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【市長候補の独自研究・第5回】8人もの候補者が乱立する横浜市長選(2021年8月22日投開票)。なんとなく名前は分かるけど、詳しい人となりはよく分からないという候補者一人ひとりの歩みや政策を独自に研究し、公式プロフィールに載っていない内容も含め、港北区在住のライター・田山勇一氏がまとめました。告示順に第5回は福田峰之氏(元衆院議員)の紹介です。

  • 本連載の元となる記事「<横浜市長選>実は名前程度しか分からない? 候補者8人の徹底研究を試みる」はこちらに掲載している
  • 誰もが情報を共有できるよう情報元はインターネット上に公開されているホームページやSNS、動画などの内容に限定した。市販されている書籍の内容も一部あり、その場合は出典元を記載した。また、街頭などリアルの場で見聞きしたことはその旨を記した。
  • 街頭で配っていたり、新聞に折り込まれたりしたチラシの類は情報源から外した
  • 候補者の選挙ポスターはコロナ禍で外出しなくても見られるよう、掲示板から接写して転載した
  • <筆者の感想・メモ>の部分など、本ページは筆者(ライター・田山)個人の見解と感想によって構成したもので、「横浜日吉新聞」や「新横浜新聞~しんよこ新聞」を代表するものではない(田山勇一)

福田峰之氏(元衆院議員・元横浜市議)

福田峰之氏の選挙ポスター、候補者番号(5)

【各種公開情報による経歴】1964(昭和39)年4月、東京都生まれ、青葉区育ち、57歳。東京学芸大附属世田谷小・中学校、県立白山高校、立教大学社会学部卒業。1988(昭和63)年、衆院議員秘書。1999(平成11)年、30歳の時に青葉区選挙区から市会議員に初当選、当選2回。
2005(平成17)年、比例区南関東から衆院議員に初当選、当選3回。2015(平成27)年、内閣府大臣補佐官(税と社会保障・マイナンバー制度担当)、2017(平成29)年内閣府副大臣(IT・サイバーセキュリティ・科学技術・知財等担当)。2017(平成29)年、「希望の党」創設メンバー。2018(平成30)年、多摩大学「ルール形成戦略研究所」客員教授。著書に『世界市場で勝つルールメイキング戦略 技術で勝る日本企業がなぜ負けるのか』(共著、2016年)など

<公式経歴以外の事項>

  • 政治の師は亀井善之元農水大臣(1936年~2006年、伊勢原市生まれ)
  • 衆院選では2005年以降、「神奈川8区」(緑区・青葉区など)から自民党公認で出馬するも江田憲司氏(現立憲民主党所属=過去は無所属、みんなの党、維新の党)に苦戦、選挙4回中3回は重複立候補の南関東ブロックから復活当選、1回は落選
  • 前回2017年の衆院選では、内閣府副大臣を辞し、自民党を離党して小池百合子東京都知事が代表をつとめる「希望の党」(当時)の結党メンバーとして参画。現役副大臣の辞任による新党参加は驚きをもって伝えられた
  • 当時のネットメディアによるインタビュー記事(現在は消去)によると、53歳(当時)になり、残された政治人生では若い政治家の育成を行いたいと思い、それには新党が最適であると考えたことや、自民党内の決まりで2回連続で比例区復活が許されないという背景があったことも否定できないと語っていた
  • 希望の党では、自身が幼少期を過ごした目黒区を含む「東京5区」(目黒区と世田谷区の一部)に選挙区を移して立候補するも自民党と立憲民主党の候補に敗れた
  • 2017年の落選後は、20歳の頃から身を置いていた政治の世界からいったん距離を置き、53歳でプログラミングを猛勉強し、アジア諸国のスタートアップ施策を学ぶなど新たな挑戦をし続ける一方、当時2歳だった子どもなど家族との時間を大事に過ごしていたという
  • 横浜市長選への立候補については、「このままでは閉塞感から脱却出来ず、横浜の将来が描けない。格差が広がり、不安定な社会を子供たちに残すことになるという思いから」だといい、「大企業病に侵された横浜は、守りに走り、旧態依然の関係を大切にし、新たな挑戦が望まれない。新たな挑戦が出来なければ、新たな参入者は生まれない。そこに、公平な機会はない」と決意を述べている

<主な支持者(推定)>

  • 「横浜STARTUP(スタートアップ)」(ヤフー元取締役などが参画)と名付けた支援団体
  • 横浜市議や衆院議員時代の支持者(青葉区など)
  • 社会のIT化に関心を持つ層

<主な政策・訴え>

  • 【子ども・子育て】「横浜型義務保育」を推進し、児童虐待や10代の自殺者を無くしていく。子育て支援拡充の財源はIRからの収入を活用する
  • 【子ども・子育て】中学校では通常、普通の給食とし、時に“愛情弁当”の日も設ける。朝ご飯抜きの子供には、簡単な軽食も用意する
  • 【子ども・子育て】義務教育下で私学に通う子供には、交通費助成を行う。経済的事情が悪化している家庭向けには横浜型支援給付金を設ける
  • 【デジタル化】スマートフォンのなかにマイナンバーの機能を格納し、官・民の事務手続きを3分以内で何でも出来るようにする
  • 【デジタル化】市役所全体のデジタル化を進め、市民には「(申請書を)読まない、(申請書を)書かない、(役所に)行かせない」形とし、(「申請しないほうが悪い」という考え方の)申請主義から脱却し、(「知らせない方が悪い」という)「おせっかい行政サービス」に変革する
  • 【デジタル化】電子空間に“横浜市”をつくり、そこにバーチャル住民登録(eレジデンス)してもらい新たな市民参加を促していく。バーチャル住民登録者は、リアルな横浜市民と同様の行政サービスが受けられるようにする一方、「ふるさと納税」で税を徴収する
  • 【デジタル化】公的機関には無料のWiFiを整備
  • 【デジタル化】ITが苦手な層には民生委員のような「デジタル支援員」を設けサポートする
  • 【環境】上瀬谷米軍施設跡を再エネ製造拠点にするなど、“Made in 横浜”のエネルギーを製造する。また、水素を運搬する船を横浜に誘致する
  • 【環境】FCV(燃料電池自動車)の普及を促すため、現在市内7カ所(港北区綱島東など)にしかない「水素ステーション」を18区すべてに整備する
  • 【環境】横浜アリーナや横浜文化体育館などに燃料電池を設置し、脱炭素のコンサート、スポーツイベントを支援する
  • 【感染症対策】デジタル化&IT化により、接触アプリを市民全体に行き渡らせる。補助金情報の共有・申請やワクチン接種情報の共有・予約にも活用する
  • 【区政】総合区制度を用いて区長に予算提案権、人事権を委ね、特徴のある区づくりを推進する
  • 【IR】IRは横浜経済に活力を与え、財政基盤を強化する手法の1つとして賛成。自民党衆院議員時代に「IR推進法」に賛成した立場から、最後までその責任を果たしていく
  • 【IR】横浜市のIR議論で足りない部分は川崎市や東京都市部、千葉市、浦安市など首都圏との連携・議論を深めてこなかったこと。IRは首都圏のゲートウエイであり、連携して訪日外国人の回遊を作り上げていく必要がある

<筆者の感想・メモ>

  • 横浜は160年前の開港以来、新たな価値を取り入れて全国に発信してきたことから「スタートアップ発祥の地」という認識で、自らの選挙戦を「横浜スタートアップ」と名付けて展開
  • スタートアップという言葉の定義は、まだ日本で広く共有されているようには思えないが、「革新的な考え方(事業)で急成長する起業間もない企業」と考えれば良いのであろうか? 福田氏が動画内で呼称している「スターター」とは……よくわからない
  • 定義のしっかり定まっていない言葉を使うことは悪いわけではないが(スタートアップの言葉は日経新聞でも用いている)、良くも悪くも、若いベンチャー企業界隈(かいわい)のような雰囲気を感じる
  • 政策面では、行政の急速なIT化を目指すという部分は、候補者ならではか。紙の手続きが重視されている役所の現状を変え、さらに「申請主義」から脱却を目指すという点などは、多くの市民が現状に迷惑をこうむっている状況なので、共感する人は多いのではないか
  • ただ、横浜市だけでIT化しても便利にはならないので、国も含めた行政機関へ広げていくには、現与党である自民党とどう折り合っていくのか(候補者は結果として自民党内で「裏切った」という評価になってしまっており、協力を得られるかどうか)
  • 出馬会見では、「選挙を考えれば人数の多い層、投票率の高い層の政策が中心になるのは必然。行き過ぎたシルバー民主主義を軌道修正する必要がある」と述べていたが、その“シルバー民主主義”を求める有権者の支持も得なければ当選が難しいことは、これまで幾多の選挙を経験してきた候補者ならよく分かっているはず。あえて言ってしまうあたりに覚悟を感じた
  • “行き過ぎたシルバー民主主義”となってしまう背景の一つに、わざわざ投票所へ行かなければ投票できない点もあるのではないか。新型コロナ禍対策で外出自粛を求められているなか、投票(外出)は求めるという矛盾。鉛筆で「紙」に自らの名前を書いてもらうことをモチベーションとしている多くの(高齢?)政治家をどう説得していくか。「ネット投票」の議論では自民党内で苦労してきた経験を持つ候補者だけに、「横浜をネット投票のモデル都市にする」など、政策に盛り込んでほしかった
  • インターネット上に「デジタル選挙事務所」を開設し、市選管に届け出たものの、「リアルな場所にないとダメ」ということで認められなかったというが、まずは「選挙」のあり方自体も再定義しなければならない時かもしれない
  • 今回、衆院選時代に何度も戦った江田憲司衆院議員が強力に推す山中竹春氏とも戦うことになったのは、何かの因縁だろうか
  • 候補者自身はFCV(燃料電池自動車)を愛用しており、綱島SSTの水素ステーションで“給油”する写真がブログに掲載されていた

<公開情報一覧>

横浜市長選・候補者8人の独自研究

【本連載の記事】<横浜市長選>実は名前程度しか分からない? 候補者8人の徹底研究を試みる
【独自研究:市長選候補(1)】あふれる対決姿勢とバイタリティ(太田氏)
【独自研究:市長選候補(2)】あの“ヤッシー”が描いた横浜改革(田中氏)
【独自研究:市長選候補(3)】覚悟の出馬、素直な思い伝わるか(小此木氏)
【独自研究:市長選候補(4)】市場の熱き男、お金かけぬ選挙戦(坪倉氏)
【独自研究:市長選候補(6)】学術界から政治へ、背負った期待(山中氏)
【独自研究:市長選候補(7)】12年間の最終決戦、実現への意地(林氏)
【独自研究:市長選候補(8)】元知事が鋭く分析、横浜の処方箋(松沢氏)

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