大豆戸(まめど)町でマンションやビルなどの開発計画が相次いで進められています。特に「環状2号線」に近い場所で活発になっており、本紙が集計しただけでも10以上の開発が進行中または完成しています。大豆戸に接した菊名7丁目の一部も含め、現状をまとめました。
大豆戸町は新横浜駅にほど近い場所から大倉山の港北区役所が置かれた一帯まで、主に環状2号線沿いの周辺に広がっています。途中に菊名7丁目が“割り込んだ”形となっているため、新横浜・菊名エリアと大倉山エリアが分断される形となっています。
これは、かつて周辺のほとんどが「大豆戸」という地名だったものが、宅地化の進展で住居表示が変わり、年月を経るごとに大豆戸町が“浸食”された結果だとみられます。そのため、形はいびつで、大豆戸のエリアを一見して覚えるのは不可能といえるほど。また、住居表示が行われていないため、地番で場所を特定するのも難しい状況です。
(※2022年3月12日追記)「大豆戸町」については、古くから飛び地状態となっており、平井誠二さんの「大倉山STYLE」での連載「大好き!大倉山」(2022年3月)によると、現時点では2つに分かれている理由はよくわからない、といいます。記事中の「宅地化の進展で住居表示が変わり、年月を経るごとに大豆戸町が“浸食”された結果」という推論部分は誤りでした)
逆に言えばそれだけ未開発の土地が残っているということも言えます。高速道路「横浜環状北線」の開通(2017年3月末)や相鉄・東急直通線の開通(2022年秋以降)を控え、幹線道路沿いでの開発が活発になっているようです。
現時点では、下記の開発案件が進行しています。まずは、7つの注目案件から見ていきましょう。
※地図上で白抜きの数字の場所になります
※カッコ内の[右][左]の表示は、新横浜側から大倉山方面に環状2号線を走って、右手か左手かを示したものです
(1)[右]4階建て事務所・店舗ビル(JX不動産)
「ルームズ大正堂新横浜店」や「太尾新道入口交差点」にほど近い場所で、住所表示だと「大豆戸町道念寺前639-3および639-4」となっています。かつてガソリンスタンド「エネオスサンリッチ新横浜SS」があった場所のためか、建築主はエネオスグループのJX不動産株式会社。
計画では約2880平方メートルの敷地に、4階建ての事務所・店舗を建て、10台分の駐車場を設ける計画です。完成予定は2017年7月31日としています。新横浜駅から徒歩圏内なので、商業施設や飲食店になることも考えられます。(※2016年11月15日追記:この場所は独ケルヒャーの本社になることがわかりました)
(2)[左]神奈川県赤十字血液センター建設工事(港北警察署となり)
大豆戸町の開発ではもっとも大型案件で、約5758平方メートルの敷地に日本赤十字社が地上3階建ての血液センターを設ける計画。2017年5月に完成予定です。
(3)[右]ハマツーウェイが建設するマンション・一戸建て
環状2号線と新幹線高架の間にあった一連の駐車場敷地を使い「5階建て34戸共同住宅・事務所」「6階建て30戸共同住宅・店舗」「一戸建て9戸」をそれぞれ開発します。
環状2号線に近い場所から、
- (仮称)大豆戸町共同住宅・事務所計画(大豆戸町593、517平方メートル、5階建て34戸共同住宅・事務所、建築主:公益社団法人神奈川法人会、2017年3月完成予定)
- (仮称)大豆戸町594計画新築工事(大豆戸町594-2、5、6と595-2、274.9平方メートル、6階建て30戸共同住宅・店舗、建築主:合同会社プレシャス・ゲイト、2017年1月完成予定)
- (名称不明)一戸建て9戸開発計画(大豆戸町594-1、725.3平方メートル、地上2~3階建て住宅9戸、建築主:横浜地所株式会社=当初標識による、完成予定時期は不明)
以上のプロジェクトとなっており、いずれも新横浜に本社を置く株式会社ハマツーウェイが建設工事に携わっています。
3つのプロジェクトのなかでは、真ん中の位置にあたる6階建て30戸の共同住宅(マンション)が完成に近づいており、現在は環状2号にもっとも近い5階建て34戸共同住宅・事務所の建設に取り掛かっています。
一方、新幹線の高架橋に近い一戸建て9戸の分譲地ですが、9月までに4区画が販売済みの様子。菊名駅と新横浜駅の徒歩圏内での一戸建てというのがうけているようです。
(4)[左]7階建て82戸「アールブラン大倉山」
こちらは株式会社モリモトによって「(仮称)横浜市港北区大豆戸町PJ」との名で建設が進められている7階建て82戸(駐車場25台)のマンション計画で、「MEGAドン・キホーテ新横浜店」に近い場所で、結婚式場「ハートコート横浜」(旧「港北警察署」の裏側)の並びにあった駐車場跡地1891平方メートルを使っています。
新横浜へも徒歩16分の距離ですが、徒歩13~14分で駅に着ける大倉山の名が冠されたマンションで、2017年3月の完成へ向けすでに販売活動が始まっています。(マンションのWebサイトはこちら)
(5)[右]「港北区休日急患診療所」建設計画
ここから住所はぎりぎり菊名7丁目となります。旧「資源循環局港北事務所」の跡地を使った計画で、現在は菊名4丁目にある「港北区休日急患診療所」が来年(2017)年4月に新築移転される予定で、工事が進められています。
(6)[右]「一般競争入札」で民間に売却予定地
こちらも旧「資源循環局港北事務所」の跡地で、休日急患診療所の残り部分(1300平方メートル)を民間企業などに売却する予定。
応募条件として「準住居地域に建築することができる建築物で、隣接する休日急患診療所等の周辺環境と調和したもの」であることや、附帯施設には、緑化されたオープンスペースや地域貢献に供する施設を設けることを求めています。(関連記事はこちら)
(7)[右]「(仮称)大倉山エンガワ計画」(港北消防署近く)
ここから再び大豆戸町となり、港北区役所や港北消防署に近い1722平方メートルの駐車場跡地に3階建て22戸の共同住宅や児童福祉施設・集会場を設ける計画です。1階には店舗スペースが作られる可能性があります。大倉山駅から徒歩9分ほどの距離で、建築主は大豆戸町在住の個人。2016年12月に完成予定です。住所は大豆戸町89-5、6となります。
共同住宅部分は「大倉山シニアハウス+(プラス)」という名になり、その一部は市が借り上げる形の子育て住宅「子育てりぶいん」として活用される予定です。
以上が7つの注目開発案件ですが、これ以外にも大豆戸町では5つの開発が行われていますので、そちらもご紹介します。
※地図上の「白抜きではない」赤い丸数字の位置です
(1)[右:篠原寄り]プリンスホテル近くで3階建て一戸建て住宅4戸計画
新幹線高架橋の篠原側にある大豆戸町で、住所は「大豆戸町字大西1195-5の一部」となっています。新横浜プリンスホテルにほど近い交通至便な場所。敷地面積は492平方メートルで、開発事業者名は株式会社ベルハウスとなっています。
(2)[右:篠原寄り]三井ホーム5区画分譲「パーソナルアベニュー大豆戸町」
「セブンイレブン新横浜駅東店」の近く、新横浜駅から6~8分の高台。「大豆戸町1090-14、15」という住所の山林だった場所を宅地として、三井ホームが「パーソナルアベニュー大豆戸町」という名で分譲しており、現地ではすでに家も建ち始めています。(分譲に関するWebサイトはこちら)
(3)[左]5階建て24戸の賃貸マンション「ルミエール新横浜」
住所は大豆戸町587-3。港北車庫前バス停前の農地跡に建てられた賃貸マンションで、JAグループ神奈川と大和ハウスによって建てられ、先月(2016年9月)に完成しています。1LDKの部屋が中心のようです。
(4)[左]:賃貸マンション「Bシティアパートメント菊名(B city apartment kikuna)」
大豆戸町364-1、道路1本超えれば菊名7丁目という場所です。かつて菊名7丁目側にあった旧「ドン・キホーテ新横浜店」(2014年9月移転閉店)の駐輪場だった土地に、バンズシティ株式会社によって建てられた7階建て36戸の賃貸マンション。今年(2016年)8月に完成しています。ワンルームが中心のようです。
(5)[左]「大豆戸町内会館」建設計画
住所は「菊名7丁目929-1」となっており、旧「資源循環局港北事務所」の跡地の一角に建てられるとみられますが、現時点で詳細は不明です。
以上が現在「新横浜新聞」で把握している大豆戸町における開発計画の一覧です。
港北区内では、相鉄・東急直通線の開通を控え、日吉と綱島駅の綱島街道沿いで大規模再開発が行われていますが、大豆戸町は大規模な開発は少ないものの、数の多さでは日吉~綱島間を上回るかもしれません。
ビルがひしめく新横浜町内には開発できるだけの土地が残っていない分、周辺にある大豆戸町や篠原町など、開発が進んでいないエリアに注目が集まっているといえそうです。
【関連記事】
・<環状2号沿い菊名7丁目>休日急患診療所が移転、隣の市有地は再び売却公募(2016年9月18日)
・【新横浜マップ】新幹線を境にがらりと変わる風景、環状2号沿いの大豆戸町は注目(2016年7月10日)
・<2017年3月開通>地下30mの高速道路「横浜北線」は港北区内のどこを通っているのか(2016年9月11日)
・これから7年間に日吉・綱島の街で起こる「再開発」などの出来事予測をまとめました(横浜日吉新聞、2016年8月28日)