王者・王子イーグルスの厚い壁を破ることはできませんでした。昨年(2020年)11月29日以来、約120日ぶりとなったリーグ戦の最終カードで、横浜グリッツ(GRITS)は今月(2021年)3月27日と28日に北海道・苫小牧市で王子イーグルスとの2連戦に敗れ、今シーズンの全日程を2勝16敗(うち2試合は不戦勝)で終え、リンク上での勝利は来シーズン以降に持ち越しとなりました。
昨年10月に始まったプロリーグ「アジアリーグ」(今シーズンは日本の5チームのみの「ジャパンカップ」で開催)では昨年12月以降、新型コロナウイルスの“第3波”で計18試合が中止となる異例の状況下。それでも、「諦めずに地道に練習を続けてきた」(浅沼芳征監督)という選手らが北海道へ乗り込み、最終戦に挑みました。
対戦相手は、プロとして初めてとなった昨年10月のリーグ2連戦で「8対1」「12対0」と大敗を喫した王子イーグルスとなり、場所も同じ苫小牧です。
王子イーグルスは、今月3月20日時点で早々にリーグ優勝を決めており、本来であれば“消化試合”ともいえますが、同チームは来シーズンから「レッドイーグルス北海道」との名でクラブチーム化することが決定済み。
1926(大正15)年から95年の歴史を持つ企業チームである王子イーグルスとして、地元で最後の2連戦となりました。
日本のアイスホッケー界を代表するチームのOBらが見守るなか、重要試合が最終カードとしてめぐってきた横浜グリッツ。
3月27日(土)の初戦では、「期間が空いていたので、ずるずる変な試合をしないように1シュート目がどれだけ大事か意識してプレーした」という平野裕志朗選手が試合開始からわずか19秒後に先制点を決め、王者を相手にリードを奪う幸先の良いスタートを切ります。
ただ、リードしていたのは第1ピリオド16分超まで。反則で相手チームより1人少なくなったキルプレイ中、王子イーグルスの中島彰吾選手に同点ゴールを決められ、第2ピリオド以降は4失点。
5対2という点差で敗れたなかで、横浜グリッツは第3ピリオド59分、法政大学出身で昨年12月に入団したばかりの土屋光翼(こうすけ)選手が1点を返したのが光明といえそう。
ただ、翌日の3月28日(日)は、開始15分後の第1ピリオドに失点して以後は、立て続けに点を失い、反撃の糸口がつかめないまま9対0で大敗となりました。
「”王子”選手としての最終戦ということで、意地のあるプレーだった。点差がついても王子の選手は全力で向き合ってくれた」と浅沼監督は振り返ります。
初のシーズンを振り返り、キャプテンをつとめた菊池秀治選手は、「僕らが求めていた結果にはならなかったが、横浜グリッツとして個人個人が意識を変えて取り組んでくれたのは、とても満足している」といいます。
最終戦については、「開幕戦と今日の試合は、見方によっては変わらないと思われるかもしれないが、数値に見えないところで大きく異なると信じている」と前を向きました。
横浜グリッツは、プロとして挑んだ初めてのシーズンが新型コロナ禍に見舞われ、例年は30試合以上を戦うはずのアジアリーグで、開催できたのは半分程度の16試合にとどまりました。リンク上での勝利と、完全な形でのアジアリーグの戦いは、今秋に始まる予定の来季以降に持ち越しとなりました。
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