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きぼうソフトが運営を担う「mstdn.jp」(写真上)の利用者数は19万超、「mastodon.cloud」(写真下)は5万4000超の利用者を持つインスタンス

法人サポーター会員による提供記事です】新たなSNSの形とも言われる「分散型SNS」の技術を世界に広めたい――。新横浜1丁目に本社を置く合同会社きぼうソフトは、分散型SNSの中心的な存在であり、Twitter(ツイッター)に似た「マストドン (Mastodon)」における著名サービスの運営を相次いで担い始めました。狙いと展望を同社に聞きました。

分散型SNSのマストドンは、ツイッターやFacebook(フェイスブック)のように、特定の大きな企業が一元管理をするのではなく、世界中で1500を超える「インスタンス」と呼ばれるサービスを開設した運営者が“分散”して管理を行い、相互で乗り入れているのが特徴。

趣味や地域、言語などさまざまな分野に分かれてインスタンスが開設されており、世界中で100万人以上が利用しているとみられます。また、基本的に非営利のSNSサービスという考え方があるため、多数の広告を入れたり、個人情報を収集してビジネス化するといったようなことを嫌う傾向があります。

分散型SNSである「マストドン (Mastodon)」はインスタンスごとに“相互乗り入れ”できることが特徴(mstdn.jpより)

このマストドンで、きぼうソフトは昨年(2018年)10月から国内のポータル(入口)的なインスタンスとなっている「mstdn.jp」の運営を担っているほか、続く11月にはフランスで生まれた「mastodon.cloud(マストドン・クラウド)」の運営にも乗り出しました。いずれも国内外の著名な個人技術者が立ち上げたものを引き継いだ形です。

mstdn.jpは利用者数で日本国内では2番目となる19万人の規模を持ち、mastodon.cloud英語やフランス語圏などから5万超の利用者数があります。日本と海外で定評のあるインスタンスを新横浜の地で担っています。

新横浜を「分散型SNS技術」の中心地に

きぼうソフトでは、2つの著名サービスの運営を行うことになったものの、マストドンの根本には「非営利」という考え方が根付いており、企業の“利益”という面ではほとんど期待できないといいます。

マストドンにおける2つの著名「インスタンス」運営を担うきぼうソフト社長の香月さん

「2つのインスタンスを運営するには、多くの利用に耐えうるサーバー使用料を中心に相応のコストがかかりますが、弊社は可能な限り圧縮できる技術を持っていた」(社長の香月貴義さん)といい、「分散型SNSの技術面での進化を支え、発展させていきたい思いがあった」(同)と運営を受け継いだ背景を説明します。

分散型SNSサービスをつくるための根幹となっている「ActivityPub(アクティビティパブ)」という標準技術は、誰もが自由に使うことのできるオープンな環境となっており、知識さえあれば誰でも使用や改変が可能です。

分散型SNSの技術である「ActivityPub(アクティビティパブ)」という世界の標準技術となっている(w3.orgより)

「このActivityPubを活用した代表的な存在が『マストドン』ですが、これが最終解ではないのかもしれません。相互に乗り入れができるという分散型SNSの仕組みを発展させれば、何らかの新たなサービスを生み出せる可能性があると考えています」(同)と話します。

現時点では具体的な“進化像”が見えているわけではないものの、「新横浜発の新たなITサービスを誕生させ、ActivityPub技術を進化させていく中心地にしていきたい」と香月さん。

分散型SNSの運営者としての顔に加え、技術開発企業として歩み出したきぼうソフト。新横浜に新たなIT技術のムーブメントを起こすことが今後の大きな目標です。

【関連記事】

次なるツイッター?「分散型SNS」という新たな流れに注力する新横浜企業の戦略(2018年8月9日)

新横浜で飛躍を目指す26歳社長の「きぼうソフト」、IT開発者を集める最先端の働き方(2018年5月22日、同社社長の紹介)

【参考リンク】

合同会社きぼうソフト(新横浜1)

mstdn.jp(日本における「マストドン」の入口的なサービス、きぼうソフト運営)

mastodon.cloud(主に海外利用者が中心の「マストドン」インスタンス)

法人サポーター会員:合同会社きぼうソフト提供)