半額程度といえそうです。

“高速ツアーバス”とは違う「高速乗合バス」

JRや東急電鉄といった鉄道会社やバス専門会社が国の認可を受けて運行する「高速路線バス」に対し、旅行会社や貸切バス会社が“ツアー形式”運行する低価格の高速バスは、「格安高速バス」や「高速ツアーバス」などと呼ばれ、2000年代初め頃から低価格をうりに次々と路線を拡大してきました。

JR系や東急バスなどが運行する高速バスはかつて「高速路線バス」と呼ばれ、ツアーバスとは異なる存在だった

ただ、料金を抑えるために乗務員に無理な勤務を強いるなどした結果、事故も相次いだことから、国は2013年に高速バスの制度を改正

現在はJRなどの大手事業者も含めて、運転手の乗務や運行ルールを定めた「高速乗合バス」という形に統一され、新横浜駅に乗り入れているキラキラ号やウィラーエクスプレスも、この高速乗合バスとして運行されています。

新制度によって、格安だけをうりにした中小ツアーバスの多くが消えたものの、高速乗合バスになっても依然として競争は厳しく、特に首都圏と東海・関西圏間の路線はいくつものバス会社がひしめき合っている状態です。

深夜の海老名サービスエリアには各社の乗合高速バスがひしめいていた

高速バスの専門家として知られ、港北区内で高速バスマーケティング研究所株式会社(大倉山1)を運営する成定(なりさだ)竜一さんは、「首都圏から京阪神の区間は多数のバス事業者が運行しており、利用者がウェブ上で『バスを比較して、選んで乗る』スタイルが定着している」といい、「そのため、特徴的な停留所(乗降地)を設定することは競争上も有効」と話します。

2017年からの新横浜駅への高速バス乗り入れも、こうした流れのなかで行われたものです。

特に新横浜駅ならではのメリットについて成定さんは、「横浜駅や新宿駅(バスタ)などと比べ、同じ『駅前』といっても新幹線やJR横浜線の改札口からも近く、階段利用も少ない便利な立地の停留所となっており、荷物が大きい場合などにも有用ではないでしょうか」と分析しています。

【レポート】新横浜駅から「夜行高速バス」で名古屋へ

運賃は予約日や乗車日によって変わる(ウィラーエクスプレスの予約ページより)

新幹線の「のぞみ」号なら名古屋は新横浜の次駅。1時間20分ほどで往来できる区間に、6時間20分かけて走っている夜行高速バス業界大手「ウィラーエクスプレス(WILLER EXPRESS)」の名古屋行に新横浜駅から乗ってみました

7月下旬の金曜日。夏休み中の週末ながら、この日の運賃は5230円と、新幹線のぞみ号の半額近い水準

東海道新幹線の運行終了は意外と早く、新横浜駅から名古屋へは22時18分発、京都・新大阪へは21時23分発の「のぞみ」が最終

また、新横浜駅を6時に出発する新幹線の始発「ひかり493号」(名古屋着7時25分)より名古屋に早く着ける点は、仕事やレジャー時にも役立ちそう。

新横浜駅の乗り場は、日中は大倉山駅や鶴見駅西口への横浜市営バスが使っている駅前バスターミナルの「3番のりば」

港北区を拠点に活躍する高速バス専門家・成定竜一さんに指摘されて気づかされたのが、新横浜駅のバス乗場は本当に“駅前”にあるということ。

バスターミナルは新横浜駅(左)の目の前にあり、エレベーターも設置。地下鉄の出入口とも直結している

新横浜周辺住民には当たり前の風景となっており、普段は気にすることもないのですが、高速バスの乗場は駅から遠い場所も多いのが現状です。

たとえば横浜駅の場合、多くのバスが出発するYCAT(ワイキャット)までは、鉄道の改札口からエスカレーターや階段をいくつも上ったり下りたりすることになりますが、新横浜駅はほぼ皆無。

JR横浜線や新幹線の改札口から乗場までは、1回のエレベーターと横断歩道で行き来が可能となっている点は、他のターミナルにはない強みといえそうです。

高い乗車率も、新横浜ではまだ低い知名度

イベント開催もなかったためか、この夜に新横浜駅から乗車した客は少なかった

日付が変わろうとする0時前、大阪方面行の赤い高速バス「キラキラ号」が2台連ねて姿を見せた後、続いてピンクのラインが印象的な白いウィラーのバスが到着。インターネットで予約しておけば、運転手に名前を告げるだけで乗車手続は完了で、チケットはありません。

川崎駅が始発のため、すでに車内では5~6人の乗客が眠りについており、新横浜駅から乗ったのは3人。新横浜周辺では、まだ知名度が低いことを感じさせられます。

4列シートながらシート設備は充実している(ウィラーエクスプレスの説明ページより)

各座席には、足を置けるフットレストや、すねをのせられるレッグレスト、頭の部分には上下移動可能な枕があり、寝顔を隠せる「カノピー」と呼ばれるフードまで装備。コンセントやWiFiもあって、足元も広めです。

2人掛けの隣席との間には、区切りを兼ねたようなドリンクホルダがあって、隣に人がいても“ひじ置き争奪戦”になることがないようにしているのも見事。

外は見えないので寝るしかない環境

バスのカーテンはすべて閉じられ、眠るために最適化されているのですが、車窓は見られず、飲食もしづらい雰囲気なので、乗ったらすぐに寝るか、静かにスマートフォンの画面でも眺めるか、といった選択肢しかなさそう。

新横浜駅から30分ほど走って横浜駅の「YCAT」に着くと、多くの人が乗ってきて座席はほぼ満員に。

ウィラーによると、この便の平均乗車率は約70%で、学生が長期休みとなる3月や8月は90%を超えるといいます。新横浜駅からの乗客は少なくても、横浜駅での知名度の高さがうかがえます。

この日、半分以上を占めていたのが女性客男性客を車内前方の座席にまとめ、後方で周りの目を気にせずに眠ることができる環境を作るなど、安いうえに細かな配慮を行うことで、女性利用者の支持を広げているようです。

海老名SAなどで途中2回の「トイレ休憩」

高速道路に入ると消灯された

東名高速道路に入ると、車内が完全に消灯され、いよいよ“完全睡眠モード”に。ただ、このバスにはトイレが付いておらず、運転手も1人だけのため、途中で2回の休憩が設定されています。

1時10分過ぎに東名高速道路の「海老名サービスエリア(SA)」で30分弱の休憩。バスの周りはウィラーも含めて夜行高速バスばかりで、戻る時に迷いかねないため、「L362便 名古屋行」という表示を確認して下車。深夜時の空腹ゆえか、24時間営業のフードコートにある吉野家やラーメン店が気になります。

朝4時過ぎに静岡県の新東名高速道路にある「遠州森町パーキングエリア」で二度目の休憩

2時間半ほど眠っている間に、バスは新東名高速道路に経路を変え、4時10分過ぎに掛川市に近い静岡県の森町にある「遠州森町パーキングエリア(PA)」で20分ほどの休憩。最初の海老名SAとは違って小規模なPAですが、コンビニの「デイリーヤマザキ」が24時間営業中でした。

バスは遠州森町PAから2時間ほど走った後、6時20分過ぎ終点の「名古屋駅・則武1丁目」に着きました。

名古屋駅までは徒歩5~6分、近くに銭湯

到着した則武(のりたけ)1丁目から名古屋駅までは徒歩5~6分かかる

名古屋が本社の著名食器メーカー「ノリタケ」が会社名として使っていることでも知られる「則武(のりたけ)」の町がバスの終着となっていますが、名古屋駅の太閤通り口までは徒歩5~6分と距離があるうえ、駅前ではリニア中央新幹線の大工事が行われていて、周辺通路もごちゃごちゃとしています。

ただ、バスが到着する則武1丁目ならではのメリットは、駅までの通り道に早朝営業のファストフード店やコンビニがあったり、バス停から徒歩5分ほどの場所に朝6時半から営業している「銭湯」があったりすること。

則武1丁目のバス停から徒歩5分ほどの場所には、朝6時30分から営業する銭湯「炭の湯」がある

「炭の湯」という名の銭湯は、檜風呂やジェット湯、サウナまで完備したミニ健康ランド的な設備を持つのに、入浴料は銭湯料金と同じ大人440円。タオルやシャンプーなどがセットになった入浴セット(300円)も売られています。

眠気覚ましに風呂に入ってから、のんびりと名古屋駅まで歩いていくというのも良さそうです。

【関連記事】

日吉駅を発着する静岡方面への高速バスに関する記事(横浜日吉新聞、同じ区内の日吉駅には静岡方面を結ぶ昼間の高速バスが乗り入れている)

新横浜発着の羽田空港行バス、4/1(土)から「きたせん」経由で時間短縮(2017年3月25日、新横浜の高速バスといえば羽田空港行が有名)

【参考リンク】

さくら観光・桜交通「キラキラ号」の公式サイト(新横浜→京都・難波・USJ便など)

ウィラーエクスプレス(WILLER EXPRESS)(川崎・新横浜~名古屋便など)

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