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師岡熊野神社「いの池」を護(まも)りたい――池の美化を図るのみならず、自然を体感し環境を守る活動としての“かいぼり”が行われました。

「春のかいぼり」スタート時にあいさつする上田会長。今回は池の西側の水を抜いての作業を行うこと、水分を取るなど暑さ対策も呼び掛けた。「いの池愛護会」の新しいビブスには師岡熊野神社の社紋の八咫烏(やたがらす)も描かれている

「春のかいぼり」スタート時にあいさつする上田会長。今回は池の西側の水を抜いての作業を行うこと、水分を取るなど暑さ対策も呼び掛けた。「いの池愛護会」の新しいビブスには師岡熊野神社の社紋の八咫烏(やたがらす)も描かれている

奈良時代、聖武天皇が即位した724(神亀元)年に、師岡一帯の土地を開いたという全寿仙人が創立した師岡熊野神社(師岡町、石川正人宮司)は、来年(2024年)に創建1300年を迎える歴史的な節目を迎えています。

同神社周辺の住民有志からなる「師岡熊野神社 いの池愛護会」(上田三夫会長)は、今月(2023年)6月17日(土)午前、春と秋の恒例となった「春のかいぼり(搔い掘り)」を実施。

同愛護会会員や、掲示板などによる告知を見て来訪した家族連れなど約30人が、水を抜いた「いの池」の中に入り、池底にある堆積物を地上に引き上げる作業を行いました。

師岡熊野神社の創建1300年に向けて地域コミュニティの醸成といった盛り上がりも期待されている

師岡熊野神社の創建1300年に向けて地域コミュニティの醸成といった盛り上がりも期待されている

同神社の「いの池」は、池の形が「い」の文字に似ていることから「いの池」と呼ばれており、境内にある丸い形の「のの池」、現在は埋め立てられて綱島街道沿いの大曽根第二公園(大曽根1)となっている「ちの池」の3つを合わせて、「い・の・ち」の池と呼ばれたといいます。

横浜市教育委員会が「横浜市地域史跡」として1989(平成元)年3月に設置した看板が「いの池」の由来を伝える

横浜市教育委員会が「横浜市地域史跡」として1989(平成元)年3月に設置した看板が「いの池」の由来を伝える

古い歴史と伝説に包まれ、1988(昭和63)年には横浜市地域史跡にも登録されているこの池を「地元の力で護ろう」という思いを共有した有志が同愛護会を2019年12月に発足。

「いの池愛護会」についてはインスタグラムやいの池前の掲示板で詳細を伝えている

「いの池愛護会」についてはインスタグラムやいの池前の掲示板で詳細を伝えている

活動を地域コミュニティづくりにつなげ、またそのサイクルを継続していくことを目的に、池の清掃や植栽の手入れ、かいほりやライトアップの試行といった活動も行ってきたといいます。

「春のかいぼり」についての告知や会員募集も現地で行ってきた

「春のかいぼり」についての告知や会員募集も現地で行ってきた

「いの池を地元の力きれいにしよう」という想いから始まったというかいぼりは、「いの池を中心にした水と土の循環を整え、自然や池を取り巻く生態系を学ぶのみならず、かかわる人々の間に豊かな関係を築くことにもつながっています」と、同会の設立発起人で初代会長の鈴木聡さん

多く家族連れも集まる中、西側の池での「かいぼり」がスタート

多く家族連れも集まる中、西側の池での「かいぼり」がスタート

池の中で「泥だらけ」になりながら作業を行った。子どもたちにはザリガニ釣りの貴重な経験も

池の中で「泥だらけ」になりながら作業を行った。子どもたちにはザリガニ釣りの貴重な経験も

子どもたちが自らの発案で生まれたという「バケツリレー」方式で堆積土を運搬する姿にも、「大人からは知恵と経験が、子どもたちからは元気とパワーが引き出されて、世代を越えた連携の力が生まれています」と、活動の手応えをしっかりと噛みしめるかの表情を浮かべていました。

堆積土はごみを分別した後、7月末頃までにも熊野神社市民の森に搬出する予定

堆積土はごみを分別した後、7月末頃までにも熊野神社市民の森に搬出する予定

「創建1300年」に向けて地域ぐるみでのコミュニティ醸成を図る同会の活動に、これからも熱き視線が注がれていくことになりそうです。

「地域の人々が集う場」としての神社の役割にもこれからも期待したい

「地域の人々が集う場」としての神社の役割にもこれからも期待したい

)この記事は「新横浜新聞~しんよこ新聞」「横浜日吉新聞」の共通記事です

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<レポート>子ども・大人みこしの声が街に響く、師岡熊野神社で3年ぶり祭礼(2022年8月25日)

【歴史まち歩き】丘の谷間に凝縮された自然・史跡と生活空間「師岡地区」(2022年7月30日)

【参考リンク】

師岡熊野神社 いの池愛護会のインスタグラム(Instagram)

みくまの散歩~(1)「い」の池・「の」の池(師岡熊野神社)※「い・の・ち」の池の由来など