携帯コンテンツ料金を電子マネーで請求するという、「今どき」の特殊詐欺を、若きコンビニ店長が見事に看破しました。
JR横浜線小机駅から徒歩約10分、横浜上麻生道路沿いにあるセブンイレブン横浜小机町店(小机町)で、先月(2018年9月)11日、携帯コンテンツ料金としての電子マネー購入詐欺を阻止したとして、同店店長の串田裕一郎さん(都筑区在住)が、港北警察署(大豆戸町)から10月1日午後に表彰されました。
父親がオーナーを務める店だという串田さんはまだ30代。学生時代なども店を手伝っていたとのことですが、「脱サラして数年前から店に戻ってきました」と、店舗運営に日々邁進してきた中の、今回の突然の事件発生。
「警察や会社(株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、本社:東京都千代田区)からも指導は受けていたのですが」と串田さん。
携帯電話で通話をしながら入店、電話先の相手に言われるがままに電子マネーを購入しようとしている男性の姿に、「これは詐欺だ」と気がついたといいます。
店内の端末で購入操作後、レジでの代金支払いも電話をしながら行おうとしていた男性に対し、「お客様、これは詐欺です」と、果敢にも声を掛けたものの、男性は信用せず、電話先の相手に対し、電子マネーに付与された「シリアルコード(商品を識別する番号)」を、読み上げようとしたといいます。
男性に、電話を置くようになんとかお願いをした上、「電子マネー詐欺」を指摘・警告する画面を見せるなどし、「ようやく詐欺だと気づいてもらえました」と、まさに“犯人の思うがまま”になってしまった男性を、なんとか“強い(社会的)使命感で”助けることができたとのこと。
被害者の男性は、70代で港北区内在住。「携帯コンテンツ料金を17時までに支払わなければ、裁判を起こす」といわれ、気が動転してしまったとのことで、「請求された金額は、今回は30万円という金額。つい払えてしまうくらいの金額を敢えて設定するという、極めて悪質な詐欺を、串田さんは見事に見抜いてくださった。勇気ある声かけに感謝したい」と、同署生活安全課の鎌倉清課長も、串田さんの“功績”を称(たた)えます。
港北署管内の特殊詐欺の発生件数は、先月(9月)末現在で35件(対前年比マイナス23件)と減少しているものの、被害金額は約2億円(同5000万円増、いずれも暫定値)にも達するなど、前年を大幅に上回っています。
被害者の男性も、「携帯コンテンツ料金など、全く心当たりはなかった」とのことで、「気を動転させる詐欺グループの手口は、新たな電子マネーといった“今どきの”ツールも駆使し、“裁判”という言葉を持ち出すなど、あの手、この手で被害者を信じこませようとします。まずは電話の内容を鵜呑み(うのみ)にせず、落ちついて対応してもらえたら」と、港北署は、新手の手法を駆使する詐欺グループへのより一層の警戒を呼び掛けています。
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【参考リンク】
・港北区内の振り込め詐欺発生情報(港北区役所、町名別の具体的な被害状況を速報)