横浜市が「特別自治市」となり、神奈川県と市による“二重行政”などの課題解決を目指すことができるのでしょうか。
港北区内13地区の自治会・町内会の代表者が集まり活動を行う「港北区連合町内会」は、今月(2023年)3月13日(月)午前、横浜市役所(中区本町)で、「特別市の実現に向けた取り組みの推進」への要望書を提出。
川島武俊会長から山中竹春市長に手渡すことで、「特別市」実現を目指す市の取り組みを、地域住民側から “後押し”しました。
「特別市」とは、「特別自治市」の略称で、横浜市が特別市となることで神奈川県の枠組みから抜け、県と市による二重行政などの課題解決を目指す制度。
現在「国→都道府県→市町村」となっている地方自治制度に「国→特別市」という形を加え、都道府県を“中抜き”し、県と政令指定都市が似たような事業を行う二重行政の解消などを目指そうとするものです。
横浜市や川崎市など人口の多い都市部の自治体は、「政令指定都市」という名で一般の「市」よりも広い権限が与えられているものの、制度的には一般市と同じ位置付けであり、予算配分面などで不都合が生じているといわれています。
「特別市」の実現に向けて、先月2月22日に、山中市長が港北区役所(大豆戸町)を訪問、港北区連合町内会の会合の場で「横浜市が目指す特別市」というテーマを、データや身近な事例を用いて説明したといい、「大変分かりやすく説明いただいたことに感謝申し上げます」と、川島会長は、今回の要望書提出に至ったきっかけを振り返ります。
「今回の説明で、日本最大の基礎自治体である横浜市が抱える課題について、改めて認識することができました」と川島会長。
県と市の二重行政、不十分な税制上の措置などを解決するには、特別市の実現が不可欠であり、「早急に取り組むことが重要」と、同連合町内会としても考えるようになったといいます。
また、特別市の制度創設を目指す指定都市市長会(会長・久元喜造神戸市長)と市が、同3月11日(土)に日吉でシンポジウム「特別市制度の実現に向けて」を開催、ほぼ満席となる350人の市民らが参加。川島会長も当日来場していました。
このシンポジウムでも登壇した山中市長は、今回の要望書の提出を受け、「要望を真摯に受け止めています。大都市横浜として特別市になることで様々なメリットが期待できると思います。まずは市民の皆様に理解していただけるよう、時間がかかるかもしれないが、私自身の手で特別市にしていくための努力を加速させたい」との決意についてもしっかりとした口調で語っていました。
港北区は、20政令市175行政区で最多の約36万人の区民が暮らす全国でも最大の区となっており、「地域課題も多く抱えています。必要な予算措置も含め、区の権限強化についてもぜひ取り組んでいただきたい」と川島会長は訴えます。
市民、そして区民一人ひとりの思いを、国や県のみならず市がまずは受け止め、スピード感をもって“特別市の実現”、また“区の分権”を推し進めることも、変化が激しい時世を踏まえる横浜市にとっては「必達目標」となりそうです。
【関連記事】
・神奈川県から“独立”目指す横浜市、「特別自治市」のメリットは誰にもたらすか(横浜日吉新聞、2021年6月21日)※特別市を目指す経緯や詳細
・日吉でのシンポジウム盛況、横浜市は県から離れて「特別市」になれるか(横浜日吉新聞、2023年3月16日)
・日吉で10年ぶり、3月11日(土)に横浜市が「特別市」を目指すシンポジウム(横浜日吉新聞、2023年3月3日)
【参考リンク】
・港北区連合町内会は「特別市」の実現に向けた取組推進について山中市長に要望書を提出しました(港北区連合町内会)
・3月13日(月曜日)港北区連合町内会より特別市の実現に向けた取組推進の要望書を受領しました(横浜市長の部屋~横浜市)
・特別市の実現に向けた取組推進の要望書を横浜市長が受領しました(横浜市記者発表資料)