創業100周年へ向け、新吉田の地から新たな挑戦が始まります。
老舗機器メーカーのアネスト岩田株式会社(深瀬真一社長)は今月(2023年)2月12日、自動車レース「Super GT(スーパージーティー)」への参戦を前に新吉田町の本社工場でレースマシンを公開しました。
この日行われた初の地域イベント「ブルーリンクフェス(BLUE LINK FES.)」の場で披露されたもので、新チームの「アネスト岩田レーシング(ANEST IWATA Racing=略称「A.I.R.」)」に所属する3人の若手ドライバーと、チーム総監督をつとめる取締役常務執行役員の武田克己さんがステージで決意を語りました。
アネスト岩田が参戦する「Super GT」は、高い注目度と規模から国内最高峰の自動車レースと言われており、今シーズンは4月から11月にかけて国内6つのサーキットで全8戦を予定。
Super GTでは“F1レース”のようにレースに特化したレーシングカーではなく、市販されている「グランドツーリングカー(GTカー)」をレース用に改造したマシンによって競うのが特徴で、アネスト岩田レーシングはトヨタの「レクサスRC F(アールシー・エフ)」をベースとしたマシンで参戦します。
爆音響かせ新吉田本社にマシン登場
新吉田本社で開かれたイベントでは、チームのファースト(一番手)ドライバーであるイゴール・大村・フラガ選手が参戦マシンの「RC F GT3」に乗り、爆音を響かせて車庫からステージまで走行して登場。
アネスト岩田のコーポレートカラーである「ブルー」に染められた真新しいマシンが初めて一般公開されるとともに、運転席に搭乗できる体験会も行われました。
ファーストドライバーのフラガ選手は、日本生まれの日系ブラジル人。3歳の頃から日本でカート選手として活躍し、2020年にはF1を目指す若手向けの「トヨタ・レーシング・シリーズ」で優勝も果たしています。
また、フラガ選手は幼少期からレースゲームに熱中し、2018年には「FIAグランツーリスモチャンピオンシップ」ネイションズカップでワールドチャンピオンを獲得するなど、eモータースポーツとの“二刀流ドライバー”として活躍中です。
「新型コロナウイルス禍の影響や色んなことでレースができなくなった時期があった。声をかけていただき、レースができるようになって本当に嬉しい」と話しました。
セカンドドライバーの古谷悠河(ふるたにゆうが)選手は、広島県出身で2021年の「フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップ」で年間チャンピオンとなるなど、今後の活躍が期待されている若手。
「Super GT参戦は初めてで、ルーキーとして勉強しなければならないことばかりだが、3人で力を合わせて頑張っていく」と初レースへの意欲を示しました。
長距離で争われるレース時に起用が想定されるサードドライバーの小山美姫(みき)選手は、相模原市出身の女性ドライバー。2022年の「フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップ」で年間ドライバーズタイトルを獲得し、注目を集めています。
「どこで出番があるかは分からないが、チャンスをいただいた時には良い走りができるよう頑張りたい」と万全の準備でチームに貢献する決意です。
アネスト岩田レーシングをともに運営するスーパーライセンスインターナショナルの国井正巳さんは、「アネスト岩田の『挑戦』というイメージにも合う元気の良い、可能性のある若手ドライバーが3人集まったので、成績以上に色んなことが期待できると思っている。(アネスト岩田が)100周年を迎える時(2026年)にはチャンピオン争いをしていきたい」と思いを語りました。
挑戦しなければ企業の成長はない
アネスト岩田の経営陣でもある武田総監督は、「この新吉田の地で、アネスト岩田レーシングをご紹介できたのが嬉しい」といい、「異業種からの挑戦だが、参戦するからには一つでも上を目指して頑張っていく」と決意を語ります。
同社は、1926(大正15)年の創業から100年近くにわたって新吉田町や綱島などでコンプレッサ(圧縮機)や塗装機器(スプレーガン)を製造してきた大手メーカーですが、これまで自動車業界と直接的なつながりはありませんでした。
武田総監督は「色んなことに挑戦していかなければ企業の成長はないとの思いがある。レースに参入することで、さまざまな方々とのつながりが広がり、つながりが持てれば次なる何かが見えて来る」と参戦にいたった背景を語ります。
日本の製造業を代表する存在である自動車産業と関わりを持つことで、まもなく100周年を迎える会社の成長につながる新たな領域を切り拓いていく構えです。
アネスト岩田レーシングが参戦する2023年のSuper GTは、4月15日(土)・16日(日)に岡山国際サーキット(岡山県美作市)で開幕し、富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)や鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)、スポーツランドSUGO(宮城県柴田郡村田町)、オートポリス(大分県日田市)での計6戦を経て、11月にモビリティリゾートもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)で開かれる第8戦まで戦いが続きます。
今シーズンは、アネスト岩田レーシングによるマシン「50号車」に注目です。
(※)この記事は「新横浜新聞~しんよこ新聞」「横浜日吉新聞」の共通記事です
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・地元向けイベントを一新、2月12日(日)にアネスト岩田「ブルーリンクフェス」(2023年2月8日、参戦マシンの発表などが行われた)
・新吉田の大手老舗メーカー・アネスト岩田、観光道路「箱根ターンパイク」の命名権(2018年2月23日、「アネスト岩田ターンパイク箱根」でも知られる)
【参考リンク】
・Super GT(スーパーGT)(アネスト岩田レーシングは「GT300」クラスに参戦)
・【異業種の挑戦】「ANEST IWATA Racing」はSuper GT300クラス 2023シーズンに参戦します(アネスト岩田株式会社、2023年2月7日)
・ANEST IWATA Racing(A.I.R.)の公式Twitter(最新情報など)