【ST線フォーラムレポート(2)】今月(2022年)8月19日に慶應義塾大学日吉キャンパス内の協生館「藤原洋記念ホール」で行われた「相鉄・東急直通線フォーラム~開業後の“未来を語る”」(ST線フォーラム、一般社団法人地域インターネット新聞社主催)のなかから、今回(第2回)は日吉地区の渡辺広明さん(流通アナリスト)の講演をお伝えします。
【講演】日吉地区・渡辺広明さん(流通アナリスト)
流通アナリストの渡辺です。よろしくお願いします。僕の講演は、ゆったり軽く気楽に聞いてください。
今日、僕は日吉の代表として日吉のお話をさせていただこうと思っています。私は日吉に住んでまだ20年なので、私のような者が皆さんの前で日吉について語るのはどうなのかなと思ったのですが、20年住んだだけでもものすごく「いい街だったな」という思いがあるので、そのあたりをご説明します。
今回は日吉新聞の橋本さん、ご苦労さまでした。今回、これだけのいろいろな方が集まって登壇して何かをしゃべるということは、これだけでも新しい未来を感じるなと思いました。
今まで日吉や港北区に住んで思ったのは、すごく“縦割り”ですよね。それぞれがつながっていそうで、つながっていなかったので、今回を機会にいろいろなつながりができたらいいなと思います。
先ほど、(この後講演する)綱島の池谷(いけのや)桃園の池谷さんに「昔、綱島は新婚旅行のメッカだったという話を見たことがあったんですけど、本当にそうでしたか」とお聞きしたら、「初代・林家三平さんも新婚旅行に来た」という衝撃的な情報もいただいて、まだまだ我々は地域で知らないことがたくさんあるということが分かりました。
私が日吉に住んだのは20年前です。ものすごくいい場所だと思いました。調べていくと日吉は弥生時代も住宅街だったらしいです。約1900年前です。100戸ぐらい竪穴(たてあな)式住居が発見されたようです。
今でもすごく温暖というか、横浜全体が温暖なのでしょうけれども、比較的暮らしやすく、弥生時代から暮らしやすいところに僕は今も住んでいるということです。
直近では、たくさんの「社宅」がありましたが、それぞれの会社が社宅という制度を維持しづらくなって、今は多数のマンションが建っています。
プレゼン画像の写真はアピタ日吉店(箕輪町2)などの跡地に建った「プラウドシティ」というマンション群です。
そういった新しい日吉のメンバー、私も20年ですが、これからどんどん日吉の新しい魅力あるメンバーが集まってきます。今回、相鉄と東急が直通するということで、新しい未来がどんどん開けていくのではないかとすごく楽しみに感じています。
日吉の自宅からテレビ出演できる時代
「おまえ、20年前から日吉に住んだということだけど、いったい何者なんだ」と思われている方もいるので、少しだけ自己紹介をします。
自己紹介の前に「日吉、大好きなんです」というのが(プレゼン資料の表示)抜けていました。日吉、大好きなんです。
今、私はメディアでマーケティングや流通に関して発信をする仕事を主にしています。それ以外も講演をしたり商品開発をしたりしています。
フジテレビで23時40分から放送している「Live News α(ライブ・ニュース・アルファ)」というニュース番組の解説を1週間に1回くらい担当しています。
これは“日吉スタジオ”から全国に中継しています。知っていましたか。日吉スタジオとはいったいどこなのでしょう。私の家からです。計50回ぐらい日吉スタジオから出演しています。
今、「テレワーク」になって、どこからでもメディアに出ることが当たり前の時代になっているからこそ、逆に地域のつながりが大事なのではないかと考えています。
今日も夜、番組に出る確率は20%ぐらいですが、もしお時間がありましたら、ひょっとしたら出るかもしれません。出るかどうかは夕方に決まります。ひょっとしたら日吉スタジオから今日もお送りできるかもしれないので、23時を過ぎたらニュースは、ぜひ「8チャンネル」、フジテレビに合わせていただければと思います。
私はもう1つの顔として、元々ローソンというコンビニエンスストアに勤めていて、その後、ポーラ・オルビスという化粧品会社、TBC(エステティックTBC)というエステの会社に勤めて、商品開発をしていました。
約760点の商品開発をしたので、日本で商品開発をした数は一番多いのではないかと思います。今ある商品だと写真に出ているような商品を開発しています。
今回、「ST線フォーラム」に来て、ぜひ「相鉄・東急直通線」に関する商品開発を、学校の皆様なのか、区の皆様なのか、地域の皆様なのか、はたまたF・マリノスの皆様がご協力いただけるのかは分かりませんが、1つシンボルになるようなものができても面白いのではないかと思っています。そのような仕事をしている者が私になります。
地域活動に参加、街がより好きになった
日吉といえば慶應義塾大学の街です。今日も慶應大学から場をお借りしています。また箕輪町には「日本大学高校・中学校」もあって、非常に若い人が集う街なので、ここにいる皆さんに申し上げるのは“釈迦に説法”ですが、商店街が若返って活性化しています。
かといって昔から住んでいらっしゃる方もいて、フランス料理やイタリア料理の重厚なお店があったりファストフードがあったり、すごくいい街だと思ったことが決め手になって20年前にこちらに住み始めました。
私はまだ若輩の20年ですが、「地域に密着したい」という気持ちがあったので、19年前、日吉台小学校(日吉本町1)という、ここから一番近い小学校で「おやじの会」という地域の父親の会を立ち上げたときのメンバーに混ぜていただきました。こちらに参加して地域の皆さんとのつながりを強めていきました。
特に日吉台小学校の盆踊り大会は、行かれた方もいるかもしれませんが、必ず子供向けの“ストラックアウト”という行事をやっています。それを立ち上げメンバーとして立ち上げ、今も夏になると小学校の皆さんがストラックアウトを楽しみにしているところを見ると楽しいなと思います。
あとは「おやじの会」でいろいろなイベントをやりました。今日は写真に載っていませんが、元ブラインドサッカー日本代表の落合啓士さんが主将でいて、後ほど登壇される慶應大学商学部の牛島利明先生のご紹介ですが、ブラインドサッカーのイベントをやりました。
いろいろなイベントをさせていただきながら「おやじの会」に参画しました。そのときに慶應大学の牛島先生を紹介いただきました。そこから慶應とのつながりを持たせていただきました。ゼミに呼んでいただいて、いろいろな授業をして、より日吉への思いを深くさせていただきました。
これも牛島先生に助けていただいて出展したもので、地域と慶應大学がつながるイベント、今は中断されているようですが、「ヒヨシエイジ」(2003年~2016年)というイベントがあります。
当時、私はNPOでラオスやガーナという最貧国に学校を建てる仕事を、仕事というかプライベートでしていましたので、そのブースを出展したり、花火大会を毎年したり、日吉と慶應がつながるイベントをやっていたことをすごく思い出します。
このイベントは今は休止しています。学生さんが運営しているものですから代がどんどん変わっていって難しいところもありますが、このようなことがまた復活してできたらいいなと思っています。日吉台小学校と慶應大学のおかげで私は若輩ながらすごく日吉の街がより好きになりました。
日吉のキャンパスの下には旧日本海軍の司令本部の地下壕(ごう)が6キロぐらいあります。ここから太平洋戦争の終戦のときに全部の司令を出していました。この史跡に関する活動もさせていただいて、ボランティアガイドや遺跡ガイドの資格も6回ぐらい授業を受けて取りました。
今はばたばたしていてガイドの仕事をすることができないのですが、日本の中心となるような歴史も日吉から生まれています。日吉以外の方々は知らなかったこともあるのかもしれません。
これから僕らも、相鉄線のいろいろな地域のことを勉強すべきだと思います。まだまだ知らないことがあるので、こういった活動も力を入れていければと考えています。
同じ横浜でも近そうで遠かった東急と相鉄
先ほどもご説明があったと思いますが、東急と相鉄は近そうで遠かったですよね。同じ横浜市にあるとはとても思えませんでした。
今回、日吉から相鉄までつながるということは、ものすごく身近になるのではないかと思います。
今、私は日吉のご説明をしていますが、東横線沿いには、まだまだいろいろな良いところがたくさんあります。我々が勉強してない相鉄線には、もっと探るべき、勉強すべきものがあります。ぜひこういう機会をスタートに交流を広めて融合していければいいなと考えます。
慶應大学にもお世話になっていますが、羽沢(羽沢横浜国大駅)には横浜国立大学があります。僕は30年前、ローソンの店長を横浜地区で始めたのがキャリアのスタートでした。そのとき、横浜国立大学の学生さんによく夜勤のアルバイトに就いてもらっていました。
このあたりの交流も、僕にも何かお仕事があれば欲しいですし、勉強して交流していければいいなと思っています。
これから大事になることは、主体的に皆さんがなっていかないとだめなのではないかと思っています。せっかくこういう機会をいただいたので、交流をすると色々なことが生まれますが、なかなか待っているだけでは生まれてこないので、日吉であれば日吉の魅力をいかに外に発信するかということにさらに力を入れていきます。
我々は日吉の住民ですが、東急東横線沿線の住民なので、今回、相鉄さんとつながる日吉から渋谷までのエリアの方々とも、うまく密着しながら情報発信していくことがすごく大事なのではないかと思います。
私は流通アナリストという流通や小売のことを発信する仕事をしているので、皆さん、もし何か面白い事項などがあれば、ご紹介いただければ後押しできるのではないかと考えています。
日吉は「グルメ天国」、サウナ付き銭湯も
本日登壇する際に(横浜日吉新聞の)橋本さんから「未来に向けた提言ができないですか」と言われました。
日吉に住んだのは、流通の仕事をするうえで魅力的な場所であるからです。
流通の仕事をしていると、いろいろと最新のスポットやモールなどをチェックに行かなければいけません。例えば「コストコ」や「イケア」など、いろいろとありますが、このエリアは日本の主要の小売業、東急さんと相鉄さんの前で何ですが、車で行くと大半の商業施設が見れてしまうので、我々の仕事にとって非常に魅力的な場所です。
しかしながら魅力は、そうした施設だけではありません。
日吉の商店街もそうですし、相鉄線でいうと横浜洪福寺松原商店街(保土ヶ谷区、相鉄線「天王町」駅)など素晴らしい商店街があります。また、日吉から直通する東急目黒線の沿線にある「武蔵小山」の商店街も素晴らしい。
チェーンのショッピングモールは必要な分がそれぞれのところにありますが、これからは地域に戻り商店街の魅力を発信しながら、相鉄線沿いの商店街プラス日吉の商店街がうまく交流していけば、大変面白い新しい文化が生まれてくるのではないかと思います。
日吉の宣伝をしますと、日吉は「グルメ天国」だと思っています。
イタリア料理のお店があったり、真ん中に「プクプク亭」(日吉本町1)という僕が大好きな洋食屋さんがあって、ここの「ビシソワーズ(じゃがいもの冷製スープ)」はめちゃめちゃおいしいので、今日も帰りに行って飲んでいただきたいぐらいです。
おいしい地元の洋食屋さんがあったり、あとは慶應大学があるがゆえにラーメン屋さんが多いです。今は数えていませんが、一時期は18軒ぐらいあったと思います。17~18軒が1年間に3軒ぐらい入れ替わるような形でラーメン店がどんどんできているので、密かにラーメン激戦区ですね。当然“家系ラーメン”もたくさんあります。ぜひ他の地域の方々がいたら、日吉のグルメを楽しみに来ていただけたらと思います。
僕は去年から“サウナー”になりました。相鉄線沿いには「満天の湯」という施設が上星川駅前にあって、素晴らしい日帰り温泉・サウナがあります。
日吉にも街の銭湯に併設したサウナが2軒もあります。「日吉湯」(日吉本町4)と「旭湯」(日吉2)です。
綱島まで広げると、綱島エリアにもサウナ付きの銭湯が2~3軒あります。銭湯という文化は、もう少しすると小山薫堂さんが映画でやるらしいのですが、昔からの文化で、それが日吉の街や綱島の街などにも残っているので、今のサウナブームとともに皆さん、ぜひお出かけいただいてもすごく楽しいのではないかと思います。
直通線の大きなメリットは東海道新幹線
今回の直通線で一番大きいのは、東海道新幹線の「新横浜駅」に相鉄線と東横線の居住者が出やすくなることがポイントなのではないかと思います。
日吉の人間からすると、「日吉駅が始発(東急目黒線)だったのに、相鉄とくっ付いたら混んでしまって嫌じゃないか」というネガティブな意見を持っている人も多いのですが、JRとくっ付くことがすごく大事です。
私の地元は静岡の浜松です。今後、相鉄・東急直通線によって何と日吉から1時間20分弱で私の地元まで着いてしまいます。JRの沿線のことも考えると便利になるのではないかと思います。
私は浜松にも19年間、生まれてから住んでいて、「やらまいか大使」という観光大使をやらせていただいています。来年、NHKの大河ドラマで『どうする家康』という作品が始まりますので、ぜひ皆さん、浜松の観光もよろしくお願いします。
今回、相鉄・東急直通線の開業に合わせて多様性がある街になるように、先ほどもお話ししましたが、皆さんが主体的にどんどん動いていって交流をしていくと、沿線が盛り上がっていくのではないかと思いますので、ぜひよろしくお願いします。12分という短い時間でしたが、ありがとうございました。
<フォーラム後の一言>
僕はまだ未来を想像できていませんが、今日は皆さんのお話をたくさん聞いてすごくわくわくしました。
今まで僕は日吉のことしか考えていませんでしたが、東横線、相鉄、F・マリノス、横浜国立大学、慶應大学、いろいろなことを視野に入れ、考えながらさまざまな発信をしていきたいと思いますので、何かございましたら皆さん、連携をよろしくお願いします。
→【レポート(3)】綱島地区・池谷道義さん(池谷家16代当主)へ
(※全9回にわたる「ST線フォーラムレポート」の一覧はこちらをご覧ください)
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