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大倉山駅前から書店が消えてしまうことになりました。

エルム通り商店街で営業する「天一書房」の大倉山店(大倉山2)が来月(2023年)10月下旬での閉店を告知し、関連店の「文具101」とともに大倉山からの撤退を決めました。

天一書房は綱島東1丁目に本社を置く多摩興産株式会社が展開する書店チェーンで、現在の大倉山店と文具101を駅に近い2つの民間ビル内で1997(平成9)年に開店しています。

かつて銀行として使われていた吉原ビル(1982年竣工)の全館を使い1997年にオープンした「天一書房大倉山店」(9月17日撮影)

同チェーンでは1月に日吉駅前の日吉東急アベニュー内にあった日吉店を閉じており、9月時点では綱島西口の駅前ビル内に「綱島店」と「文具101綱島店」、瀬谷区の相鉄・瀬谷駅前で「瀬谷店」を営業中。

大倉山からの撤退について同チェーンを知る関係者は、「新型コロナ禍の影響が大きく、客が戻っていない」といい、「以前は年金支給日になるとシニア層が来店していたが、コロナで生活スタイルが変わってしまった」と話します。

駅に近い大倉山スズキビルの1階にある天一書房の「文具101」も閉店する(9月17日撮影)

同チェーンでは大倉山駅前で書店と文具店を閉じることに加え、綱島西口駅前で営業している文具店についても10月中旬で閉店することを決めており、今後は綱島西口駅前の書店と瀬谷店の2店舗に経営資源を集中させる方針。

かつて大倉山駅前の商店街では、大倉堂森書店錦松堂書店住吉書房といった多彩な店が1980(昭和55)年代から営業していましたが次々と店を閉じ、唯一残っていた天一書房の閉店によって書店がすべてなくなってしまうことになりました。

エルム通りで見慣れた書店がなくなってしまう(9月17日撮影)

近隣でも新横浜駅ビル内の大型店「三省堂書店」が9月末で閉店を決めており、菊名駅前では今年6月から「TSUTAYA菊名駅東口店」が書籍類も含めて2つあったフロアを1つに集約しています。

書籍の送料を無料とする大手インターネット通販が浸透し、マンガを始めとした書籍の電子化も進むなかで新型コロナ禍が追い打ちをかけ、駅前の“一等地”に書店を構え続けることがより困難になりつつあります。

【関連記事】

・【過去記事】日吉東急の「天一書房」が来年1月に閉店、新たな書店誘致を目指す(横浜日吉新聞、2022年11月25日、その後に大手の「丸善」が入った)

新横浜の「三省堂書店」が9月末で閉店を告知、駅ビル開業時から営業(2023年8月29日)

【参考リンク】

天一書房チェーンの公式サイト(多摩興産株式会社)